16 / 22
4吸血 説明できない物語
1 説明できない物語
しおりを挟む
夏蓮から届いたメールを読みながら自分の机に視線を向けると、夏休みに入ってから手付かずの宿題が山積みに置かれている。
そんな光景を目にし、溜息が出るのと同時に目を逸らしたくなるのは現実逃避。
宿題から目を逸らしたところで後回しになるだけ。
渋々ながらに宿題をやろうとベッドから降りようとすると、窓が開く音に、ラルムが帰ってきたのだと振り向く。
「ラルム、お帰……り」
瞳に移ったのは、ラルムではなくいかにも不良そうな男の姿。
窓から入ってくるなんてバンパイアであるラルムしかしないため、てっきりラルムだと思っていた私は首を傾げ尋ねる。
「誰……?」
驚く私の表情に、男はニヤリと笑みを浮かべたその瞬間、何故かこの男から逃げなげればと思った。
だがその前に、男に腕を掴まれ壁へと押し付けられる。
「逃げられると思ってんのかよ」
「ッ……一体あんた何者なのよ」
身動きがとれずキッと睨み付け問うと男は、そんな私の反応を楽しむように笑みを浮かべ口を開く。
「ハハハハッ!! この俺を前にして睨んでくるとはな。その命知らずな行動に免じて、俺の名を教えてやる。俺の名はノワールだ」
「ノワール……?」
ノワール、それはフランス語で黒という意味。
窓から入ってきたこと、そして名前。
私の考えが間違いでなければ、一つの答えが頭に浮かぶ。
「あんた、バンパイアね」
「へー、命知らずなバカ女にしてはよくわかったな」
いちいち上から目線なノワールに怒りを覚えるが、この状況では逃げることは不可能。
「あんたは一体何の為にこんなことしてんのよ」
「バンパイアならやることは1つしかねーだろ」
そう言うとノワールは、私の首筋に口を近づけ、がぶりと噛みつき血を吸う。
容赦なく噛みついたノワールの牙は首筋の深くまで刺さり、ラルムの時より遥かに違う痛みに顔が歪む。
ラルムが今まで加減をしながら血を吸っていたのかがわかる。
ラルムなら、少し血を吸って放してくれるのに、ノワールは今もまだ血を吸い続けている。
牙が抜かれた時には血を吸われ過ぎたせいか、私は足から崩れるようにして床に座り込んでしまう。
「血の匂いで気になってたが、あんたの血、やっぱ他の人間よりうめーな」
口端から垂れる血を手で拭い、笑みを浮かべるノワールを見て私が感じていたのは恐怖。
「何だ? さっきまでの威勢のよさはどこいっちまったんだ?」
文句の一つでも言ってやりたいのに、震えそうになる体を抑えることだけで精一杯だった。
「安心しろ。今はこれ以上血を吸う気はねぇよ。折角見つけたご馳走だ。死なれちまう訳にはいかねーからな」
ご馳走さんと言うノワールの言葉に、私は改めて自分の今の状況を理解する。
ノワールにとって人間は、血を飲む為のモノでしかない。
それは、ラルムにとっても同じなのだろうかと考えてしまう。
そんな光景を目にし、溜息が出るのと同時に目を逸らしたくなるのは現実逃避。
宿題から目を逸らしたところで後回しになるだけ。
渋々ながらに宿題をやろうとベッドから降りようとすると、窓が開く音に、ラルムが帰ってきたのだと振り向く。
「ラルム、お帰……り」
瞳に移ったのは、ラルムではなくいかにも不良そうな男の姿。
窓から入ってくるなんてバンパイアであるラルムしかしないため、てっきりラルムだと思っていた私は首を傾げ尋ねる。
「誰……?」
驚く私の表情に、男はニヤリと笑みを浮かべたその瞬間、何故かこの男から逃げなげればと思った。
だがその前に、男に腕を掴まれ壁へと押し付けられる。
「逃げられると思ってんのかよ」
「ッ……一体あんた何者なのよ」
身動きがとれずキッと睨み付け問うと男は、そんな私の反応を楽しむように笑みを浮かべ口を開く。
「ハハハハッ!! この俺を前にして睨んでくるとはな。その命知らずな行動に免じて、俺の名を教えてやる。俺の名はノワールだ」
「ノワール……?」
ノワール、それはフランス語で黒という意味。
窓から入ってきたこと、そして名前。
私の考えが間違いでなければ、一つの答えが頭に浮かぶ。
「あんた、バンパイアね」
「へー、命知らずなバカ女にしてはよくわかったな」
いちいち上から目線なノワールに怒りを覚えるが、この状況では逃げることは不可能。
「あんたは一体何の為にこんなことしてんのよ」
「バンパイアならやることは1つしかねーだろ」
そう言うとノワールは、私の首筋に口を近づけ、がぶりと噛みつき血を吸う。
容赦なく噛みついたノワールの牙は首筋の深くまで刺さり、ラルムの時より遥かに違う痛みに顔が歪む。
ラルムが今まで加減をしながら血を吸っていたのかがわかる。
ラルムなら、少し血を吸って放してくれるのに、ノワールは今もまだ血を吸い続けている。
牙が抜かれた時には血を吸われ過ぎたせいか、私は足から崩れるようにして床に座り込んでしまう。
「血の匂いで気になってたが、あんたの血、やっぱ他の人間よりうめーな」
口端から垂れる血を手で拭い、笑みを浮かべるノワールを見て私が感じていたのは恐怖。
「何だ? さっきまでの威勢のよさはどこいっちまったんだ?」
文句の一つでも言ってやりたいのに、震えそうになる体を抑えることだけで精一杯だった。
「安心しろ。今はこれ以上血を吸う気はねぇよ。折角見つけたご馳走だ。死なれちまう訳にはいかねーからな」
ご馳走さんと言うノワールの言葉に、私は改めて自分の今の状況を理解する。
ノワールにとって人間は、血を飲む為のモノでしかない。
それは、ラルムにとっても同じなのだろうかと考えてしまう。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
2
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる