【 宇宙人Kと少女Q 】

八御伽遊楽

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第12話:砂糖はいっぱい。気持ちもいっぱい。胸はいっぱいいっぱい──(悪)

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「ち、遅刻しないようにと思って……」

 遅刻。遅延。電車の遅れ。
 緊急停止。安全確認。車内のざわめき。
 車内の柏葉さん。角を取るわたしの後ろ。後ろから積極的なコンタクト……。

 生まれが違えば文化も違う。誰彼かまわずキスする米人さんみたいに。柏葉さんはわたしのお尻にコンタクト。子供の頭を撫でる大人みたいに、わたしのお尻も撫でました。揉んだんだっけ?
 抱っこもそう? 誰彼かまわずハグする米人さんみたいに。柏葉さんもわたしの身体を抱き締めました。満員電車の通学中1時間ずぅーっと……。

 こうして向かい合うと恥ずかしいな。嬉し恥ずかし? 恋せよ乙女? 恋だったらすごい。わたしの人生に恋とかあったの? 知らなかった。愛も知らない。見たことないよ。

「愛」と「好き」
「豆乳」と「珈琲牛乳」

「ラヴ」と「ライク」
「ソイ」と「ラテ」

「豆乳」と「珈琲牛乳」を混ぜ合わせれば「ソイラテ」になる。美味しいよ? HOTだし?
「愛」と「好き」を混ぜ合わせれば「恋愛」になる。ホントかな? HOTかな?

 ソイラテを飲んでみる。やっぱり美味しい。恋愛のお味は? わたしじゃ想像つかないよ。

「な、なぞなぞ」

「……なぞなぞ? ああ、ナゾナゾか」

「辛子蓮根のお味は辛い。哀しい恋愛のお味のほうは?」

「哀しいなら塩っぱい……かな?」

「普通の恋愛のお味のほうは?」

「最初は甘くて最後は苦いな」

「……こ、恋は甘く、愛は苦い……?」

「恋に恋してるときは甘い。人に恋したら恋しくて切ない。愛の後味は苦い。苦い思い出を残すからな」

「愛に関係のない苦い思い出ならいっぱいあります」

「お前は若いだろ。苦い思い出は、これから作るいい思い出に塗り潰せ」

「……それは何色?」

「さぁな。人それぞれだ。色というより模様かな? 空模様だ」

 乙女心は空模様。晴ドキドキ雨降らない。雨降るときもあるかも。相合い傘なら大丈夫。わたしの居場所は宇宙人あなたの隣。相対あいたいして相合い傘。重なる思い出。重なる身体。重なる「黒」と「黒」。それはオセロとおまんじゅう。わたしは鴨川杏。皮はお餅。中身はあんこ。わたしの中身は甘いかも?

 甘いなら恋。恋に恋してるときは甘い。砂糖はいっぱい。気持ちもいっぱい。胸はいっぱいいっぱい。
 お腹いっぱいのときとは違う苦しさ。胸いっぱいの苦しさは、晴ドキドキ涙出そう……。

 快晴。
 いい天気。
 居心地は夢見心地。
 涙はお天気雨。お散歩中のお天気雨。

 ペット可。ペット化。わんわん鳴きたいのです。わんわん泣きたいのです。

「ペ……ペットは、お好きですか?」

「……ペット? ペットは飼ったことないなぁ」

「子犬は喜び庭駆け回り、そのあとお膝で丸く……なります」

「遊び疲れたのか?」

「子犬は遊んでもらえれば、心を丸くして眠ってしまいます。子供みたいにです」

「このあとどこに行きたいか希望を尋こうかと思ってたが……」

 希望。願望。望み。望みは月の彼方かなた。王の葬儀に人々は月を眺めたのです。人々は月に昇る王を思い、わたしは星を思うのです。
 きらきら流れ星。流れ星に三回願って、七夕にお願いして、占星術に運命を捧げて、心の拠り所を知るのです。
 心の拠り所。寄せては返す波間にわたしの心はゆらゆらり。宇宙人あなたと一緒にゆらゆらり──。

「まずは海までドライブでもするか」

「海!」

 また心読まれたっ?
 海と山。それはUFOの隠し場所二大候補地!

「庭で駆け回るより、浜辺で駆け回ったほうが気持ちいいだろ?」

「はい。気持ちいいです。お尻触られてたときも気持ち良かったです」

「おい。声でかいよ」

「海も大きいかも」

「そりゃ、大きいだろ」

 地球は大きい。海も大きい。海は地表の70%を覆うほど。宇宙から見た地球の色は「青」。水星よりも「水色」の惑星。
 迷惑なのは人間。人間の色は「赤」。70億の「赤」は地表を覆う。生存競争大変ですから、戦争も大変です。「政治」「宗教」「戦争」。本当に大変なのです。

 戦争の色も「赤」。炎の色も「赤」。血と混ざれば真っ赤っ赤。洗い流すのは大変かも。
「青」と「赤」は合わせて「紫」のご名算。凄惨に地球を腐敗させる。政治と一緒? 正義じゃないから一緒だよ。

『希望を尋こうかと』

 希望の光。光は輪。波紋。形はこう「◎」。
 光の色は「透明」。「透明」は何色にもなれるから希望の色。

 光の拡散。解き放たれる太陽光。太陽は希望の星。形はこう「☆」+「○」。「○」の中の「☆」。そしてこうなる「◎」。

 わたしの心もこう「◎」。波紋。心はゆらゆらり。
 波打つ波打ち際。白い浜辺。白いサンダルは脱いでもいいかも。わたしは喜び駆け回る。

 楽しみ!
 海──見るの初めて!


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