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チェックポイント通過
しおりを挟む第一チェックポイントに到着すると、俺はかなり上位に食い込んでいた。
何で分かるかというと、チェックポイントには通過人数が書かれたボードがあるのだ。
チェック用の水晶玉に触れると魔力パターンを確認して記録し、数字が+1される。
俺は後方スタートだったが、表示によれば30位以内に入っている。
「おっし、このまま追い上げるぞ!」
(キュッキュー!)
チビ助と一緒に気合を入れる。
水晶玉が置かれたカウンターで、次のチェックポイントを記した地図が渡される。
……はずなのだが、係員の女性は俺を訝しげに見てるだけ。
手を出しても地図をくれない。
「君、聖獣はどこ?」
「【同化】中です」
またかと思いながら、長い耳を持ち上げて見せる。
今年の卒業試験は大規模になったので、他から臨時スタッフを雇っているそうだ。俺とチビ助の事を知らない人なのだろう。
手短に説明したが追求は終わらない。
「種類は?」
「ウサギですよ………地図!」
手を伸ばして再度要求する。
他のカウンターでは、こんなやり取りはしていない。流れ作業的に地図を渡している。
今の時間で2人に抜かれた。
女性が仕方なしに持ち上げた地図を奪い取るように受け取り、ざっと確認して走り出す。
「ウサギですって? しかもこんなに早く……まさか不正を?」
女性は急いで本部に連絡を入れる。
他の立派な聖獣達を差し置いてウサギなんかが上位に食い込むなんて、どう考えてもあり得ない。
◇ ◇ ◇
ライゼルは地図をチラ見しながら湖に向かう。
第二チェックポイントは湖の向こう側だ。
『神々の島』で唯一の湖は火山の中腹にある。大昔の火口跡なのだろう。いわゆるカルデラ湖だ。首長竜の伝説種が住んでいるというウワサもあるが、見た人はいない。
さすがに湖を飛び越えるジャンプはできないので、おとなしく湖岸を走る。
湖の周りは木がまばらで樹上を跳びながら進む事はできない。
チビ助と【同化】していると普通よりは早く走れるのだが、疾走する大型希少種には負ける。
後ろから来た奴らに次々と抜かれていく。
さっきの川といい、この湖といい、単純な移動能力だけでなく、特殊な状況での移動能力も試されてる気がする。
水を渡る能力は、あると便利だ。
水が得意なカチュアとプルアはきっと、もうだいぶ先に行ってしまったに違いない。
普通の競争だと特殊能力が評価されにくいからな。わざと組み込んであるのだろう。
いや、もしかすると……単純に伝説種の見せ場を作りたかっただけなのかも。
ゴールドドラゴンもペガサスも飛べる聖獣だ。
ジークとゴールドドラゴンの仲は知らないが、少なくともニーナはペガサスに乗って飛べる。
「あ……」
湖の向こう側から、白い何かが飛び立った。背中に人影。ニーナだ!
ニーナとペガサスのハスティノン。
第二チェックポイントを超えて次に向かうところだろう。
(キュ、キュウ!)
「そうだな。ニーナに挨拶すっか」
思い切り踏み込んで高くジャンプし、空中でニーナ達に向かって手を振る。
こんなに高く跳べるのは今のところ俺達だけ。
離れているが、ニーナも俺達だと気づいたらしい。手を振り返してくれた。
「…おっと」
上空で強い風を受けて体勢が乱れる。
だがこの位は平気平気。訓練で何度も経験してる。
風魔法で姿勢を制御し、滑るように移動する。木から木へ飛び移るムササビみたいに。
そして着地も慣れたもの。
結局、飛び上がった場所より数十メートル前方に着地した。
「………ん、待てよ?」
コレを使えばいいんじゃね?
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