短い恋のお話

愛理

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「いつか、また……」

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  夜空の下、降りると駅に続く階段が近くにある場所で私は彼氏の正吾と見つめ合っていた。
  彼氏といっても今日ここでバイバイして別れたら私達はもう恋人同士じゃなくなるんだけど。
  何故ならお互いの未来の為に私達は別々の道へ行くことを決めたから。
  そう。
  別れることを決めたから。
  決してお互い嫌いになったわけじゃない。
  だから別れを決めるまで沢山話し合った。
  だって、好きだから。
  だから、この先、何とか2人が一緒にいることができないかと沢山話し合った。
  だけど、どうしても、これからの未来に2人で一緒にいることは無理だって判断した。
  だから、私達は別々の未来へ進むことを決めた。
  別に誰も悪くなんてない。
  そして、この出会いが間違いだったとも思わない。
  だって、2人愛し合った事実は決して嘘なんかじゃないから。

「真理」
「今日、1日、楽しかったね」

  私達は今日、1日、今までどおりの恋人同士として最後のデートをすることに決めて今この時まで別れが来る恋人同士なんて嘘のように楽しんでいた。

「ああ、楽しかったな」
「うん…」
「真理」
 
  正吾は私を抱きしめた。

「正吾」

  ねぇ、この腕の中を離れたら、もう2度とこの腕の中には戻れないんだね。
  それなら、もうこのままずっとこの腕の中にいたい。
  でも、そんなことは叶わないから。
  私はそっと正吾から離れた。

「真理」
「正吾、今までありがとう」
「ううん、こっちこそありがとう」

  私達は再び見つめ合った。
  だけど、少しして正吾が泣きそうな顔をした。
  そして、私もその顔を見て泣きそうになった。
  だから、

「正吾、今まで本当にありがとう。バイバイ」

  私はそう言って、まるで正吾の泣きそうな顔から逃げるように駅へと続く階段を駆け降りていった。
  だって、本当に泣いてしまいそうだったから。
  決して、悲しい終わりじゃないから、私はどうしても笑顔で別れたかったから。
  だから、私は最後に正吾に笑顔を向けた。
  そして、2度と振り返らずに去った。
  そうして、私と正吾の恋は終わりを告げた。
  でも、私はこの恋に巡り会えたことは決して忘れないし、これから私の中ではずっと正吾との思い出は宝物として心の奥底にしまわれているんだと思う。
  だから、どうか、正吾、これから私がいない未来でも私と一緒にいた時のように沢山笑っていて。
  幸せになって。
  私もきっと幸せになるから。
  そして、いつかまた、もし何処かで偶然巡り会えたら、その時はお互いに、

「今、幸せだよ」

  そう笑って言おうね。 
                                                                             END
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