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白神剣護の野望 ⑧
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村の人たちの東門地区からの避難が滞りなく終了する。
村の人や家族と別れを告げて戻ったゆずが、「ほんと、正博のやつには困っちゃったよ。」と、ほっぺたを膨らませて怒っている。
聞けば、正博は「ゆずがここに残るなら俺も残る!」と言い張って周囲を困らせたらしい。それをゆずは「正博が居たらゆずは正博の無事が気になって安心して戦うことが出来ない。」と言って避難することを承諾させたらしい。
ゆずは、安全になったら正博も一緒にベニーランドに連れて行くと約束した!と言っている。
次回のベニーランドツアーは、大人数になりそうだ。
翌日の午後、日本政府から派遣された自衛隊員が無事に合流したため、ヴァンパイアポリスの眷属隊も昼の洞窟警護から解放された。自衛隊が来たことにより、のどかな東門地区はますます物々しい雰囲気に包まれている。
マスコミ各社は東門地区への立ち入りを厳しく制限されていた。にもかかわらずルールを破り、こっそりと侵入してくる者が後を絶たず、警護にあたっているヴァンパイアポリスと度々トラブルを起こしていた。
今日の午後も、早速警護を始めた自衛隊員の目を盗み東門のすぐ近くまで、テレビカメラとリポーターの二人が侵入して、大騒ぎになった。カメラマンとリポーターの二人は、警護のために建てられたタープを突破し、洞窟に向かって走り出し、洞窟のすぐ近くでリポートを始める。LIVEで中継されたその映像は、その直後恐ろしい映像を日本中に向けて発信することになった。
「皆さん、ご覧ください。この先の山にぽっかりと空いているあの洞窟が、東門と呼ばれる魔界に繋がる洞窟です。洞窟の入り口には、小さな祠が建てられているようです、、、。ぐぅぐぐぐぅぅ。」
リポートできたのはそこまでだった。若い美人リポーターの顔に幾つも瘤のようなものが出来はじめた。見た目が醜く変化しただけではなく、彼女は突如カメラマンに襲い掛かる。カメラが倒され映像が消える、その後もカメラマンの断末魔の声だけが響いていた。
この映像は、放送直後にネットで全国に拡散された。
怪我の功名と言っては申し訳ないが、この後、東門に侵入するマスコミはいなくなった。
それと、やすやすと東門のすぐ前までマスコミを侵入させたことに危機感を覚えた自衛隊が警備の人数を3倍に増やした。
それでも、頭の良い白神が相手では心もとないことに変わりはない。
白神が次にどんな手に打って出るのかがわかれば、手の打ちようもあるのに、、、。そんな焦りが現場を支配して、ピリピリムードが漂っていた。
そのなかで、変わらないのはマイペースの杉山、灰野コンビ。いつも明るいノエル、稲葉コンビだった。
「守人様、社周囲の警備にあたってお願いしたいことがあるのですが、、、。」
そう声をかけて来たのは、杉山さんだった。
「あの~。杉山さん。守人様って呼ぶのは、出来たらやめてほしいんですけど。」
俺が守人だと発表されて以降、態度こそ一切変わらない杉山さんが俺を「守人様」と呼ぶことに、すっかり俺は閉口していた。
「守人様をお名前で呼ぶわけにはいきませんから。」
と毎回つれない返事でかわされてしまう。この先、ずっと守人様と呼ばれるのはごめんだ。俺は灰野のお知恵を拝借することにした。
灰野は笑いながら、いくつかアイデアを出してくれた。その中で灰野が即効性があると言ったアイデアを俺は試してみることにする。
チャンスは早速やって来た。
「守人様。先日お願いした門の周辺の定時点検の事ですが、、、。」
「ああ、その件はチヒロっちにお任せします。チヒロっちの言う通りに俺は動きます。」
「ち、ち、チヒロっち!なんですか、守人様。その呼び方は。」
「いやぁ。チヒロっちが、俺の呼び方を守人様って変えたでしょ、だから俺も、杉山さんじゃなくってチヒロっちって呼んでみようかなぁって思ってさ。」
「そ、その呼び方は、職場では不適切です。それに、そんな風に呼ばれて私が即座に対応できないことを考えれば、今まで通り「杉山さん」と呼んでいただくのが合理的かと思います。」
「だよねぇ。急に呼び方を変えたら、いざという時に対応が遅れるかもしれないよね。」
ここで、彼女は俺の考えを理解したらしい。
「でも、守人というのは役職であって名前をいたずらに変えたわけではありません!」
「俺、まだ正式に守人の任に就いてるわけじゃないから。今ここにいるのは、ヴァンパイアポリスの刑部アヤメの眷属、本田一宇としてなんだよね。それで、納得してもらえないかな?ぶっちゃけ言っちゃうと、杉山さんに「守人様」って呼ばれるのは居心地が悪くってさ。」
杉山さんが暫く考え込む。
「わかりました、本田さん。本田さんが正式に守人の任に就くまで、本田さんと呼ばせていただきます。で、でも。」
「ありがとう。杉山さん。でも?」
「プライベートなら。私をチヒロっちって呼ぶのは構いませんから。」
杉山さんが真っ赤な顔をして走って行ってしまった、、、、。
えっ?いいの?プライベートなら、、、。杉山さんの考えていることは、俺にはいまいちよく解らない。
そんな会話の直後、ヴァンパイアポリスの本署からとんでもないニュースが飛び込んで来た。
ヴァンパイア裁判所が襲撃されトキオが脱獄したと、、、、。
村の人や家族と別れを告げて戻ったゆずが、「ほんと、正博のやつには困っちゃったよ。」と、ほっぺたを膨らませて怒っている。
聞けば、正博は「ゆずがここに残るなら俺も残る!」と言い張って周囲を困らせたらしい。それをゆずは「正博が居たらゆずは正博の無事が気になって安心して戦うことが出来ない。」と言って避難することを承諾させたらしい。
ゆずは、安全になったら正博も一緒にベニーランドに連れて行くと約束した!と言っている。
次回のベニーランドツアーは、大人数になりそうだ。
翌日の午後、日本政府から派遣された自衛隊員が無事に合流したため、ヴァンパイアポリスの眷属隊も昼の洞窟警護から解放された。自衛隊が来たことにより、のどかな東門地区はますます物々しい雰囲気に包まれている。
マスコミ各社は東門地区への立ち入りを厳しく制限されていた。にもかかわらずルールを破り、こっそりと侵入してくる者が後を絶たず、警護にあたっているヴァンパイアポリスと度々トラブルを起こしていた。
今日の午後も、早速警護を始めた自衛隊員の目を盗み東門のすぐ近くまで、テレビカメラとリポーターの二人が侵入して、大騒ぎになった。カメラマンとリポーターの二人は、警護のために建てられたタープを突破し、洞窟に向かって走り出し、洞窟のすぐ近くでリポートを始める。LIVEで中継されたその映像は、その直後恐ろしい映像を日本中に向けて発信することになった。
「皆さん、ご覧ください。この先の山にぽっかりと空いているあの洞窟が、東門と呼ばれる魔界に繋がる洞窟です。洞窟の入り口には、小さな祠が建てられているようです、、、。ぐぅぐぐぐぅぅ。」
リポートできたのはそこまでだった。若い美人リポーターの顔に幾つも瘤のようなものが出来はじめた。見た目が醜く変化しただけではなく、彼女は突如カメラマンに襲い掛かる。カメラが倒され映像が消える、その後もカメラマンの断末魔の声だけが響いていた。
この映像は、放送直後にネットで全国に拡散された。
怪我の功名と言っては申し訳ないが、この後、東門に侵入するマスコミはいなくなった。
それと、やすやすと東門のすぐ前までマスコミを侵入させたことに危機感を覚えた自衛隊が警備の人数を3倍に増やした。
それでも、頭の良い白神が相手では心もとないことに変わりはない。
白神が次にどんな手に打って出るのかがわかれば、手の打ちようもあるのに、、、。そんな焦りが現場を支配して、ピリピリムードが漂っていた。
そのなかで、変わらないのはマイペースの杉山、灰野コンビ。いつも明るいノエル、稲葉コンビだった。
「守人様、社周囲の警備にあたってお願いしたいことがあるのですが、、、。」
そう声をかけて来たのは、杉山さんだった。
「あの~。杉山さん。守人様って呼ぶのは、出来たらやめてほしいんですけど。」
俺が守人だと発表されて以降、態度こそ一切変わらない杉山さんが俺を「守人様」と呼ぶことに、すっかり俺は閉口していた。
「守人様をお名前で呼ぶわけにはいきませんから。」
と毎回つれない返事でかわされてしまう。この先、ずっと守人様と呼ばれるのはごめんだ。俺は灰野のお知恵を拝借することにした。
灰野は笑いながら、いくつかアイデアを出してくれた。その中で灰野が即効性があると言ったアイデアを俺は試してみることにする。
チャンスは早速やって来た。
「守人様。先日お願いした門の周辺の定時点検の事ですが、、、。」
「ああ、その件はチヒロっちにお任せします。チヒロっちの言う通りに俺は動きます。」
「ち、ち、チヒロっち!なんですか、守人様。その呼び方は。」
「いやぁ。チヒロっちが、俺の呼び方を守人様って変えたでしょ、だから俺も、杉山さんじゃなくってチヒロっちって呼んでみようかなぁって思ってさ。」
「そ、その呼び方は、職場では不適切です。それに、そんな風に呼ばれて私が即座に対応できないことを考えれば、今まで通り「杉山さん」と呼んでいただくのが合理的かと思います。」
「だよねぇ。急に呼び方を変えたら、いざという時に対応が遅れるかもしれないよね。」
ここで、彼女は俺の考えを理解したらしい。
「でも、守人というのは役職であって名前をいたずらに変えたわけではありません!」
「俺、まだ正式に守人の任に就いてるわけじゃないから。今ここにいるのは、ヴァンパイアポリスの刑部アヤメの眷属、本田一宇としてなんだよね。それで、納得してもらえないかな?ぶっちゃけ言っちゃうと、杉山さんに「守人様」って呼ばれるのは居心地が悪くってさ。」
杉山さんが暫く考え込む。
「わかりました、本田さん。本田さんが正式に守人の任に就くまで、本田さんと呼ばせていただきます。で、でも。」
「ありがとう。杉山さん。でも?」
「プライベートなら。私をチヒロっちって呼ぶのは構いませんから。」
杉山さんが真っ赤な顔をして走って行ってしまった、、、、。
えっ?いいの?プライベートなら、、、。杉山さんの考えていることは、俺にはいまいちよく解らない。
そんな会話の直後、ヴァンパイアポリスの本署からとんでもないニュースが飛び込んで来た。
ヴァンパイア裁判所が襲撃されトキオが脱獄したと、、、、。
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