【 宇宙人Kと少女Q 】

八御伽遊楽

文字の大きさ
11 / 13

第11話:砂糖はいっぱい。気持ちもいっぱい。胸はいっぱいいっぱい──(善)

しおりを挟む

「は、初めまして。か、鴨川……杏です」

 身長推定175㎝ 体重推定65㎏ 血液の色は推定「緑色」 とっても地球に優しそう。「緑」は目にも優しそう。
 わたしの目に映るのは「白」のカッターシャツと「黒」のパンツの柏葉さん──。

「……あ、あの」

 ば、化けるの上手。柏葉さんは格好いい。そのサンプル誰だろう? 宇宙人は芸能人? わたしの皮と釣り合わないよ、柏葉さんの皮は。
 でも、人間一皮剥けば、みんな一緒? 皮膚を剥げば、みんな一緒? そうだよね、理科室にある人体模型と見た目変わらないよね。

 見た目の個性は皮と一緒に剥がされます。化かし合いの化けの皮。馬鹿馬鹿しいなら面白い? そうでもないかも。騙し合いも化かし合いも、人間社会には必要らしいのです。人間社会は経済社会。皮膚の上にある美しいという個性はお金になります。価値にもなります。勝ちにもなります。そうです、わたしは負け続け。負傷を負ってボロボロの皮膚も心も、完全降伏の完全無価値です。

 人はそれを「ゴミ」と呼びます。わたしも「ゴミ」と呼ばれます。だから、わたしはこう思います──「エコ希望」 それはエゴだとも?
 エコを決めるもの、エコをエゴと決めるのも結局は人間。人間にそんな決定権あげたのだぁれ? 答えは──「さぁ?」

 さぁ、踊りましょう。踊って忘れましょう。都合の悪いことは全部、踊って忘れましょう。

「……お、踊りますか?」

「……踊る?」

「それならわたしと踊りませんか?」

「……いや、踊らない。踊るよりも移動しよう。どこ行く?」

「線路は続くよどこまでも」

「…………」

 お目目ぱちぱち柏葉さんは考え中。地球言語を解読中? 解読できたら、おめでとうの拍手。ぱちぱちぱち。

「そこのスタバでも行くか?」

「……す、すたば?」

 油断大敵。不意を突かれたかも。未知の宇宙言語を返されました。未知に満ちてる柏葉さん。この謎を解く。

 なぞなぞ。『すたばはすたばでも行くか行かないすたばってなぁーんだ?』答え──行くすたば。

「行きます」

 どこでも。どこまでも──。

【KAFE「☆」BUCKS】

 お洒落な店内。内装は落ち着いた雰囲気の吹き抜け構造。圧迫感はありません。
 看板の「緑」と外観の「茶色」は地球を救えそう。木洩れ日の射す森の中にいるみたい。でも──。

 わたしは場違いな感じ。ここは大人な感じ。ひまわりのブローチは合わないかも? 子供っぽい? ひまわりは太陽を探すみたいにきょろきょろ挙動不審です。
 大人っぽい柏葉さんと子供っぽいわたし。店員さんっぽいお姉さん。「ご注文は?」安心できる場所をお願いします。

「ミックスサンドとソイラテ……は、HOTか? 鴨川」

「あ、温かいので」

「ソイラテはHOT。サイズはTall。俺はコーヒーのshortとフレンチトースト」

 すごい。
 柏葉さんは日本語ペラペラ。わたしよりも上手です。

 地球の共通言語は英語なのに、地球の面積の1%にも満たない日本の言葉も習得済み? それとも入力済み? 宇宙人に反復学習とか考えられないから、UFO的USBで日本語データ入力なのかも。いいな、それ。

 トレイを持って二階窓側。壁という壁は全部窓の窓側。太陽サンサンに賛成多数。役立つ麦わら帽子は顔も隠せていい感じ。赤い顔を伏せて赤い絨毯を見る。柏葉さんの顔は見られない……。

「改めて会ってみると本当にこど……少女だな。少女って言い方もおかしいか」

「い、いえ。わたしは少女です。森へ行くときは赤い頭巾を被りますし、冬はマッチを売ることもあります」

「赤い靴は履かないのか?」

「は、履きます。死ぬまで踊り続けます。で、でも……教会には通いません」

「そうだな。夏休み中、田舎に帰るときみたいな格好だしな。似合ってるぞ」

「……あ、ありがとうございます」

 ほ、褒められた……。
 似合ってる。お似合い。相性。組み合わせ。

 例えば、クッキーにミルクティー。お煎餅に緑茶。ポップコーンにコーラ。
 わたしには白ワンピに赤いリボンの麦わら帽子。ひまわりのブローチ。白いサンダル。白い恋人。恋人との相性。お似合いの二人。二人きりの時間。向かい合わせの椅子……。

 向かい合わせの食事。食事中のお喋り。他愛のない話。話好き。好きなものの話。共通の話題。尽きないお喋り。足りない休憩時間。ウェストミンスターの不穏な響き。給食の終わり。終了の時間……。

「じ、時間……どうして? 待ち合わせよりも、だいぶ……早い……」

「ああ、本屋に寄ってたんだよ。今、WEB関連の本を探しててな」

 柏葉さんは本を読む。地球言語は理解可能。地球共通語は英語。わたしに英語は理解不能。今夜の月は綺麗なアイラブユー。米人さんはアイニードゥー。身元不明は哀しいジョン・ドゥー。身元引受人は一生現れません。

「お前のほうこそ随分と早かったな。ぼー……と突っ立ってないで喫茶店にでも入ってれば良かったのに」

「ち、遅刻しないようにと思って……」


しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

むっつり金持ち高校生、巨乳美少女たちに囲まれて学園ハーレム

ピコサイクス
青春
顔は普通、性格も地味。 けれど実は金持ちな高校一年生――俺、朝倉健斗。 学校では埋もれキャラのはずなのに、なぜか周りは巨乳美女ばかり!? 大学生の家庭教師、年上メイド、同級生ギャルに清楚系美少女……。 真面目な御曹司を演じつつ、内心はむっつりスケベ。

同じアパートに住む年上未亡人美女は甘すぎる。

ピコサイクス
青春
大学生の翔太は、一人暮らしを始めたばかり。 真下の階に住むのは、落ち着いた色気と優しさを併せ持つ大人の女性・水無瀬紗夜。 引っ越しの挨拶で出会った瞬間、翔太は心を奪われてしまう。 偶然にもアルバイト先のスーパーで再会した彼女は、翔太をすぐに採用し、温かく仕事を教えてくれる存在だった。 ある日の仕事帰り、ふたりで過ごす時間が増えていき――そして気づけば紗夜の部屋でご飯をご馳走になるほど親密に。 優しくて穏やかで――その色気に触れるたび、翔太の心は揺れていく。 大人の女性と大学生、甘くちょっぴり刺激的な同居生活(?)がはじまる。

ちょっと大人な物語はこちらです

神崎 未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な短編物語集です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

ヤンデレ美少女転校生と共に体育倉庫に閉じ込められ、大問題になりましたが『結婚しています!』で乗り切った嘘のような本当の話

桜井正宗
青春
 ――結婚しています!  それは二人だけの秘密。  高校二年の遙と遥は結婚した。  近年法律が変わり、高校生(十六歳)からでも結婚できるようになっていた。だから、問題はなかった。  キッカケは、体育倉庫に閉じ込められた事件から始まった。校長先生に問い詰められ、とっさに誤魔化した。二人は退学の危機を乗り越える為に本当に結婚することにした。  ワケありヤンデレ美少女転校生の『小桜 遥』と”新婚生活”を開始する――。 *結婚要素あり *ヤンデレ要素あり

15年目のホンネ ~今も愛していると言えますか?~

深冬 芽以
恋愛
 交際2年、結婚15年の柚葉《ゆずは》と和輝《かずき》。  2人の子供に恵まれて、どこにでもある普通の家族の普通の毎日を過ごしていた。  愚痴は言い切れないほどあるけれど、それなりに幸せ……のはずだった。 「その時計、気に入ってるのね」 「ああ、初ボーナスで買ったから思い出深くて」 『お揃いで』ね?  夫は知らない。  私が知っていることを。  結婚指輪はしないのに、その時計はつけるのね?  私の名前は呼ばないのに、あの女の名前は呼ぶのね?  今も私を好きですか?  後悔していませんか?  私は今もあなたが好きです。  だから、ずっと、後悔しているの……。  妻になり、強くなった。  母になり、逞しくなった。  だけど、傷つかないわけじゃない。

わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...

MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。 ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。 さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?

25年目の真実

yuzu
ミステリー
結婚して25年。娘1人、夫婦2人の3人家族で幸せ……の筈だった。 明かされた真実に戸惑いながらも、愛を取り戻す夫婦の話。

処理中です...