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ヘイトクライム(憎悪犯罪)の親玉 ⑬
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ヴァン共反会が爆弾テロを仕掛ける当日の夜がやってきた。
ただし、大野弁護士をヴァンパイア裁判所でコールドスリープ状態で拘束してあるため、彼らが指導者抜きでテロを実行するのか分からなかった。奴らが来る可能性は五分五分。
それでも俺たちは、奴らを迎え撃つのに万全の態勢を整えて奴らを待っていた。
大野弁護士の脳内情報では、彼らは花屋に扮して午後19時に来署する。そして、ヴァンパイアポリスの署内にある観葉植物を交換すると見せかけて、爆弾の仕込まれた観葉植物を設置。全員が安全な位置まで避難したら、設置した爆弾を爆破させ、その後、銃器などの武器を持って署内に戻り、ケガ負って動けなくなった署員を皆殺しにする、そのような計画だった。
「18:55」俺たちは緊張して奴らが来るのを待つ。
アヤメと俺、赤目と常盤さんは、1階ロビーの死角になる階段の陰で奴らの到着を待っていた。
他の隊員も各フロアで、奴らの到着を待っているはずだ。
俺たちの班は、1階フロア担当のヴァン共反会員が植物を設置して車に戻るのを待ち、車に中にいる全員を拘束。あわせて車の中の武器一式を確保する。
残りのメンバーは各フロアで、そこに来るヴァン共反会員を待ち即座に確保する手はずになっていた。
予定時刻を過ぎても、ヴァン共反会のメンバーはやってこない。やはり大野が消えたため作戦は中止になったのかも知れない。
「そのまま、19:30まで、その場で待機。」
高木班長から無線で指示がある。
「19:15」
奴らは来ない、、。大野がいなくなった事実に恐れをなして、今日の襲撃を諦めたのか。俺がそう思った次の瞬間、門の中に白い大型のバンが入って来た。車のボディーには「花久」の文字が読み取れる。
俺たちは息をひそめて奴らの到着を待つ。
玄関を入って来たのは8人。一人一鉢ずつ植木鉢を抱えている。
一人の男が植木鉢を置き、受付に挨拶する。
「あれ?花久さん。もう交換の時期でしたっけ?」
受付にいる女性が受付に来た男に声を掛けた。彼女の声は無線で全ての捜査官に聞こえているはずだ。作戦開始の合図に俺たちみんなが身を固くする。
6人が植木鉢を抱えて階段を昇って行く。1階に残った二人は植木鉢を取り換えて車に戻って行った。俺たちは、正面玄関ではなく横の出入り口から署を出て、彼らに見つからないようそっと車に近づく。車の窓には目張りがされていて中の様子を見ることは出来ない。
「中にいるのは4人だ。」
類が小声で言う。
「類。あんたが1人。あたしが3人。常盤ちゃんは声を掛けるまで安全なところで待機してて。一宇は運転手の男を確保。はいこれ。」
そう言ってアヤメが俺に手渡したのは、激辛唐辛子入り痴漢撃退スプレーだった。
アヤメの髪が深紅に染まる。俺は、運転手に見つからないように、腰をかがめながら運転席の扉の前で待機する。アヤメと類が動きだしてから俺が動いた方が良いと考えたからだ。
常盤さんはアヤメに言われた通り、車から離れ花の植え込みに身を隠す。
扉が乱暴に開く音がした。アヤメと類が突入したのだろう。俺は運転席のドアを開け運転手の男の顔に激辛唐辛子スプレーを大量に吹きかける。男は突然の襲撃に成す術なくスプレーをかけられ、顔を押さえて身もだえている。
俺は、男を運転席から引きずり下ろしその両腕に手錠を掛けた。スプレーを撒きすぎて俺の目も痛い、、、。
後部座席はすっかり静かになっている。見に行くと男4人が失神してパンケーキのように積み重ねられていた。
「サキ!手錠!」
類がそう言うと、植え込みから出て来た常盤さんが4人の男に次々と手錠を掛けていく。
「2階、全員確保。」
「4階、全員確保。」
「3階、全員確保。」
各隊員をつなぐ無線からは、各フロアでヴァン共反会のテロリスト達を確保したと無線連絡が次々と入ってくる。
「1階及びテロリストの車両、全員確保しました。」
アヤメの連絡が一番最後だった。
ヴァン共反会のメンバーは、あっけないほど簡単に捕まった。訓練も受けていない素人集団がプロに敵うわけがない。でも、これが奇襲攻撃だったら、、、。そう考えずにはいられない。
司さんの作戦は、これで終わりではなかった。
むしろ、ここからが本番と言ってもいい。ヴァンパイアポリスの連絡で、ヴァンパイア政府の首相、秦平助とヴァンパイア政府の要人が護送車に乗って表れる。彼らは、迅速にテロの犯人を護送車に乗せ、彼らの所持していた武器を持って去って行った。
ここを去る前、護送される犯人の一人が、俺たちに向かって、
「ヴァンパイア相手に犯した罪に対して日本の警察は甘いからな。すぐに出て来て、またやってやるよ!」
と叫んだ。
「今回は、そうはなりませんよ。」
彼に言葉に答えたのは、秦首相だった。
「君たちのお陰で、世の中はだいぶ良くなるでしょうね。でも、君たちが暮らす世界は、住みやすくなった世の中ではなく、冷たい壁の中なのが残念だとも言えますがね。」
彼の氷のような視線に射抜かれた男は、それ以上何も言えず、おとなしく護送車に乗って運ばれて行った。
ただし、大野弁護士をヴァンパイア裁判所でコールドスリープ状態で拘束してあるため、彼らが指導者抜きでテロを実行するのか分からなかった。奴らが来る可能性は五分五分。
それでも俺たちは、奴らを迎え撃つのに万全の態勢を整えて奴らを待っていた。
大野弁護士の脳内情報では、彼らは花屋に扮して午後19時に来署する。そして、ヴァンパイアポリスの署内にある観葉植物を交換すると見せかけて、爆弾の仕込まれた観葉植物を設置。全員が安全な位置まで避難したら、設置した爆弾を爆破させ、その後、銃器などの武器を持って署内に戻り、ケガ負って動けなくなった署員を皆殺しにする、そのような計画だった。
「18:55」俺たちは緊張して奴らが来るのを待つ。
アヤメと俺、赤目と常盤さんは、1階ロビーの死角になる階段の陰で奴らの到着を待っていた。
他の隊員も各フロアで、奴らの到着を待っているはずだ。
俺たちの班は、1階フロア担当のヴァン共反会員が植物を設置して車に戻るのを待ち、車に中にいる全員を拘束。あわせて車の中の武器一式を確保する。
残りのメンバーは各フロアで、そこに来るヴァン共反会員を待ち即座に確保する手はずになっていた。
予定時刻を過ぎても、ヴァン共反会のメンバーはやってこない。やはり大野が消えたため作戦は中止になったのかも知れない。
「そのまま、19:30まで、その場で待機。」
高木班長から無線で指示がある。
「19:15」
奴らは来ない、、。大野がいなくなった事実に恐れをなして、今日の襲撃を諦めたのか。俺がそう思った次の瞬間、門の中に白い大型のバンが入って来た。車のボディーには「花久」の文字が読み取れる。
俺たちは息をひそめて奴らの到着を待つ。
玄関を入って来たのは8人。一人一鉢ずつ植木鉢を抱えている。
一人の男が植木鉢を置き、受付に挨拶する。
「あれ?花久さん。もう交換の時期でしたっけ?」
受付にいる女性が受付に来た男に声を掛けた。彼女の声は無線で全ての捜査官に聞こえているはずだ。作戦開始の合図に俺たちみんなが身を固くする。
6人が植木鉢を抱えて階段を昇って行く。1階に残った二人は植木鉢を取り換えて車に戻って行った。俺たちは、正面玄関ではなく横の出入り口から署を出て、彼らに見つからないようそっと車に近づく。車の窓には目張りがされていて中の様子を見ることは出来ない。
「中にいるのは4人だ。」
類が小声で言う。
「類。あんたが1人。あたしが3人。常盤ちゃんは声を掛けるまで安全なところで待機してて。一宇は運転手の男を確保。はいこれ。」
そう言ってアヤメが俺に手渡したのは、激辛唐辛子入り痴漢撃退スプレーだった。
アヤメの髪が深紅に染まる。俺は、運転手に見つからないように、腰をかがめながら運転席の扉の前で待機する。アヤメと類が動きだしてから俺が動いた方が良いと考えたからだ。
常盤さんはアヤメに言われた通り、車から離れ花の植え込みに身を隠す。
扉が乱暴に開く音がした。アヤメと類が突入したのだろう。俺は運転席のドアを開け運転手の男の顔に激辛唐辛子スプレーを大量に吹きかける。男は突然の襲撃に成す術なくスプレーをかけられ、顔を押さえて身もだえている。
俺は、男を運転席から引きずり下ろしその両腕に手錠を掛けた。スプレーを撒きすぎて俺の目も痛い、、、。
後部座席はすっかり静かになっている。見に行くと男4人が失神してパンケーキのように積み重ねられていた。
「サキ!手錠!」
類がそう言うと、植え込みから出て来た常盤さんが4人の男に次々と手錠を掛けていく。
「2階、全員確保。」
「4階、全員確保。」
「3階、全員確保。」
各隊員をつなぐ無線からは、各フロアでヴァン共反会のテロリスト達を確保したと無線連絡が次々と入ってくる。
「1階及びテロリストの車両、全員確保しました。」
アヤメの連絡が一番最後だった。
ヴァン共反会のメンバーは、あっけないほど簡単に捕まった。訓練も受けていない素人集団がプロに敵うわけがない。でも、これが奇襲攻撃だったら、、、。そう考えずにはいられない。
司さんの作戦は、これで終わりではなかった。
むしろ、ここからが本番と言ってもいい。ヴァンパイアポリスの連絡で、ヴァンパイア政府の首相、秦平助とヴァンパイア政府の要人が護送車に乗って表れる。彼らは、迅速にテロの犯人を護送車に乗せ、彼らの所持していた武器を持って去って行った。
ここを去る前、護送される犯人の一人が、俺たちに向かって、
「ヴァンパイア相手に犯した罪に対して日本の警察は甘いからな。すぐに出て来て、またやってやるよ!」
と叫んだ。
「今回は、そうはなりませんよ。」
彼に言葉に答えたのは、秦首相だった。
「君たちのお陰で、世の中はだいぶ良くなるでしょうね。でも、君たちが暮らす世界は、住みやすくなった世の中ではなく、冷たい壁の中なのが残念だとも言えますがね。」
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