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魔王の目覚め
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1週間でブレイブは多少であるが錬金術を習得することが出来た
簡単な傷薬や可燃性の粉、魔物用の回復薬等…
テリジェの教えは分かりやすく
雑用をこなし疲れが溜まった中でも頭にスッと入れることが出来た
「さて、そろそろじゃな」
丁度日が変わろうとしている所で、テリジェは分厚い本を閉じる
材料を放り込んだ窯に向かって疫病を封じ込めた水晶を投げ入れると
ヒュ…と周りの空気が一瞬にして吸い込まれた後
窯からブワっと熱気が噴き出した
鼻の奥が焼けそうなほどの熱気に思わずブレイブは腕で顔を覆う
シュウウウウと熱気が治まると
窯の中に深紫の色をした結晶が転がっていた
「これが…魔力の塊?」
「ああ、人には到底受け入れられぬ悍ましき魔力じゃ。その辺の魔物でも吸いきれんほどの魔力。ディアボロス以外扱えるものはそうそう居らんじゃろうな。ほれ、もってけ」
テリジェに促され、結晶を取り出す。
触れた場所からゾワリとした嫌悪感が襲い、早く手放したくなってしまうが
何とか堪え、自身の鞄へと入れた
「地下室には罪人の死体を捨てる場所がある。過去、国が攻められたときの逃げ道として使われていた所でな。そこからなら外に出られるじゃろう。ちと腐臭がきついがのう」
「分かった。…ありがとうな」
「ディアボロスに会ったら「偉大な錬金術師テリジェに感謝せよ」、と伝えておけ」
「はは…あいつ怒るかな」
未だダンジョン奥深くで眠っているであろうディアボロスのため
ブレイブはバロメを連れて死体の捨て場へと歩き出した
「お前との時間中々楽しかったぞ、ブレイブ」
「俺もだ。じゃあな、テリジェ」
ブレイブの背後でバロメも別れを告げるかの様にブルル!と鳴く
商人ブレイブと錬金術師テリジェ、二人の間に友情が生まれたのであった
死体の捨て場には白骨化した死体と
まだ最近死んだばかりのみずみずしい死体が散乱していた
飢えたネズミが死体を食い漁るのを尻目に出口を目指していく
奥まで進むと、行き止まりにぶつかってしまう
壁をよく見てみると、周りと多少色が違っているようで
隙間風がその壁に向かって吹いている様に感じた
バロメが何かを察してかグルアアアア!と叫ぶと
ドン!!と壁に向かって体当たりをする
すると、たちまち壁が崩れて外への出口が表れたのであった
外に出てバロメに乗り、村への方角を目指す
行きと同じく三日でなんとか村に辿り着くと、店に向かわず
真っ先にダンジョンの奥へと向かった
玉座への扉を開くと、未だ深い眠りにつくディアボロスの姿が目に入る
(これを…使えば…!)
ディアボロスの元に駆け寄り、結晶を取り出すと
結晶はフワリと浮き上がり、ディアボロスの胸の中へと消えていった
『…ブレイブ』
五つの眼がゆっくりと開き、ブレイブを見つめる
「おはよう、ディアボロス。気分は?」
『ああ。最高の目覚めだ』
ようやっと目を覚ました恋人を目にして、ブレイブは涙を浮かべた
今まで何百年と眠ってきた時間に比べれば微々たる時間
しかし、ブレイブにとってディアボロスが眠る数日間は
何千年にも近いような時間に感じた
ようやっと出会えた二人を祝福するように
ブフーとバロメが背後で鼻息を吐いた
『しかし、まさかあの錬金術師がお前に力を貸すとは』
「え…なんでそれを…」
『眠る間でも、我は同胞を通し世界を見ることが出来る』
「…ってことは、バロメが!?」
どこか誇らしげにバロメがぶるんっと鳴く
まさか自分の事をバロメを通して見られていたとは
「ディアボロスって、やっぱ凄いな」
今までずっと見守らていたのだと思い
ブレイブから思わず笑みが零れたのであった
簡単な傷薬や可燃性の粉、魔物用の回復薬等…
テリジェの教えは分かりやすく
雑用をこなし疲れが溜まった中でも頭にスッと入れることが出来た
「さて、そろそろじゃな」
丁度日が変わろうとしている所で、テリジェは分厚い本を閉じる
材料を放り込んだ窯に向かって疫病を封じ込めた水晶を投げ入れると
ヒュ…と周りの空気が一瞬にして吸い込まれた後
窯からブワっと熱気が噴き出した
鼻の奥が焼けそうなほどの熱気に思わずブレイブは腕で顔を覆う
シュウウウウと熱気が治まると
窯の中に深紫の色をした結晶が転がっていた
「これが…魔力の塊?」
「ああ、人には到底受け入れられぬ悍ましき魔力じゃ。その辺の魔物でも吸いきれんほどの魔力。ディアボロス以外扱えるものはそうそう居らんじゃろうな。ほれ、もってけ」
テリジェに促され、結晶を取り出す。
触れた場所からゾワリとした嫌悪感が襲い、早く手放したくなってしまうが
何とか堪え、自身の鞄へと入れた
「地下室には罪人の死体を捨てる場所がある。過去、国が攻められたときの逃げ道として使われていた所でな。そこからなら外に出られるじゃろう。ちと腐臭がきついがのう」
「分かった。…ありがとうな」
「ディアボロスに会ったら「偉大な錬金術師テリジェに感謝せよ」、と伝えておけ」
「はは…あいつ怒るかな」
未だダンジョン奥深くで眠っているであろうディアボロスのため
ブレイブはバロメを連れて死体の捨て場へと歩き出した
「お前との時間中々楽しかったぞ、ブレイブ」
「俺もだ。じゃあな、テリジェ」
ブレイブの背後でバロメも別れを告げるかの様にブルル!と鳴く
商人ブレイブと錬金術師テリジェ、二人の間に友情が生まれたのであった
死体の捨て場には白骨化した死体と
まだ最近死んだばかりのみずみずしい死体が散乱していた
飢えたネズミが死体を食い漁るのを尻目に出口を目指していく
奥まで進むと、行き止まりにぶつかってしまう
壁をよく見てみると、周りと多少色が違っているようで
隙間風がその壁に向かって吹いている様に感じた
バロメが何かを察してかグルアアアア!と叫ぶと
ドン!!と壁に向かって体当たりをする
すると、たちまち壁が崩れて外への出口が表れたのであった
外に出てバロメに乗り、村への方角を目指す
行きと同じく三日でなんとか村に辿り着くと、店に向かわず
真っ先にダンジョンの奥へと向かった
玉座への扉を開くと、未だ深い眠りにつくディアボロスの姿が目に入る
(これを…使えば…!)
ディアボロスの元に駆け寄り、結晶を取り出すと
結晶はフワリと浮き上がり、ディアボロスの胸の中へと消えていった
『…ブレイブ』
五つの眼がゆっくりと開き、ブレイブを見つめる
「おはよう、ディアボロス。気分は?」
『ああ。最高の目覚めだ』
ようやっと目を覚ました恋人を目にして、ブレイブは涙を浮かべた
今まで何百年と眠ってきた時間に比べれば微々たる時間
しかし、ブレイブにとってディアボロスが眠る数日間は
何千年にも近いような時間に感じた
ようやっと出会えた二人を祝福するように
ブフーとバロメが背後で鼻息を吐いた
『しかし、まさかあの錬金術師がお前に力を貸すとは』
「え…なんでそれを…」
『眠る間でも、我は同胞を通し世界を見ることが出来る』
「…ってことは、バロメが!?」
どこか誇らしげにバロメがぶるんっと鳴く
まさか自分の事をバロメを通して見られていたとは
「ディアボロスって、やっぱ凄いな」
今までずっと見守らていたのだと思い
ブレイブから思わず笑みが零れたのであった
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