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第2章>仔羊の影踏[ゾンビ・アポカリプス]
Log.48 mission recommencement
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「オラオラオラァ!!!!」
ドガッゴガッ
「あー……優衣さん??」
美頼が唖然としながら尋ねる。誰でも同じ反応をするんじゃないだろうか。さっきから優衣さんは人が変わったかのように叫んでいる。そして何かが車体にぶつかる鈍い音が、たまにみずみずしい音も混ざりながら、車内に響いていた。
外の様子が見える窓のようなものは運転席以外にはないので、俺らには何が起こってるのか確認することはできなかった。まあ、こんな音は生まれて初めて聞いたが。
「そろそろ一掃できるわ」
「「はやっ!?」」
俺と美頼は口を揃えてそう言ってしまう。だってまだ五分も経ってないんじゃないか?
そんなふうに考えていると、案の定、
「と思ったけど、ボスが現れたわ……」
優衣さんが舌打ちする。
「ボス?」
「あ……」
美頼は隣で聞き返すが、俺には心当たりがあった。病院にいたあいつだ。すると突然、優衣さんは大声になった。
「やばい!!二人とも捕まって!」
「はい?!」
次の瞬間車体が揺れたかと思うと、続いて宙に浮く感覚だ。投げられた。そう思った時には、地面に激突する感覚を味わっていた。手すりには捕まっていたが、支え切れずに身体中を打ち付ける。跳ね返ってぶつかった先は、美頼、つまり俺の体だ。
美頼は難なく受け止めてくれた。とても体格の差を感じた。
「アキ、大丈夫?」
「ああ、ありがと……いや、お前ってちっちゃいんだな」
俺がそう言うと、美頼は吹き出した。
「なにそれ。まあでかいとか言われたらぶん殴ってたけど」
「とにかく脱出するよ!」
意図に反して横向きになった出口を開けながら、優衣さんは焦る。俺らには外の状況がわからないので、とりあえず優衣さんに従った。
ショットガンとハンドガンを持ちながら、これであの化け物に勝てるのか不安になる。いや、勝てる気がしないのだが。
「ほら、アキ早く」
「はいはい」
まあ、なんとかなるだろう。今までだってそうだった。
そんな感じで美頼に続いて外に出る。
前言撤回。
真っ赤に染まった雲ひとつない空の下、足の踏み場もないほど散らかった腐った死体。商店街の大通りから突き当たる丁字路だが、思ったより広かった。数メートル先に、思った通り怪しいマンホールが見える。
だが問題はその上に居座っていた、例の病院で見た化け物とは比べものにならないほど巨大な……
「ムカデ……?」
美頼はそう表現した。俺もその言葉が妥当だと思う。
その生き物は、俺達がたった今降りたばかりの戦車を軽々と持ち上げて、道路のアスファルトに叩きつける。粉々になった戦車の破片を避けながら、重々しい振動を感じた。全長は大体20メートル。黒光りするその体の節々から毛むくじゃらの足が何本も突き出ている。
商店街までの道のりを思い出す。橋を崩したのはこいつに違いない。
そして頭と思われる部分には……
「見てアキ!!!あれ!!」
「まさかこれも人だった何かってことか……」
そこには不気味な男の顔が張り付いていた。いや、ムカデが男の顔を持っているから不気味なのか?
とにかく、そのムカデには表情があったのだ。
優衣さんが唸る。
「うーん……弱点がどこかわからないな」
「優衣さん、あの、例のチートみたいなやつって使えませんか?」
そう言ったのは美頼だ。まだこのゲームのウイルスに対する機能が働いていなければ、この場面も切り抜けられるかもしれない。
その間にもムカデの尻尾が殺しにかかってきた。俺と美頼は間一髪かわして転がる。真横のアスファルトが粉末状になって、鳥肌が立つ。
「一応やってみたけど……っ」
優衣さんがムカデの脚にショットガンを撃ち込みながら言った。
「……無理だった。なんせデカすぎるから力が足りないのよ」
「そうですか……」
まさに絶体絶命。
こちらの持っている武器といえば、優衣さんのショットガンにアサルトライフル。俺のハンドガンとショットガン、あとナイフか。美頼は見たところずっと戦車に隠れていたようで、何も持っていない。
「いや、どうすんだよ……これ……」
そう言ってる間にも、焦点の合ってないムカデの目玉と目が合った。
ドガッゴガッ
「あー……優衣さん??」
美頼が唖然としながら尋ねる。誰でも同じ反応をするんじゃないだろうか。さっきから優衣さんは人が変わったかのように叫んでいる。そして何かが車体にぶつかる鈍い音が、たまにみずみずしい音も混ざりながら、車内に響いていた。
外の様子が見える窓のようなものは運転席以外にはないので、俺らには何が起こってるのか確認することはできなかった。まあ、こんな音は生まれて初めて聞いたが。
「そろそろ一掃できるわ」
「「はやっ!?」」
俺と美頼は口を揃えてそう言ってしまう。だってまだ五分も経ってないんじゃないか?
そんなふうに考えていると、案の定、
「と思ったけど、ボスが現れたわ……」
優衣さんが舌打ちする。
「ボス?」
「あ……」
美頼は隣で聞き返すが、俺には心当たりがあった。病院にいたあいつだ。すると突然、優衣さんは大声になった。
「やばい!!二人とも捕まって!」
「はい?!」
次の瞬間車体が揺れたかと思うと、続いて宙に浮く感覚だ。投げられた。そう思った時には、地面に激突する感覚を味わっていた。手すりには捕まっていたが、支え切れずに身体中を打ち付ける。跳ね返ってぶつかった先は、美頼、つまり俺の体だ。
美頼は難なく受け止めてくれた。とても体格の差を感じた。
「アキ、大丈夫?」
「ああ、ありがと……いや、お前ってちっちゃいんだな」
俺がそう言うと、美頼は吹き出した。
「なにそれ。まあでかいとか言われたらぶん殴ってたけど」
「とにかく脱出するよ!」
意図に反して横向きになった出口を開けながら、優衣さんは焦る。俺らには外の状況がわからないので、とりあえず優衣さんに従った。
ショットガンとハンドガンを持ちながら、これであの化け物に勝てるのか不安になる。いや、勝てる気がしないのだが。
「ほら、アキ早く」
「はいはい」
まあ、なんとかなるだろう。今までだってそうだった。
そんな感じで美頼に続いて外に出る。
前言撤回。
真っ赤に染まった雲ひとつない空の下、足の踏み場もないほど散らかった腐った死体。商店街の大通りから突き当たる丁字路だが、思ったより広かった。数メートル先に、思った通り怪しいマンホールが見える。
だが問題はその上に居座っていた、例の病院で見た化け物とは比べものにならないほど巨大な……
「ムカデ……?」
美頼はそう表現した。俺もその言葉が妥当だと思う。
その生き物は、俺達がたった今降りたばかりの戦車を軽々と持ち上げて、道路のアスファルトに叩きつける。粉々になった戦車の破片を避けながら、重々しい振動を感じた。全長は大体20メートル。黒光りするその体の節々から毛むくじゃらの足が何本も突き出ている。
商店街までの道のりを思い出す。橋を崩したのはこいつに違いない。
そして頭と思われる部分には……
「見てアキ!!!あれ!!」
「まさかこれも人だった何かってことか……」
そこには不気味な男の顔が張り付いていた。いや、ムカデが男の顔を持っているから不気味なのか?
とにかく、そのムカデには表情があったのだ。
優衣さんが唸る。
「うーん……弱点がどこかわからないな」
「優衣さん、あの、例のチートみたいなやつって使えませんか?」
そう言ったのは美頼だ。まだこのゲームのウイルスに対する機能が働いていなければ、この場面も切り抜けられるかもしれない。
その間にもムカデの尻尾が殺しにかかってきた。俺と美頼は間一髪かわして転がる。真横のアスファルトが粉末状になって、鳥肌が立つ。
「一応やってみたけど……っ」
優衣さんがムカデの脚にショットガンを撃ち込みながら言った。
「……無理だった。なんせデカすぎるから力が足りないのよ」
「そうですか……」
まさに絶体絶命。
こちらの持っている武器といえば、優衣さんのショットガンにアサルトライフル。俺のハンドガンとショットガン、あとナイフか。美頼は見たところずっと戦車に隠れていたようで、何も持っていない。
「いや、どうすんだよ……これ……」
そう言ってる間にも、焦点の合ってないムカデの目玉と目が合った。
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