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ヘイトクライム(憎悪犯罪)の親玉 ④
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時計は「13:50分」俺たちは3人で教会前に立っている。
閉まっていた鉄製の門が開いていて、さっきはなかった「ご自由にお入りください」の立て看板が設置されていた。
俺たち3人は、偵察に来たという後ろめたさもあって、なかなか中に入る勇気出てこなかった。
「ご自由にお入りくださいって書いてあるんだから。とりあえず入ってみよう、」
山田さんに言われて俺たちは敷地内に入る。
教会の扉を開けるとそこには30人くらいの人たちがすでに椅子に座って集会の開始を待っているようだった。
受付のような長テーブルが入り口そすぐ側に設置されていて、初老のご婦人2人が俺たちを見て、にこやかに「どうぞお入りください。」と言った。
俺たちが入ると、今日の集会の式次第が書かれた紙を1枚くれた。「聖書と讃美歌集は椅子の背の部分ににありますから自由に使ってくださいね。」と言った。
受付にいた、一人のご婦人に案内され、俺たちは中ほどの席に座る。
俺たち3人は、すっかり教会の雰囲気にのまれていた。
俺は、静かに周囲にいる人たちを見渡す。そこに集まっていたのは、受付にいた人たちと同じくほとんどが老人だった。若者はおらず、中年の男女がほんの少しいるくらいだ。
式次第を見ると、
今日のお話。マタイによる福音書:6章25節ー34節 沢口隆二牧師。と書かれてある。間違いない、沢口隆二と言う名前には聞き覚えがある。
「なぁ。一宇。ここ本当に悪の巣窟なのか?どちらかって言うと、お達者クラブっぽいよな。」
敦も同じことに気が付いたようで、小声でそんなことを言った。
教会の正面にある小さな入り口の扉が開き、そこから柔和な顔をした60代くらいの男性が出て来た。
彼は、静かな足取りで演台まで進む。彼がヴァン共反会の創始者の牧師なのだろう。
「みなさん、こんにちは。」
「こんにちは。」
彼が挨拶すると、そこに居た人たちが挨拶を返す。
彼の声は低いが、良く通る声だった。
「あすのための心配は無用です。あすのことはあすが心配します。労苦はその日その日に、十分あります。これはイエスキリストの言葉です。
マタイ6章25節と34節を開いてください。だから、わたしはあなたがたに言います。自分のいのちのことで、何を食べようか、何を飲もうかと心配したり、また、からだのことで、何を着ようかと心配したりしてはいけません。あなたがたの天の父は、それがみなあなたがたに必要であることを知っておられます。だから、神の国とその義とをまず第一に求めなさい。そうすれば、それに加えて、これらのものはすべて与えられます。だから、あすのための心配は無用です。あすのことはあすが心配します。労苦はその日その日に、十分あります。」
彼が読み上げる、聖書の内容は良く分からなかったが、俺自身は音楽でも聞くようにその言葉を聞いていた。
聖書に続くその言葉への説明も実際俺にはチンプンカンプンだった。でも、この集会がヴァン共反会の集会なのか?教会に来るのも初めてだし、確かな事は言えないがこれって、ただの教会の集会じゃないのか?俺は混乱した。隣に座っている山田さんを見ると、山田さんもぽかんとした顔をしている。敦に至っては居眠りをはじめたようだ。俺は、肘でつついて敦を起こす。
俺につつかれ敦が目を覚ます。
話が終わり、沢口牧師が教会内を見渡して、俺たち3人に目を止めた。
俺は、彼から目をそらさず真っすぐに彼を見つめる。彼は俺に笑いかけた。本当に彼がヴァン共反会の親玉なのだろうか、、、?不思議な事に、彼からは嫌な感じを受けなかったからだ。
「今日は、のお導きで新しい3人の友人たちが、ここにいらっしゃったようです。立っていただけますか?」
彼が静かにそう言うと、集まった信者から拍手が起こる。俺たち3人は仕方なく立ち上がる。
「おかけください。この後、お茶会がありますので参加してくださいね。」
その後、讃美歌を歌い、俺たちの席に、献金箱と書かれた小さな木の箱が回ってくる。俺と山田さんは1000円札を財布から出し箱の中にいれた。敦は持ち合わせがなかったので、俺が敦の分の1000円札を箱に入れる。1000円と言う金額が妥当なのか俺にはさっぱりわからなかった。
集会は終わった。俺たちは、集会に参加していた老人たちに促され、奥の集会場へと向かう。集会場には、すでにお茶やコーヒーの準備がしてあり参加者が持ってきたと思われる手作りのお菓子が、手際よく並べられていく。俺たちは、円状に並べられた椅子に3人並んで座らされた。俺たちの前にあるテーブルにお茶やお菓子が並べられる。
「今日は、若い人たちがいて楽しいわ。」
老人たちは、口々にそんなことを言っている。
ここは、本当にヴァン共反会の集まりなのか?キツネにつままれた思いだった。
お茶会の準備が終わり、お茶会が始まる。
「今日は、初めてのお客さんがいますから、自己紹介から始めましょう。まずは私から。私はこの教会の牧師の沢口隆二と申します。趣味は園芸です、よろしくお願いします。」
次々と自己紹介が進む。ほとんどの人がリタイア組だったようで、名前と趣味などを言っていたが、仕事のある人は自分の職業も言っている。
次は、いよいよ俺だ、、、。俺は、自分の順番が来るまで迷っていた。本当のことを言うべきか否かを。でも、心は決まった。
「はじめまして。本田一宇と言います。俺の仕事は、ヴァンパイアの眷属です。それと、ヴァンパイアポリスで働いています。」
俺は、大きな声で一気に言った。
「今日は、ヴァン反共会の皆様のお考えを知りたくてここに来ました。ヴァンパイアポリスで働いていますが、今日こちらにお邪魔したのは完全にプライベートです。もし、皆さんの気分を害されたのならお詫びします。」
そう言って、頭を下げる。
一周ざわついたかに思われた集会所のどこからともなく拍手が起こった。
「そうでしたか、本当の事を話してくれて、ありがとう本田君。」
次の山田さんもだいたい俺と同じことを話す。
「俺は、須田敦です。俺も、ヴァンパイアの眷属をやってます。今日は、ここに文句を言いに来ました。」
(あつし、、、お前、、、。)
「文句と言うのは何ですか?」
牧師が静かな声で訊ねる。
「ヴァンパイアとの共存に反対する市民の会に対してです。俺の主に対する嫌がらせを止めてもらえるように、直談判に来たんです。」
敦は本絵をぶちまけてスッキリした顔をしている。
「ここにいる、本田一宇とは知り合いですが、ここに来たのは、俺一人の考えです。一宇と山田さんとは偶然教会の前で会いました。」
敦はそう続けた。
「そうでしたか、、、。今日あなた方がここに来られたのは、きっと神の思し召しでしょう。」
沢田牧師が慌てる様子もなくそう言って笑顔を見せた。
閉まっていた鉄製の門が開いていて、さっきはなかった「ご自由にお入りください」の立て看板が設置されていた。
俺たち3人は、偵察に来たという後ろめたさもあって、なかなか中に入る勇気出てこなかった。
「ご自由にお入りくださいって書いてあるんだから。とりあえず入ってみよう、」
山田さんに言われて俺たちは敷地内に入る。
教会の扉を開けるとそこには30人くらいの人たちがすでに椅子に座って集会の開始を待っているようだった。
受付のような長テーブルが入り口そすぐ側に設置されていて、初老のご婦人2人が俺たちを見て、にこやかに「どうぞお入りください。」と言った。
俺たちが入ると、今日の集会の式次第が書かれた紙を1枚くれた。「聖書と讃美歌集は椅子の背の部分ににありますから自由に使ってくださいね。」と言った。
受付にいた、一人のご婦人に案内され、俺たちは中ほどの席に座る。
俺たち3人は、すっかり教会の雰囲気にのまれていた。
俺は、静かに周囲にいる人たちを見渡す。そこに集まっていたのは、受付にいた人たちと同じくほとんどが老人だった。若者はおらず、中年の男女がほんの少しいるくらいだ。
式次第を見ると、
今日のお話。マタイによる福音書:6章25節ー34節 沢口隆二牧師。と書かれてある。間違いない、沢口隆二と言う名前には聞き覚えがある。
「なぁ。一宇。ここ本当に悪の巣窟なのか?どちらかって言うと、お達者クラブっぽいよな。」
敦も同じことに気が付いたようで、小声でそんなことを言った。
教会の正面にある小さな入り口の扉が開き、そこから柔和な顔をした60代くらいの男性が出て来た。
彼は、静かな足取りで演台まで進む。彼がヴァン共反会の創始者の牧師なのだろう。
「みなさん、こんにちは。」
「こんにちは。」
彼が挨拶すると、そこに居た人たちが挨拶を返す。
彼の声は低いが、良く通る声だった。
「あすのための心配は無用です。あすのことはあすが心配します。労苦はその日その日に、十分あります。これはイエスキリストの言葉です。
マタイ6章25節と34節を開いてください。だから、わたしはあなたがたに言います。自分のいのちのことで、何を食べようか、何を飲もうかと心配したり、また、からだのことで、何を着ようかと心配したりしてはいけません。あなたがたの天の父は、それがみなあなたがたに必要であることを知っておられます。だから、神の国とその義とをまず第一に求めなさい。そうすれば、それに加えて、これらのものはすべて与えられます。だから、あすのための心配は無用です。あすのことはあすが心配します。労苦はその日その日に、十分あります。」
彼が読み上げる、聖書の内容は良く分からなかったが、俺自身は音楽でも聞くようにその言葉を聞いていた。
聖書に続くその言葉への説明も実際俺にはチンプンカンプンだった。でも、この集会がヴァン共反会の集会なのか?教会に来るのも初めてだし、確かな事は言えないがこれって、ただの教会の集会じゃないのか?俺は混乱した。隣に座っている山田さんを見ると、山田さんもぽかんとした顔をしている。敦に至っては居眠りをはじめたようだ。俺は、肘でつついて敦を起こす。
俺につつかれ敦が目を覚ます。
話が終わり、沢口牧師が教会内を見渡して、俺たち3人に目を止めた。
俺は、彼から目をそらさず真っすぐに彼を見つめる。彼は俺に笑いかけた。本当に彼がヴァン共反会の親玉なのだろうか、、、?不思議な事に、彼からは嫌な感じを受けなかったからだ。
「今日は、のお導きで新しい3人の友人たちが、ここにいらっしゃったようです。立っていただけますか?」
彼が静かにそう言うと、集まった信者から拍手が起こる。俺たち3人は仕方なく立ち上がる。
「おかけください。この後、お茶会がありますので参加してくださいね。」
その後、讃美歌を歌い、俺たちの席に、献金箱と書かれた小さな木の箱が回ってくる。俺と山田さんは1000円札を財布から出し箱の中にいれた。敦は持ち合わせがなかったので、俺が敦の分の1000円札を箱に入れる。1000円と言う金額が妥当なのか俺にはさっぱりわからなかった。
集会は終わった。俺たちは、集会に参加していた老人たちに促され、奥の集会場へと向かう。集会場には、すでにお茶やコーヒーの準備がしてあり参加者が持ってきたと思われる手作りのお菓子が、手際よく並べられていく。俺たちは、円状に並べられた椅子に3人並んで座らされた。俺たちの前にあるテーブルにお茶やお菓子が並べられる。
「今日は、若い人たちがいて楽しいわ。」
老人たちは、口々にそんなことを言っている。
ここは、本当にヴァン共反会の集まりなのか?キツネにつままれた思いだった。
お茶会の準備が終わり、お茶会が始まる。
「今日は、初めてのお客さんがいますから、自己紹介から始めましょう。まずは私から。私はこの教会の牧師の沢口隆二と申します。趣味は園芸です、よろしくお願いします。」
次々と自己紹介が進む。ほとんどの人がリタイア組だったようで、名前と趣味などを言っていたが、仕事のある人は自分の職業も言っている。
次は、いよいよ俺だ、、、。俺は、自分の順番が来るまで迷っていた。本当のことを言うべきか否かを。でも、心は決まった。
「はじめまして。本田一宇と言います。俺の仕事は、ヴァンパイアの眷属です。それと、ヴァンパイアポリスで働いています。」
俺は、大きな声で一気に言った。
「今日は、ヴァン反共会の皆様のお考えを知りたくてここに来ました。ヴァンパイアポリスで働いていますが、今日こちらにお邪魔したのは完全にプライベートです。もし、皆さんの気分を害されたのならお詫びします。」
そう言って、頭を下げる。
一周ざわついたかに思われた集会所のどこからともなく拍手が起こった。
「そうでしたか、本当の事を話してくれて、ありがとう本田君。」
次の山田さんもだいたい俺と同じことを話す。
「俺は、須田敦です。俺も、ヴァンパイアの眷属をやってます。今日は、ここに文句を言いに来ました。」
(あつし、、、お前、、、。)
「文句と言うのは何ですか?」
牧師が静かな声で訊ねる。
「ヴァンパイアとの共存に反対する市民の会に対してです。俺の主に対する嫌がらせを止めてもらえるように、直談判に来たんです。」
敦は本絵をぶちまけてスッキリした顔をしている。
「ここにいる、本田一宇とは知り合いですが、ここに来たのは、俺一人の考えです。一宇と山田さんとは偶然教会の前で会いました。」
敦はそう続けた。
「そうでしたか、、、。今日あなた方がここに来られたのは、きっと神の思し召しでしょう。」
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