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1吸血 天使か悪魔かバンパイア

3 天使か悪魔かバンパイア

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「同族を探しに行ったんじゃないの?」

「はい、ですが何故でしょう。美味しそうな貴女の甘い香りに誘われ、ここへ来ていました。ジュルル」

「わかったから、ヨダレ垂らしながら私を見るのは止めて」



 折角のお休みだというのに、こんなバンパイアに付き纏われてはゆっくりどころではない。
 私は頭を横に傾けると「吸えば」と男に言う。



「いいのですか?」

「何度も来られたら迷惑なのよ。血を吸わせてあげるかわりに、もうここへは来ないでよね」



 男は柔らかな笑みを浮かべると、私に近づき腰を自分へと引き寄せる。
 近い距離に鼓動が高鳴り、男の唇が首筋へと近づく。

 昨夜と同じ痛みがくるのだろうと、ぐっと瞼を閉じたその時「いただきます」と耳元で囁かれた。
 その囁きと同時に、首筋に痛みを感じ声が漏れる。
 わかっていたことだが、やはり血を吸われる時の痛みに顔が歪んでしまう。

 だが次第にその痛みが気持ちいいと感じ始め、甘い痺れに酔ってしまったような感覚になる。



「って、いつまで吸ってんのよ」

「おっと、これは失礼。貴女の味が私好みで、つい吸い過ぎてしまいました」



 男は笑顔で答えているが、吸い過ぎると言うことは私の命に関わるということであり、笑い事ではない。

 兎に角これで満足したはず。
 約束通り、もうここへ来ないようにと念押しすると、伸ばされた手に顎を掴まれてしまう。

 男の妖艶な瞳が私を捉え、声が出せなくなってしまう。



「やはり貴女の血は美味しいですね。それに、こうしてよく見ると貴女自身も美しい」

「ッ、いい加減にして!! 約束は約束よ、誤魔化さないで」



 男はスッと顎を掴んでいた手を放すと、くつくつと喉を鳴らし「失礼。あまりにも貴女が感情的だったものでつい」と、馬鹿にしたようなその言い方に、私は恥ずかしさと苛立ちが込み上げる。



「まさか、約束を破るつもじゃないでしょうね」

「まさか。ですが、私は貴女の言葉に頷いた覚えはありませんよ」



 先程のことを思い出すが、男の言う通り私の言葉に了承はしていない。
 男が血を吸ったことで了承したのだと勝手に私が思っただけ。

 すると男は「一目見たときから貴女に惹かれるものを感じていました」と真剣な表情を私に向け言う。

 その眼差しに鼓動が大きく脈打ち、次第に近づく距離に鼓動は更に加速する。
 気づけば、男から目が逸らせなくなっていた。



「それって……」

「ええ、どうやら私は貴女の……」



 鼓動を高鳴らせ次の言葉を待っていると、男はうっとりとするように目を細め、頬を色付かせながら口を開く。
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