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修行:マルクトエリア編 【五日目~七日目】
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【五日目】
白い雲が空を覆っている。雲の色合いを見る限り雨は降らなそうだなと、空を見上げたカインは考える。
夜遅くまで降り続いた雨で、草原に生い茂る草花はしっとりと濡れている。ぬかるみに気を付ける必要はあるかな、と、カインは呟いた。
この日はそこそこ機敏な動きのマン・イーターとスライムを倒して、昼休憩。
上空は風が強かったのか、昼前には晴れ間が見え始め午後には気温も上がった。マン・イーターの動きは戻り、スライムの姿も確認できなくなった。
午後はウサギ型とボブキャットと戦う。
「もう、マン・イーターとウサギ型は大丈夫そうだね。晴れてれば。」
天気が回復しても、ぬかるみは残っている。少々泥試合気味の結果だったが、リリンはそう判断した。
「そう? あとは、やっぱりボブキャットか。」
「レイピアは斬撃に向かないから、仕方ないとこもあるかな。魔法が使えるようになれば、もっと楽になるだろうけど。霊力をもっとコントロールできるようにならないとね。」
「あー…」
リリンの言葉に、カインは毎晩のトレーニングを思い出す。細かくコントロールするのがどうにも苦手だ。緩急つけるのはそこそこいい感じにできてると思っている。
リリン曰く、細かい動きを制御できないと魔法が暴走しやすくなるのだそうだ。
案外出来なきゃいけないこといっぱいあるな、カインは呟いた。
【六日目】
「今日の予定は?」
さすがに六日目ともなると筋肉痛の連鎖が半端なく、カインは曇った表情でリリンに尋ねた。今日はそこそこ天気もいいので、スライムは居ないかな… いないといいな。アイツ、めんどくさいし。
カインはフォークを片手にリリンの答えを待つ。
「今日はお休みにするね! 怪我はアタシのアイテムで治したけど、疲労は残ってるでしょ? ゆっくり休んで。」
リリンは、朝食を食べながら答えた。
「マジで?」
「一日寝るもよし、体力がまああるなら、商店街を見るもよし。」
カインの疲れた顔を見ながら、リリンは、あ、これは一日爆睡かな? とこっそり考える。
「どうしようかな…」
カインは取り敢えず午前中休んで、午後に街を散策しようなどと考える。朝食を済ませて、一度部屋に戻った。
…結局のところ、リリンの予想通り爆睡で一日が終わったのだった。
【七日目】
どんよりとした雲が空一面を覆っている。今にも雨が降りそうだ。カインは以前のスライム戦を思い出しげんなりした。
午前中はボブキャット戦と時々ウサギ型と戦う。前日休んだこともあって、体は軽い。戦闘の要領も得てきて、一戦一戦の時間も短縮されてきている。
カインは密かに手ごたえを感じていた。
昼休憩のあと腹ごなしにウサギ型の怪物を戦っていると、朝方の不安が現実になった。ぽつぽつと雨が降り始めたのだ。
「おさらいに雨の日のマン・イーターと、スライムと戦って戻ろうか。」
空を覆う雲は暗く、今日はもう回復しそうもないと判断したリリンがカインに言う。
「そうだなぁ。正直スライムとは関わりたくないけど… 前回のは納得できないっちゃできない出来だったしな。」
雨に濡れて、衣服が重みを増す。地面は雨水でぬかるみ始める。
それでもどうにかスライムを倒す。
「コイツ、うねうねして核も動くから無傷で倒すのは無理なんじゃないの。」
一部溶かされたところを眺めながら、カインはリリンに聞いた。
「うーん、そうかもね。でも、マン・イーターはいい感じだったね。」
肩を竦めてリリンが答える。確かに性質上物理攻撃だけでは厳しいのかもしれない。弱いは弱いんだけどなぁ、とリリンは呟いた。
白い雲が空を覆っている。雲の色合いを見る限り雨は降らなそうだなと、空を見上げたカインは考える。
夜遅くまで降り続いた雨で、草原に生い茂る草花はしっとりと濡れている。ぬかるみに気を付ける必要はあるかな、と、カインは呟いた。
この日はそこそこ機敏な動きのマン・イーターとスライムを倒して、昼休憩。
上空は風が強かったのか、昼前には晴れ間が見え始め午後には気温も上がった。マン・イーターの動きは戻り、スライムの姿も確認できなくなった。
午後はウサギ型とボブキャットと戦う。
「もう、マン・イーターとウサギ型は大丈夫そうだね。晴れてれば。」
天気が回復しても、ぬかるみは残っている。少々泥試合気味の結果だったが、リリンはそう判断した。
「そう? あとは、やっぱりボブキャットか。」
「レイピアは斬撃に向かないから、仕方ないとこもあるかな。魔法が使えるようになれば、もっと楽になるだろうけど。霊力をもっとコントロールできるようにならないとね。」
「あー…」
リリンの言葉に、カインは毎晩のトレーニングを思い出す。細かくコントロールするのがどうにも苦手だ。緩急つけるのはそこそこいい感じにできてると思っている。
リリン曰く、細かい動きを制御できないと魔法が暴走しやすくなるのだそうだ。
案外出来なきゃいけないこといっぱいあるな、カインは呟いた。
【六日目】
「今日の予定は?」
さすがに六日目ともなると筋肉痛の連鎖が半端なく、カインは曇った表情でリリンに尋ねた。今日はそこそこ天気もいいので、スライムは居ないかな… いないといいな。アイツ、めんどくさいし。
カインはフォークを片手にリリンの答えを待つ。
「今日はお休みにするね! 怪我はアタシのアイテムで治したけど、疲労は残ってるでしょ? ゆっくり休んで。」
リリンは、朝食を食べながら答えた。
「マジで?」
「一日寝るもよし、体力がまああるなら、商店街を見るもよし。」
カインの疲れた顔を見ながら、リリンは、あ、これは一日爆睡かな? とこっそり考える。
「どうしようかな…」
カインは取り敢えず午前中休んで、午後に街を散策しようなどと考える。朝食を済ませて、一度部屋に戻った。
…結局のところ、リリンの予想通り爆睡で一日が終わったのだった。
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どんよりとした雲が空一面を覆っている。今にも雨が降りそうだ。カインは以前のスライム戦を思い出しげんなりした。
午前中はボブキャット戦と時々ウサギ型と戦う。前日休んだこともあって、体は軽い。戦闘の要領も得てきて、一戦一戦の時間も短縮されてきている。
カインは密かに手ごたえを感じていた。
昼休憩のあと腹ごなしにウサギ型の怪物を戦っていると、朝方の不安が現実になった。ぽつぽつと雨が降り始めたのだ。
「おさらいに雨の日のマン・イーターと、スライムと戦って戻ろうか。」
空を覆う雲は暗く、今日はもう回復しそうもないと判断したリリンがカインに言う。
「そうだなぁ。正直スライムとは関わりたくないけど… 前回のは納得できないっちゃできない出来だったしな。」
雨に濡れて、衣服が重みを増す。地面は雨水でぬかるみ始める。
それでもどうにかスライムを倒す。
「コイツ、うねうねして核も動くから無傷で倒すのは無理なんじゃないの。」
一部溶かされたところを眺めながら、カインはリリンに聞いた。
「うーん、そうかもね。でも、マン・イーターはいい感じだったね。」
肩を竦めてリリンが答える。確かに性質上物理攻撃だけでは厳しいのかもしれない。弱いは弱いんだけどなぁ、とリリンは呟いた。
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