短い恋のお話

愛理

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「エネルギー補充はあなたから」

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    ぎゅううっ。
 こんな音がしそうなくらいに私は彼氏の裕也に抱きついた。
 そして、裕也はそんな私を抱きしめ返してくれた。
「何? どうした?」
 ここは裕也が1人暮らしをしているマンション。
 今日は土曜日で一般企業に勤めている私達2人は休みの日だから、今日、私がここに来て、いわゆる“お家デート”をすることになっていた。
 ちなみに私と裕也は大学2年生の時に共通の友達を通して知り合って、わりと短い期間で恋人同士になって、それからはずっと一緒にいたけど、今年からはお互いに一般企業へと就職して、前のようには会えなくなっていた。
 また、それに追い打ちをかけるように私は就職してもう今月で4ヶ月目に入るというのに仕事を覚えるのが一杯一杯で精神的に疲れていた。
 だから、もう私は裕也に会いたくて会いたくて仕方がなかった。
 だって、こんな時は裕也に会えば元気になれるから。
 それにここ最近、営業マンになった裕也は土曜日も日曜日も仕事で忙しくて、会うのは2週間ぶりで……。
 だから、私はここに来て、リビングルームに入って荷物を置いてからすぐに床に座っていた裕也に抱きついた。
「うん、エネルギー補充したくて」
 私がそう言うと裕也は笑って、
「何だよそれ」
 そう言ったけど、でも、私を更に強く抱きしめてくれた。
 そして、私達は暫くそうやって抱きあっていたんだけど……。
“ぐううっ”
 そう裕也のお腹が鳴って、私は裕也から少し身体を離して裕也の顔を見た。
「わっ。ごめん。何かいい雰囲気だったのにな」
 裕也は恥ずかしそうにそう言った。
「ううん。そういえばもうすぐお昼だもんね。私、お昼ごはんと夜ご飯の材料買ってきたから、ご飯つくるよ」
 私はリビングルームの壁にかけてある時計で時間を確認してからそう言った。
「本当? サンキュ。由梨絵のつくるご飯うまいから、すっげー嬉しい。あ、でも」
 そう言い裕也は立ち上がろうとした私の右腕をぐっと掴んで、私をまた裕也の方に引き寄せて、今度は裕也の方がぎゅううって音がするんじゃないかってくらいに私を抱きしめた。
「裕也?」
「俺でエネルギー補充したかったんだろ? だから、俺のエネルギーが溢れるくらいに由梨絵に注いでおこうと思ってさ」
 裕也はそう言った後、私のおでこにキスもした。
 そして、私達は少し見つめ合った後、笑いあって、その後、私は、
「ありがとう。裕也。もう本当に溢れるくらいに裕也のエネルギーが私の中に入ったよ。だから、今度は私が裕也のエネルギー補充をするね。だから、とびっきり美味しいご飯つくるよ」
 そう言った。
 すると裕也は今度は私の唇にキスをして、
「ああ。でも、由梨絵、俺だってお前とこうしてることで十分なエネルギー補充になるんだからな」
 そう言った。
 だから、私は凄く嬉しくて、また裕也にぎゅううっと音がするくらいに抱きついて、ご飯をつくらなきゃと思いつつも暫く裕也から離れられないでいた。

 ねぇ、裕也。
 一緒にいることで疲れた時にお互いにエネルギーを補充できるような関係でこれからもずっといてね。
                                       END
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