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第十篇第三章 反乱と革命のストリンジェンド
師の想いが込められた刀
しおりを挟むそして、また別の場所で新たな火種が今にも
爆発を控える様な邂逅が遂げられていた。
身の丈程の太刀を肩に掛けて鉄鋼区域の大地
を力強く進んで来たのは反乱軍幹部のギルド
・ラーケイドだった。
そして、其の正面から静かに歩みを進めた男
は其のたおやかな銀髪を風に靡かせる。
革命軍総長ノア・クオンタムと反乱軍幹部の
ギルド・ラーケイドが互いの表情を眺めつつ
一定の距離を保って足を止めた。
「反乱軍幹部ギルド・ラーケイドか…」
「おお?俺の名前なんざ知ってくれてるってのはァ…光栄じゃねぇかよ…」
ノアからの声掛けにギルドは傷を多く負った
自身の表情にニヤリと笑みを浮かべる。
「自分の名前なんざ…か。ギルド…お前は自身の功績を見誤ってる…幾つもの業物を其の手から排出し…剣士としての腕前も時代の中に轟かせて来た男だろう?」
「ハッ…こうも面と向かって褒められんのは慣れてねぇんだがな…其れに…刀鍛冶としての俺を褒めるんでありゃ…アンタからは皮肉にも聞こえて来るってモンだァ…!」
ギルドの言葉の意味が解らずノアは不思議な
感情を浮かべながら小さく首を傾げた。
するとギルドはノアの腰元を指差す。
「其の腰元の刀…今此の時代に於いて…名工と評される七人が打った最上大業物の中でも…俺とは縁深ェ刀をアンタは持ってんだよ…!」
ノアは自身の腰元に据えられた刀に静かに
自身の視線を一瞬だけ向ける。
「最上大業物の一振り“吹雪狼”…そいつァ…俺に全てを叩き込んだ…師の人生其のモノが詰まった最高傑作なんだわ…!」
ギルドの表情が一瞬、深く重く沈んで行く。
「ずっと考えてた…やっぱりよォ…此の国の文化であり宝…此の国の刀が異国の為に使われんのはァ…黙っちゃおけねぇ…其の刀…師の元に…返還させてやらァ!」
ギルドは鞘から太刀を引き抜く。
そして、ノアはギルドの声に言葉を返す。
「確かに…俺達が掲げる鎖国の撤廃…そして外国との繋がりを取り戻そうする革命運動に嘘偽りは無い…だがな…全ては此のプレジアの民の為だ…外国との関係性を正し、終わらぬ戦争にピリオドを討つ…今を生きる民にとって此れ以上の幸せは無い…!」
「其の結果が今の紛争なんだろうがァ…今を生きる民にとっちゃあ…今の平穏が一番だって俺は思ってんだよォ…!」
ギルドの叫びにノアは一度声を発する事無く
無言の空間を作り上げる。
ギルドの意見にも一理があったからだろう。
「ハッ…とまあ、言ってみたがよォ…どんな意見にも揚げ足ってぇのは…くっついてくんだろうよ…だからよォ…チカラとチカラでどっちが正しいのか決めようやァ!!今だけはよォォ!!!!」
ギルドの身体に紫檀色(赤みの深い紫)の大地
のギフトのオーラが纏われ戦いの熱が一気に
加熱し、爆発の刻を迎えた。
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