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敵の次の一手 ④
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木村さんの話は続く。
「君の敵。白髪の男は昔から君お祖母さんと自分だけの世界で暮らしたいと望んでいたんだ。でも、現実ではその夢は叶わなかった。彼らに課せられた任務がそれを許さなかったし、何より君のお祖母さんが愛したのは、君のお爺さんだったから。その時の彼の絶望は凄まじかった。彼の愛する女性を死なせてしまう程にね。彼は彼女が亡くなった後、自分も死んでしまおうと考えた。でも、彼女に対する執着と君の祖父に対する憎しみが彼を誤った方向に向かわせた。彼はとても頭の良い男だった。天才と言ってもいいくらいに。そうですよね?」
木村さんが宗助所長を見る。宗助所長は無言で頷く。
「彼は考えた。自分の知識で、彼女を取り戻し、彼女を奪った人間に復讐できないかと。ただ、本田君。君に対しては複雑な思いがあるようです。君は、憎い男が愛する女性に産ませた子どもの子供だからね。君は、一度彼に会っているね?」
「はい。でも、ほんの一瞬です。」
「その時、彼は君が愛する女性の血を受け継いでると気が付いたみたいですよ。だって君の瞳は彼女にそっくりだから。彼はその時、君と君の仲間を殺すことができたはずです。でも、彼はそうしなかった、違うかい?」
「あの時。奴は、逃げたんです。」
「彼は、彼女と同じ瞳を持った君を見て躊躇してしまったんだね。そして、逃げた。それが真相です。そして、、、。」
「そして?」
「彼が長年思い続けて叶わなかった、ある計画が君を見て実行に移されることになった。」
「ある計画?白神の計画と俺にどんな関係があるんですか!」
俺は思わず身を乗り出した。
「まぁ、落ち着きなさい。君たちも、彼の読んだ昔話の話は知っているね。あれには君たちが考えている通りに続編があるんだ。そこに、白髪男の計画の全貌が書かれてあるそれを読めば奴の次の一手も解ります。君たちはその在りかが聞きたくて私のところに来たんだろ?どうやら私は君たちにその在りかを教える役目にあるらしい。先日、そんな夢を見たんだよ。それで近々、本田君が私に会いに来る分かったんだけどね。」
「それで、本は、どこにあるんですか?」
「本は、洞窟の中にある。洞窟の中に掘られた横穴のようなところがあるよね?そこの中に隠してあります。」
「隠してある?どこに、どこに隠してあるんですか?一刻を争う事態なんです。教えてください。」
「残念ながら、それを教えるのは私の役目じゃないんでね。別の人から聞いてください。」
「別の人って誰ですか?」
「君たち、これからその洞窟に戻るんだろ?行って自分で聞いてください。これで私の話は終わりです。」
「それだけですか?」
「はい、それで終わりです。あっ。今夜は君には嫌な話ばかりしてしまいましたから、良い事も教えてあげましょう。」
「良い事ですか?」
「君は、お爺さんが亡くなる時、何か約束をしましたね。君はそれを人生の指針にしている。」
「はい。」
「一番最後におじいさんが言った約束を憶えていますか?」
「はい。憶えています。」
それは、じいさんが亡くなる前に俺の手を取って約束させたあの約束の事だろう。自分のために提供された食事は美味しく頂け、日本男子はいつなんどきでも子どもと婦女子を守れ、。受けた恩は必ず返せ、その後に言った最後の約束。当時の俺には、なぜじいさんが死ぬ間際にそんな事を言い出したのかさっぱり解らなかった。ただその時は、じいさんがあまりに真剣にそのことを言ってるのと、死にゆく爺さんを悲しませたくない一心で、俺はじいさんと約束をした。じいさんの過去を見た今なら、じいさんがなんで俺に約束をさせたのかがわかるような気がする。
「君は、そのお祖父さんとの約束を守ることになるでしょうね。」
え??それって??
「はい。本当に話はお終いです。平和が戻ったら、本田君にはナルホドバーガーをお腹いっぱいご馳走してもらうことにします。ナルホドバーガーが腹いっぱい食べられるくらいのお金を持って君が来るのを待っていますよ」
そう言って木村さんは手のひらをひらひらさせて帰って行った。
「さぁ、帰りましょう。誰かが本の在りかを話してくれるって言うなら聞きに行かなくっちゃね。」
宗助所長がそう言って歩き出す。
じいさんとの最後の約束って、、、。俺は新たに飛び出した謎を頭から振り払う。今はそんなことを考えている場合じゃない。白神との戦いに備えなければ。俺も宗助所長の後を追って歩き出した。
「君の敵。白髪の男は昔から君お祖母さんと自分だけの世界で暮らしたいと望んでいたんだ。でも、現実ではその夢は叶わなかった。彼らに課せられた任務がそれを許さなかったし、何より君のお祖母さんが愛したのは、君のお爺さんだったから。その時の彼の絶望は凄まじかった。彼の愛する女性を死なせてしまう程にね。彼は彼女が亡くなった後、自分も死んでしまおうと考えた。でも、彼女に対する執着と君の祖父に対する憎しみが彼を誤った方向に向かわせた。彼はとても頭の良い男だった。天才と言ってもいいくらいに。そうですよね?」
木村さんが宗助所長を見る。宗助所長は無言で頷く。
「彼は考えた。自分の知識で、彼女を取り戻し、彼女を奪った人間に復讐できないかと。ただ、本田君。君に対しては複雑な思いがあるようです。君は、憎い男が愛する女性に産ませた子どもの子供だからね。君は、一度彼に会っているね?」
「はい。でも、ほんの一瞬です。」
「その時、彼は君が愛する女性の血を受け継いでると気が付いたみたいですよ。だって君の瞳は彼女にそっくりだから。彼はその時、君と君の仲間を殺すことができたはずです。でも、彼はそうしなかった、違うかい?」
「あの時。奴は、逃げたんです。」
「彼は、彼女と同じ瞳を持った君を見て躊躇してしまったんだね。そして、逃げた。それが真相です。そして、、、。」
「そして?」
「彼が長年思い続けて叶わなかった、ある計画が君を見て実行に移されることになった。」
「ある計画?白神の計画と俺にどんな関係があるんですか!」
俺は思わず身を乗り出した。
「まぁ、落ち着きなさい。君たちも、彼の読んだ昔話の話は知っているね。あれには君たちが考えている通りに続編があるんだ。そこに、白髪男の計画の全貌が書かれてあるそれを読めば奴の次の一手も解ります。君たちはその在りかが聞きたくて私のところに来たんだろ?どうやら私は君たちにその在りかを教える役目にあるらしい。先日、そんな夢を見たんだよ。それで近々、本田君が私に会いに来る分かったんだけどね。」
「それで、本は、どこにあるんですか?」
「本は、洞窟の中にある。洞窟の中に掘られた横穴のようなところがあるよね?そこの中に隠してあります。」
「隠してある?どこに、どこに隠してあるんですか?一刻を争う事態なんです。教えてください。」
「残念ながら、それを教えるのは私の役目じゃないんでね。別の人から聞いてください。」
「別の人って誰ですか?」
「君たち、これからその洞窟に戻るんだろ?行って自分で聞いてください。これで私の話は終わりです。」
「それだけですか?」
「はい、それで終わりです。あっ。今夜は君には嫌な話ばかりしてしまいましたから、良い事も教えてあげましょう。」
「良い事ですか?」
「君は、お爺さんが亡くなる時、何か約束をしましたね。君はそれを人生の指針にしている。」
「はい。」
「一番最後におじいさんが言った約束を憶えていますか?」
「はい。憶えています。」
それは、じいさんが亡くなる前に俺の手を取って約束させたあの約束の事だろう。自分のために提供された食事は美味しく頂け、日本男子はいつなんどきでも子どもと婦女子を守れ、。受けた恩は必ず返せ、その後に言った最後の約束。当時の俺には、なぜじいさんが死ぬ間際にそんな事を言い出したのかさっぱり解らなかった。ただその時は、じいさんがあまりに真剣にそのことを言ってるのと、死にゆく爺さんを悲しませたくない一心で、俺はじいさんと約束をした。じいさんの過去を見た今なら、じいさんがなんで俺に約束をさせたのかがわかるような気がする。
「君は、そのお祖父さんとの約束を守ることになるでしょうね。」
え??それって??
「はい。本当に話はお終いです。平和が戻ったら、本田君にはナルホドバーガーをお腹いっぱいご馳走してもらうことにします。ナルホドバーガーが腹いっぱい食べられるくらいのお金を持って君が来るのを待っていますよ」
そう言って木村さんは手のひらをひらひらさせて帰って行った。
「さぁ、帰りましょう。誰かが本の在りかを話してくれるって言うなら聞きに行かなくっちゃね。」
宗助所長がそう言って歩き出す。
じいさんとの最後の約束って、、、。俺は新たに飛び出した謎を頭から振り払う。今はそんなことを考えている場合じゃない。白神との戦いに備えなければ。俺も宗助所長の後を追って歩き出した。
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