異世界探訪記

Luckstyle

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九十四日目。エルフ族の集落にて

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九十四日目。
 今日は午前中、狩り組と一緒になって森に入った。狩り組とだけ書いたが、兵士組の一個小隊も同行している。俺達が外出している間に兵士達とエルフ族達は仲良くなっていたらしい。今では気軽に話し掛け合い、冗談を言って笑い合ったりしている。
 狩り組は必ず午前中に集落の周りを回って人の気配をまき散らしておくのだそうだ。そうすれば春先に、警戒心の強い動物とは出会わなくなるそう。毒なし蛇とか兎とかは獰猛で襲ってくるんだが……。
 追っ払うのは具体的に鼠と猪らしい。
 鼠は立ち上がると俺より少し大きいくらいの大きさがあり、猪は前に書いたか?あれで臆病な性格と言われても……。
 あ、アレだけ大きくなると獰猛になるのか。

 今日の成果は噂にしていた小山ほどある猪だった。トドメを刺される際、満足そうだったのは気のせいか?

 午後はギルビットさんと再び魔法陣の研究。メヌエットさんとハヌラット君も参加してくれた。
 魔石の話をしたらここには無いのでこの話は先送り。
 魔力を込める部分に“魔素”“吸収”“魔力”“変換”を組み込み、並べ替えたり構文を整えたりしても起動しない。
 そこで動いたのはハヌラット君だった。おもむろに、新たに魔力を込める部分を書き込んでそれを起動させたい魔法陣ではなく魔力を込める部分に繋げたのだ。
 結果、起動しなかった。いや、起動したのか?ギルビットさんの研究室で起動実験をしていたのだが、そこにはそもそも魔素がなかった。
 起動できなかったのを確認したハヌラット君は何かに気付いたかのように魔素感知の魔法陣を用いてから周囲を見渡し、その後二枚の魔法陣を抱えて飛び出していった。
 静止できなかった俺達は顔を見合わせた後、ハヌラット君に習って魔素感知の魔法陣を使ってみたが、なにも変わらず部屋があるだけでハヌラット君の意図を上手く掬い上げることが出来ず、取り敢えずついて行ってみることにした。
 そこには起動した魔法陣と、ウンともスンとも言わない魔法陣。
 ハヌラット君が言うには、魔力を込める部分が別個の魔法陣になっていて、それ用に魔力を込める部分を新たに追加。それの起動には成功したが、魔素が無かったのでそれ止まりになって居たのだそう。
 始めは手に持った状態で起動しても起動せず、地面において起動時たら動き出したとの事だった。
 そう言えば、魔素感知の魔法陣を起動しても研究室の床が光ることはなかったな。
 で、魔法陣の方は充填中らしい。どうやら大地から魔素を吸い上げるのは効率が悪い様だ。

 そう言えば、大地から魔素が無くなったらどうなるんだ?
 ギルビットさんに聞いてみたが不明。俺の懸念に思い至ったのか、ギルビットさんは俺の代わりに残りの二人へ懸念を伝え、どうなるかこの目で確かめるべく人目に着かない場所へ魔法陣を移動して一晩様子を見ることになった。
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