メサイア

渡邉 幻月

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修行:イェソドエリア編【五日目~七日目】

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【五日目】
どんよりとした雲が空を覆っている。
それが原因ではないだろうけれど、カインの夢見は悪かった。暗闇の中、無数の蜘蛛に囲まれる。それだけならまだしも、じわじわと迫ってくる蜘蛛が融合して巨大化していく。やがてカインと同じくらいの大きさになった蜘蛛が――…

襲われそうになったその瞬間に目覚めた。
恐怖よりも不気味さに押しつぶされそうな夢だ、と、寝汗に塗れながらカインは思った。
今日こそは、あのクモと一戦はするんだろうな… カインはこっそり溜息を吐いた。

「肩慣らしにブラックドッグと戦って、今日はもうジョロウグモ戦ね。」
朝食を食べ終え、装備も整えて街の外に出るとリリンが言った。昨日の出来事などどこ吹く風といった様子だ。
他人事だと思ってるんだろうな… カインはまた溜息を吐いた。

危うげなシーンは、昨日と比べまた一つ減る。ブラックドッグもまた攻略が近い、そんな手ごたえをカイン自身もリリンも感じる。

「じゃあ、行こっか。」
リリンの明るさが恨めしい、とカインは思う。皆まで言われなくても、朝の今だ。どこに行くのかすぐに分かった。

昨日と同じ場所に、昨日と同じようにソレ、は居た。
じぃっと、獲物が罠にかかるまで。
その様がまた、不気味さを増すのだ。嫌だと言っても始まらない。カインは、仕方なく覚悟を決める。
「相手は今までとは違う意味で手強いから、気を付けてね。援護はするけどね。」
そう言うリリンに、カインは軽く言ってくれるよなぁ、と軽くため息を吐く。
今さら逃げられる訳も無い。
カインはレイピアを構えると、ジョロウグモとの間合いを詰めた。

じりじりと近付く。
血のような色の複眼に、きらりと光が走ったように見えた――…
ひゅう、と何かが飛んでいるような音が聞こえた。
同時に何かに体当たりをされる。それがリリンだと気付くのに時間はかからなかった。
「な、何、急に」
「ぼーっとしないでよね。糸のことは説明したでしょ?」
言われてカインはさっきまで自分が居た場所に視線を移す。
糸というには太い白いものが、地面に叩きつけられていた。その粘着性ゆえに、土やら落ち葉やら、衝撃で引き千切れた草やらが張り付いている。

「あれに捕まったらね、助けるの面倒なんだから。物理攻撃の場合はね余程の達人じゃないと切れないから。切る前に糸の粘度に威力を殺されちゃうからね。」
崩れた体勢を戻しながら、リリンが言う。
「君は達人なの?」
「んなワケ無いでしょ。」
「じゃあ、もしオレが捕まったら…」
「あの糸、熱には弱いから焼き切るよ。もれなく火傷が付いてくるよ。」
「あぁ…」
色々雑だもんな、オレまで燃やしそうだよな… カインはリリンの答えに力無く頷いた。

ばさりと音がしたので、二人はハッとして視線を移す。
千切れた糸の先が地面に落ちた音だった。
「ゴミが付いたから切り落とした、のか?」
「多分ねー。」
賢いのかそういうシステムなのか、どのみち常に新しい糸で襲ってくるのだろう。

ぴくり、とジョロウグモの前脚が動いた。鋭い爪が禍々しく、鈍く光を反射している。
また、ひゅう、と音が鳴る。今度はさすがにカインも飛び退いた。
目の前でずるりと糸が千切れた。それに気を取られていると、また糸が飛んでくる音が。
それもどうにか躱すと、やはり糸は千切れて地面に落ちる。
「ねえ、逃げてばっかりだと、まずいんじゃない?」
リリンが地面を見て、カインに声をかけた。
「え?」
カインはリリンの視線を追う。もちろん、飛んでくる糸を躱しながら。
そして気付く。

早い話が、千切れた糸が足場を埋めていくのだ。まだ4本目だからいいものの、これが続けば地面は粘着性のある糸に塗れることになる。
「まー、アタシは実体が無いから影響ないけどさ。」
ああ、それで余裕だったんだ。カインは妙に納得する。
ともかく、このままでは不利になるだけだと悟ったカインは、改めてジョロウグモに向き合った。
真っ赤な複眼がこちらを見ている。

糸が厄介だ。まずは糸が出てくるところを切り落とそう。カインはジョロウグモを睨む。一撃で仕留められたら、何も悩むことはないけれど。
いまいち弱点が分からない。
思い切ってカインは動いた。助走をつけ、高くジャンプする。

ジョロウグモの前脚が振り上げられた。鋭い爪がカインめがけて振り下ろされる。
マズい――!!
カインは爪をレイピアで受け流す。が、意識が爪に集中してしまった。

ドスン。飛んできた糸にそのまま地面に叩きつけられた。べったりと糸が張り付いている。不幸中の幸いなのは、首から上には糸が張り付いていないことだろうか。
腕を動かそうとして、糸の粘液に絡め捕られて身動きが取れないことを知ったカインはゾッとした。
顔に、鼻とか口に付いたら窒息しているかもしれない。

ぐらりと体が動く。何が、と思う間に糸が持ち上げられたのだと気付く。
「カイン、ちょっとの間息を止めてて、糸、燃やすから。あ、目も閉じてて。」
リリンの言葉に、軽く燃やされる覚悟を決めてカインは分かった、と答えた。
息を止めてから一呼吸分の間に炎が通り過ぎていった。熱風も一緒に。
肌が焼けるようだ。実際、焼けているのかもしれない。
どさりと、体が打ち付けられて、そこでカインは咳き込む。
焦げる匂いが鼻を突く。
顔がヒリヒリと痛む。確かに息を止めていなければ、気管がやられていただろうな、とぼんやりとカインは思う。
ダメージはある。が。体を包んでいた蜘蛛の糸は焼け落ちていた。既にカインの体は自由を取り戻していた。
 我に返って、カインはジョロウグモを仰ぎ見る。リリンの放った炎に怖気づいているように見えた。逃げ出してもおかしくはない、が、引火したのかワザとなのか、巣も一部焼け落ちている。ジョロウグモは後退するにも退路が不安定な状態に追い込まれていた。

「あれは、君が?」
よろよろと立ち上がって、カインはリリンに聞く。
「初戦だからね、お手伝いしてみた。」
でも、早くしないと糸を使って逃げられちゃうよ? と、リリンは続けた。

レイピアを構え直し、カインはもう一度ジョロウグモに飛び掛かった。
リリンの炎がジョロウグモに恐怖を与えていたのだろう、今度はむしろ後退する素振りを見せる。
そのジョロウグモの動きもあってカインの目算とは違うところにレイピアは突き刺さった。炎で不安定になっていた巣は、カインが飛び乗った衝撃で千切れる。そのままジョロウグモは地面に叩きつけられた。
その巨体も相俟って、レイピアのような細身の刀剣が突き刺さった程度では、ジョロウグモの動きを止めるほどのダメージを与えられなかった。
地に足を付けたジョロウグモはそのまま突進するように走り出した。
「うわ!?」
不安定な場所にいたカインは、運悪く千切れ落ちた巣の上に振り落とされた。

「あら~~。」
他人事のようにリリンは気の抜けたような声を上げた。
カインは尻もちをついた格好で、糸の粘液に囚われてしまった。
「何とかしてくれる? 見てないでさ。」
「じゃ、今度も目閉じて息止めて?」
二人がそんなやり取りをしている間、ジョロウグモは方向転換をし、様子を窺っていた。

今度は炎は出なかった。
ジョロウグモの複眼が濃い赤に染まる。そのまま噛み砕いてやろう、とでも考えたのかカインめがけて突進を仕掛ける。

あわや、というタイミングでリリンは炎を放つ。
今度は手が焼けたな、とカインは炎と熱風が通り抜けていくのを感じながら考えていた。
妙に焦げ臭い、と思いながらカインは静かに目を開けた。

片方の複眼と同じ側の前脚を焼かれたジョロウグモが視界に入った。結構な至近距離に、カインはぎょっとする。
「取り敢えず、頭を攻撃すればいいと思うよ? 糸には気を付けてね。」
というリリンの助言に従って、カインは視力を失っただろう焼かれた側から攻撃をする。

なかなかに固い。それはその巨体ゆえだろうか。切りかかって見たものの、あまり深いダメージを与えられずカインは困惑する。
腹部はもう少し柔らかかった。が、レイピアの刀身ではさほどダメージは与えられないだろう。
だとしたら。
もう一度ジョロウグモの頭を見て、カインは気付く。眼か。リリンの炎で複眼の一部に深い火傷ができている。そこなら、きっと。

今度は突撃する。思惑通り火傷から脳まで突き抜ける一撃を、与える。
ジョロウグモは仰け反った。
ずるりとカインの腕が抜け、地面に落ちる。
今度はちゃんと着地したカインは身もだえるジョロウグモの様子を見ていた。
「ジョロウグモの神経中枢部に中ったみたいだね~。」
「そうなの?」
「ほら、もう動けないじゃない?」
リリンに言われ、改めて視線を戻す。地面に倒れ込んだジョロウグモはピクリとも動かない。
「もう呼吸もままならないだろうから、決着はついたかな。じゃ、怪我って言うか火傷治そっか。」
そう言ってリリンはカインの受けたダメージを癒していく。尤も今回のダメージはほとんどがリリンの炎によるものだったが。

カインは、ジョロウグモを見ていた。中枢神経部を破壊されたことにより、呼吸すら封じられじわじわと死んでいくのだという。
何と表現すれば良いのだろう。カインは、胸にもやもやとした蟠りがあることに気付いた。
これは正義なのだろうか。正しいことなのだろうか。
そういえば、何のために強くなるんだろう。魔王の勇者というのは。世界を壊すということは、それは…

カインの様子に気付いたのか、リリンは今日の実戦はこれで終わり、とそう言って彼の背中をぽん、と叩いた。

【六日目】
「マルクトの時から疑問だったんだけどさ。」
「何?」
今日の朝食は主菜が焼き魚の定食だ。箸を進めながら、カインが切り出した。
「雨の日が休みじゃないのはなんで?」
窓の外は雲の間から晴れ間が見える。が、今日は実戦の修行は休みだ。予定は夜に霊力のトレーニングがあるだけ。
二日前の雨の日に休めばよかったんじゃないか、とカインは思う。今のところ風邪はひいていないが、ずぶ濡れで宿に戻った時の主人の視線が痛い。
「いつ、どこで、どんな状況で、最終決戦になるか分からないから?」
小首を傾げてリリンが答える。
「なんで疑問形なの。ていうか、何その最終決戦て。」
「まあ実際問題最終決戦があるかは不透明なんだって。ただ、ホントにあった場合、天気が良くて足場もバッチリ! って言うとこで戦う保証は無いから。」
「不透明って…」
「神サマが相手だと、さすがのルシフェル様も完全な未来が視えないって仰ってたよ。」
「…神様。」
カインは箸を止めて考え込む。
「そ、神サマ。雨の中大変だとは思うんだけど、そんなワケだから頑張って。」
相変わらず適当というか突き放すよな… と言う考えは呑み込んで、カインはただ、頑張るよ…と力無く答えるのだった。

考えてみれば、雨じゃないおかげで休日を満喫できるんだな。
朝食を食べ終わったカインは、一人イェソドの街をぶらついてみることにした。

マルクトとは違う活気の良さ。
壁に囲まれ、自由に外には出ることが出来ない。それはどこでも同じことだ。
それが子供の頃は窮屈で仕方がなかった。つい最近、ヨナタンの行方を追って町を出るその瞬間もそう考えていた。

工房の立ち並ぶ通りを特に目的もなくぶらつきながら、カインは思い巡らす。
このイェソドの街中が平和なのも、自分たちの故郷の町が平和なのも、全てはメサイアたちが怪物を討伐してくれているからだ。

ぼろぼろになったボブキャット、身動きがとれず呼吸もできなくなって息絶えたジョロウグモ。
昔はわくわくして聞いていた、ヨナタンの話が途端に血生臭くなる。
身に染みてリアルになった。何かの亡骸の上に自分が立っていることに。それは本当はずっと昔から続いていたことなのに。

だけど。
だからと言ってメサイアのことは非難できない。彼らが居なければ、自分たちは生き延びることは出来ないだろう。
両親も、友人たちも、きっと…

ふと、冒険だって言って、話をせがむと少し困ったように微笑んだ兄の顔を思い出した。あの、戸惑いが入り混じった笑みの正体は。
「おんなじことを、考えてたのかな。アニキも。」
今度会ったら聞いてみたい。
今、どうしているんだろう――…

カインは取り留めも無く思考を巡らせる。
街の中はこんなにも平和なのに。

答えは出ないまま、日が傾いていく。

世界を壊すのが、勇者の目的なら。そのために、オレは…
怪物は、人間の天敵だ。抵抗しなければ、ただ食い殺されるだけだ。なのに、なんでこんなにモヤモヤするんだろう。
メサイアになってアニキのように討伐隊に入って、怪物を狩る。それが目的だったのはそんなに昔のことじゃない。

「ルシフェル様が居てくれたら…」
思わずカインは呟いていた。

すっかり気分が落ち込んだカインは、宿に戻って霊力のトレーニングまで休むことにした。

【七日目】
曇り空が広がる。その色合いから、今のところ雨の気配は感じられない。
このままか、少し晴れ間が見えるくらいが良いな、とカインは空を見上げて独り言ちた。

朝食を終え、今日も林へ乗り込む。
昨日の今日で気乗りしないが、そうも言っていられない。ルシフェルに認めてもらえるほど強くならなければ、勇者の意味が分からないままに違いない。

林を分け入り、また別のジョロウグモを見付ける。
昨日のジョロウグモより一回り小さい。大人か子供かはカインには判別できなかったが、少なくとも昨日のものより若いのだろう。
その分なのか、攻撃的だった。

じっと獲物が罠にかかるのを待つ素振りが無い。
カインたちの姿を見付けるなり、糸を飛ばしてきた。
「うっわ、」
咄嗟のことに、体勢を崩しながらもカインは糸を避ける。その後も、連続で糸が飛んでくるのを、カインとリリンは軽々と避けた。
出会い頭は意表を突かれたが、それほど回避するのが困難な攻撃でもない。
さすがに千切れた糸に足を取られそうになるか、というところで糸での攻撃が止んだ。

カインの気の緩んだところでジョロウグモはカインめがけて突進してきた。
「なんか、昨日のに比べて攻撃的だね~。」
ひょいひょいと身を翻し、糸を躱していたリリンが他人事のように言う。
直線的な動きは、避け易い。糸より難なく身を躱したカインが、
「何感心してんの。アドバイスの一つでもくれて良いんだけど?」
きっ、とリリンを一睨みする。
「余裕そうだし、昨日より。」
「気のせい、うわ!」
その巨体の割に俊敏だ。ジョロウグモは糸を飛ばし、それをフェイントにカイン目がけて突進してきた。

「昨日のより、賢い…?」
爪が掠り、カインは軽くだが負傷した。
「それか、体力が有り余ってるとか?」
様子を見ているリリンが一言。昨日のも、愚かでは無かったと思うよ、と付け加える。
確かに、とカインは昨日を振り返ってみる。愚かなら、もっと簡単に倒せたはずだ。

今日のジョロウグモは、糸も使うが自分が動くことに躊躇いが無いようだ。それはリリンの言う通り体力が有り余っている、そう考えた方が良いのかもしれない。
「昨日の方が体は大きかったし、糸とか罠とかの方が『楽』って思ってたのかもね~。」
気の抜けるような調子でリリンが言った。
ああ、そうか。カインはリリンの言葉に妙に納得する。人間だって、年をとるとあんまり動かなくなるもんな。カインは祖父母や両親を思い出していた。

何とか攻撃を躱すが、それでも爪が掠る。
その代わりと言うと変だが、防御力は昨日のジョロウグモよりは低いようだった。
「攻撃さえ当たれば…!」

どちらがより早く、より正確に急所に攻撃できるか。
が、結果を握っている。そうしてそれを互いに理解している。

お互い、傷が増えていく。決して致命傷では無いところが、余計に焦りをもたらすのだった。
「手伝う?」
いつの間にか背の高い木の枝の上で、のんびりと観戦していたリリンがカインに声をかけた。
「まだいい、昨日みたく糸に捕まったらよろしく。」
カインは答えた。意地もあった。助けてもらってばかりじゃ、きっとアベルにもアニキにも及ばないままになる。それは、意地と、恐怖だったのかもしれない。

一進一退とは、こういうことなんだろうか。傷の痛みと、傷口からじわじわと血液が失われていくが故の眩暈とに苛まれながら、カインはぼんやりと考えていた。
このままじゃダメだ。

一瞬、ぼんやりとした視界に閃光が走った。ようにカインには感じられた。
火花が散るような。
そうして体中に火のような何かが流れていくような感覚に、カインは襲われた。

霊力のトレーニングをしているみたいだ。

「カイン、危ない!」
リリンの声に、カインは我に返った。目の前には大きく口を開けたジョロウグモが迫る。
咄嗟にその口目がけてレイピアを突き出した。

リリンは放とうとしていた炎を収めた。
カインの一撃がジョロウグモの口内から頭へ貫通したのを確認したからだ。
とは言え、ぎりぎりだった。カインの右腕はジョロウグモの牙で負傷している。

ずるり、と、レイピアを引き抜く。カインの腕は力尽きたのかだらりと下がった。
「ところで、覚えてる?」
傷を治すためにカインに近付いたリリンが聞いた。
「何を?」
「魔法が使えそうだったじゃない?」
おかげで助けるのが遅くなっちゃった、と悪びれも無くリリンが言う。
「…そうだっけ?」
言われて考える。さっきの、あの、火のような何か、が、体中を流れる感覚。それのことなんだろうか。
「んー、自覚無し? もうちょっとかな? じゃ、腕見せて。」

リリンがカインの怪我を治し始めた、その時だった。

「誰!?」
リリンが飛び退くように振り返った。カインも視線をその先に向ける。
そこには。

草むらの影に息を潜めこちらを窺う、サーベルタイガーの姿が確認できた。
「やば…」
リリンから言葉が漏れる。
カインの怪我を完治させる前に、このイェソドエリアで最も手ごわいサーベルタイガーの出現だ。
昨日に引き続き、今日のこの怪我だ。血の匂いを嗅ぎ取ってきたのだろう。

逃走、の二文字がリリンの頭に浮かぶ。どのみちカインが無傷でもまだ荷が勝ちすぎる、とリリンは踏んでいる。
問題はこのサーベルタイガーがどこまで追ってくるかだ。街までついてこられたら、大目玉だ。この勇者育成の任務の際は他の人間に被害が出ないように、と言い付けられていたことが、リリンの頭を過る。

「…まだ動けるよ。」
リリンの動揺を察して、カインはレイピアを構えた。
そこまでで、カインの記憶は途切れた。
あとは、遠くでリリンの悲鳴が聞こえたような気がしただけで。
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