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邂逅1
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あの後冷静になって、ディランのいう好きと自分の好きは同じものなのだろうか、やはり勘違いなのではとノアは頭を抱えていた。
どう考えてみてもあんな素敵な大人が自分のような子どもに自分と同じ様な感情を抱くとは思えなかった。お互いに好き同士なのはわかった。凄く嬉しい。だけどもどこか信じきれないノアがいた。好きにも色んな意味や感情があるんだと初めて知ってしまった。
「う-……」
思わせ振りなディランだけど、ノアが好きだと伝えてもありがとうとしか言わなかった。あれはどんな意味でのありがとうなのだろう。やはり好きになってくれてという意味なんだろうか。そう考えるとディランの好きは好きでも付き合いたい、所謂恋人になりたいというのとは違う気がした。わからない。ノアにはディランの考えていることがわからなかった。
明日また会う約束をしたがどんな顔で会えばいいのだろう。きっとディランのことだ、いつもと変わらぬ様子なのだろうと思うと、一人こんなに悩んでいるのが嫌になってくる。
「よしっ!」
ボクも何もなかったかの様に接してやるっ、 と意気込んでノアは明日どのタイミングで会えるだろうか考えながら眠りについた。
さて、一日のルーティンである父の手伝いをして昨日と同じ森の入り口まで歩いて行く。そういえば予定通りだとそろそろイーサンがこの村に帰って来る頃だと思い出してノアの足取りは軽くなる。
ディランとのことで頭がいっぱいになっていたが、イーサンのことを思うと心が晴れた。軽やかな気持ちで昨日と同じ場所までたどり着くとディランの名前を呼んだ。こんなにすっきりとした気持ちで名前を呼べたのはイーサンのお陰だとノアは笑った。昨日の今日で、だけども何事もなかったように接してやるとの意気込みは衰えることはなく、拳を握り締めて「かかってこいっ!」と、まるで戦いにでも挑む様な態度である。
「よしこい!」
いつも通り、突然の声掛けに一瞬肩が跳ねあがる。だけどももう驚かないぞと少しだけ虚勢を張ってノアは声の方へ振り向くと、可笑しそうに笑っているディランが立っていた。だけども掛け声とは異なりディランは両腕を広げ、ノアを抱き締めようとしている様に見えた。
「っ!?」
「あれ? こないの?」
ディランは意地の悪い笑みを浮かべながらほら、とからかうように腕を動かすのでノアは「いかないっ!」と顔を背けた。
そんなノアにディランはあははと笑いながら近づくとぎゅう、と抱き締めた。
「ごめんごめん、機嫌直してよ」
よしよしと相変わらず頭を撫でてくる。昨日のやりとりなどなかった風で、やはりノアは自分の考えは間違ってなかったのだと確信する。
「やだ」
本当は機嫌も悪くなければ怒ったりもしていない。勿論ディランだって気が付いているだろう。だけどこんな遣り取り一つが楽しくて、ノアもディランもくすくすと笑ってしまう。
「ノアはあったかいね」
「子ども体温って言いたいの?」
「ん-…それとあるけど安心する」
昨日話したでしょ、と言われて相変わらず疲れているんだなぁと、抱き締められたまま腕をディランの頭の方へと伸ばしてみるも耳の辺りまでしか届かない。ノアは少し考えてディランから離れると「ちょっとしゃがんで」とお願いした。
「……こう?」
「そうっ!」
ディランは不思議そうにしながらもノアの言う通りに膝を屈める。それに対してノアは嬉しくてつい大きな声が出てしまった。けれどもディランの頭が近いのが嬉しいのかにこにことしながらディランの頭に手を伸ばした。
「いつもお疲れ様」
よしよし、とディランがノアにするようにノアはディランの頭を撫でた。見た目よりも細くさらりとした髪の感触が気持ちいい。何となくディランが自分の頭をよく撫でる理由がわかったような気がした。
「ノ、ノア……」
ディランはというと頭を撫でられるとは思ってもいなかったのか、珍しく慌てた様な表情を浮かべていた。そんな表情にノアもつられる様に顔が赤くなる。
「……ディランさん、顔赤いよ……」
「……誰のせいだと思ってるの」
照れ臭そうにするディランが何とも可愛いらしく見えてノアの胸が思わず高鳴った。
「……ずるい……」
「……なにが?」
ノアの声にディランが反応するも教えないと、ディランの視線から逃れる様に顔を背けた。
「秘密なの?」
「秘密」
ディランの言葉を鸚鵡返しすれば、ディランは残念とだけ言ってノアの手から逃れる様に膝を伸ばした。あんなに近かった頭がまた遠くなってしまった。
「ノアには驚かされてばかりだ」
「そんなことないよ」
「そんなことあるよ」
困ったものだと腕を組むディランに迷子になったり雨の中森に入ったりと過去ディランに迷惑をかけていることを言われれば反論の余地はなく、だけども言われっぱなしも悔しいので「今は大丈夫だよっ」と勢い良く返せば「ほんとかな?」とディランがお得意のからかうような笑みを返してきた。
「信じてない?」
「んー……信じてるよ?」
言葉とは裏腹に声は信じているようには聞こえなくてノアは少しだけむっとしてしまう。
「いいよ別に。イーサンに成長したボクを見てもらうんだから」
「お兄さん帰ってきたの?」
「予定通りならそろそろなんだ」
「そっかぁ…よかったね」
うんっ、と大きく頷くと「そうだ、お兄さんがいる間はお兄さんとの時間を優先していいんだからね」とディランがノアの頭を撫でた。
「久しぶりに会えるんだし、話したいこといっぱいでしょ」
だから落ち着いたらまた名前を呼んでねと微笑むディランにノアは胸の中にもやっとした感情が芽生えた。
「?」
「どうしたの?」
この感覚はなんだろうと考えていると心配そうにこちらを覗き込んでくるディランに何でもないよと笑い返す。
イーサンが帰ってくるのは嬉しいのに、何でディランの言葉にもやっとしたのだろうか。ディランの言っていることは間違っていない。ノアがイーサンの帰りを心待ちにしていることを十分に知っているからの言葉だろう。兄弟の時間を大切にというディランの優しさだ。だけども何だろうこの気持ちは。
「ううん、なんでもない」
「そう?」
心配そうにこちらを見るディランにノアは笑顔を浮かべて大丈夫だよと、伝えようとした瞬間、ディランとの間に強い風が吹いた。
「っ!?」
砂が巻き上がり目に入りそうだと強く瞼を閉じる。
「こんなところにおられましたか」
刹那、聞き覚えのない声がノアとディランの間に入り、ノアは風が落ち着くのと同時に目を開くと、そこには見知らぬ人物がディランとの間に立っていた。
「何しにきたの?」
ディランは特に驚いた様子もなくその人物に話しかけた。どこか面倒臭そうな雰囲気にノアはどう反応して良いのかわからず、突然の乱入者に驚くばかりだった。
どう考えてみてもあんな素敵な大人が自分のような子どもに自分と同じ様な感情を抱くとは思えなかった。お互いに好き同士なのはわかった。凄く嬉しい。だけどもどこか信じきれないノアがいた。好きにも色んな意味や感情があるんだと初めて知ってしまった。
「う-……」
思わせ振りなディランだけど、ノアが好きだと伝えてもありがとうとしか言わなかった。あれはどんな意味でのありがとうなのだろう。やはり好きになってくれてという意味なんだろうか。そう考えるとディランの好きは好きでも付き合いたい、所謂恋人になりたいというのとは違う気がした。わからない。ノアにはディランの考えていることがわからなかった。
明日また会う約束をしたがどんな顔で会えばいいのだろう。きっとディランのことだ、いつもと変わらぬ様子なのだろうと思うと、一人こんなに悩んでいるのが嫌になってくる。
「よしっ!」
ボクも何もなかったかの様に接してやるっ、 と意気込んでノアは明日どのタイミングで会えるだろうか考えながら眠りについた。
さて、一日のルーティンである父の手伝いをして昨日と同じ森の入り口まで歩いて行く。そういえば予定通りだとそろそろイーサンがこの村に帰って来る頃だと思い出してノアの足取りは軽くなる。
ディランとのことで頭がいっぱいになっていたが、イーサンのことを思うと心が晴れた。軽やかな気持ちで昨日と同じ場所までたどり着くとディランの名前を呼んだ。こんなにすっきりとした気持ちで名前を呼べたのはイーサンのお陰だとノアは笑った。昨日の今日で、だけども何事もなかったように接してやるとの意気込みは衰えることはなく、拳を握り締めて「かかってこいっ!」と、まるで戦いにでも挑む様な態度である。
「よしこい!」
いつも通り、突然の声掛けに一瞬肩が跳ねあがる。だけどももう驚かないぞと少しだけ虚勢を張ってノアは声の方へ振り向くと、可笑しそうに笑っているディランが立っていた。だけども掛け声とは異なりディランは両腕を広げ、ノアを抱き締めようとしている様に見えた。
「っ!?」
「あれ? こないの?」
ディランは意地の悪い笑みを浮かべながらほら、とからかうように腕を動かすのでノアは「いかないっ!」と顔を背けた。
そんなノアにディランはあははと笑いながら近づくとぎゅう、と抱き締めた。
「ごめんごめん、機嫌直してよ」
よしよしと相変わらず頭を撫でてくる。昨日のやりとりなどなかった風で、やはりノアは自分の考えは間違ってなかったのだと確信する。
「やだ」
本当は機嫌も悪くなければ怒ったりもしていない。勿論ディランだって気が付いているだろう。だけどこんな遣り取り一つが楽しくて、ノアもディランもくすくすと笑ってしまう。
「ノアはあったかいね」
「子ども体温って言いたいの?」
「ん-…それとあるけど安心する」
昨日話したでしょ、と言われて相変わらず疲れているんだなぁと、抱き締められたまま腕をディランの頭の方へと伸ばしてみるも耳の辺りまでしか届かない。ノアは少し考えてディランから離れると「ちょっとしゃがんで」とお願いした。
「……こう?」
「そうっ!」
ディランは不思議そうにしながらもノアの言う通りに膝を屈める。それに対してノアは嬉しくてつい大きな声が出てしまった。けれどもディランの頭が近いのが嬉しいのかにこにことしながらディランの頭に手を伸ばした。
「いつもお疲れ様」
よしよし、とディランがノアにするようにノアはディランの頭を撫でた。見た目よりも細くさらりとした髪の感触が気持ちいい。何となくディランが自分の頭をよく撫でる理由がわかったような気がした。
「ノ、ノア……」
ディランはというと頭を撫でられるとは思ってもいなかったのか、珍しく慌てた様な表情を浮かべていた。そんな表情にノアもつられる様に顔が赤くなる。
「……ディランさん、顔赤いよ……」
「……誰のせいだと思ってるの」
照れ臭そうにするディランが何とも可愛いらしく見えてノアの胸が思わず高鳴った。
「……ずるい……」
「……なにが?」
ノアの声にディランが反応するも教えないと、ディランの視線から逃れる様に顔を背けた。
「秘密なの?」
「秘密」
ディランの言葉を鸚鵡返しすれば、ディランは残念とだけ言ってノアの手から逃れる様に膝を伸ばした。あんなに近かった頭がまた遠くなってしまった。
「ノアには驚かされてばかりだ」
「そんなことないよ」
「そんなことあるよ」
困ったものだと腕を組むディランに迷子になったり雨の中森に入ったりと過去ディランに迷惑をかけていることを言われれば反論の余地はなく、だけども言われっぱなしも悔しいので「今は大丈夫だよっ」と勢い良く返せば「ほんとかな?」とディランがお得意のからかうような笑みを返してきた。
「信じてない?」
「んー……信じてるよ?」
言葉とは裏腹に声は信じているようには聞こえなくてノアは少しだけむっとしてしまう。
「いいよ別に。イーサンに成長したボクを見てもらうんだから」
「お兄さん帰ってきたの?」
「予定通りならそろそろなんだ」
「そっかぁ…よかったね」
うんっ、と大きく頷くと「そうだ、お兄さんがいる間はお兄さんとの時間を優先していいんだからね」とディランがノアの頭を撫でた。
「久しぶりに会えるんだし、話したいこといっぱいでしょ」
だから落ち着いたらまた名前を呼んでねと微笑むディランにノアは胸の中にもやっとした感情が芽生えた。
「?」
「どうしたの?」
この感覚はなんだろうと考えていると心配そうにこちらを覗き込んでくるディランに何でもないよと笑い返す。
イーサンが帰ってくるのは嬉しいのに、何でディランの言葉にもやっとしたのだろうか。ディランの言っていることは間違っていない。ノアがイーサンの帰りを心待ちにしていることを十分に知っているからの言葉だろう。兄弟の時間を大切にというディランの優しさだ。だけども何だろうこの気持ちは。
「ううん、なんでもない」
「そう?」
心配そうにこちらを見るディランにノアは笑顔を浮かべて大丈夫だよと、伝えようとした瞬間、ディランとの間に強い風が吹いた。
「っ!?」
砂が巻き上がり目に入りそうだと強く瞼を閉じる。
「こんなところにおられましたか」
刹那、聞き覚えのない声がノアとディランの間に入り、ノアは風が落ち着くのと同時に目を開くと、そこには見知らぬ人物がディランとの間に立っていた。
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ディランは特に驚いた様子もなくその人物に話しかけた。どこか面倒臭そうな雰囲気にノアはどう反応して良いのかわからず、突然の乱入者に驚くばかりだった。
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