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「優しい声に包まれて」
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あなたに会いたくて会いたくて仕方がない。
でも、どうしても会うことができない。
そんな日の夜は寝ようとしても、あなたのことばかり考えてしまって寂しくなる。
でも、不思議だね。
そんな時、あなたの声を聞くだけで今までの寂しい気持ちが嘘のように何処かに流れて心の中が温かくなるから。
慎也と恋人同士になって、1年以上経った今でも私は毎日のように慎也に会いたいって思ってしまう。
慎也と私は同じ会社で知り合って、私が営業課の事務をしていて、慎也が営業マンだったから同じ課で仕事をしているうちにお互いに惹かれあって恋に落ちた。
私は短期大学を卒業してから、今の会社に勤めて、慎也は大学を出てから今の会社に入ってきたから、私より2年遅れで入ってきた。
だけど、歳は同じだし、話が凄く合って一緒に食事したりするうちに好きになっていて、慎也も同じだったらしく慎也の方から告白してくれた。
それが慎也が会社に入って半年くらいの頃のことで、今はもう恋人同士になって1年と少し過ぎたけど恋人同士になってからは会社では勿論、土日もだいたいは会っていた。
そして、今月に入って初めて慎也は長期出張というものがあり、私達は恋人同士になってから初めて長い間、離れることになった。
だからか何だか凄く寂しくて。
おまけに慎也は海外出張だからそんなに電話もしたりはできない。
だから、本当に寂しくて、私は慎也が長期出張に行ってからは毎晩、早く寝ようとベッドに入るんだけど、それでも慎也のことばかり考えてしまって余計に眠れなくてまいってしまっていた。
「あー、私、どんだけ慎也のこと好きなんだろ」
ベッドに仰向けで横になりながら私はそう呟く。
私は今、24歳。
今まで恋をしてこなかったわけじゃないけれど、でも、思い返せば慎也より前の恋は恋ごっこだったような気がする。
でも、慎也との恋は本当に恋をしてると言えるものだし、慎也からは色んな初めても貰っているから。
だからか慎也のことを今まで好きになったどの人よりも好きだと思う。
「今、何してんのかなあ…」
慎也の長期出張は1ヶ月半。
まだ、慎也が長期出張に出てから1週間しか経ってないのに何だろう、この寂しさは。
本当は電話とかしたいって思うけど海外だし、時差もどれくらいなのかよく解らないから。
それに仕事の邪魔はしたくないから。
そんなことを色々思っているとスマートフォンの電話の着信音が鳴った。
手に取って着信画面を見ると慎也だった。
「!!」
私は慌てて通話ボタンを押す。
「もしもし?」
「もしもし亜子?」
受話器の向こうから私の大好きな低くて甘い慎也の声が聞こえてきた。
「うん。どうしたの?」
「今さ、やっとゆっくりできるようになってさ。今まで忙しくてLINEも何もできなくてごめんな」
「ううん、仕事だもん……でも、正直に言えば寂しかったけど……」
私がそう言うと慎也は少し困った感じの笑い方を受話器の向こうでした気がした。
「ん、こんなに離れんの初めてだもんな。でも、亜子、俺はいつでも亜子のこと想ってるから」
「慎也……」
「だから、寂しがるなよ。何処にいても亜子のこと愛してるから」
とびっきり甘くて優しい声で慎也はそう言ってくれた。
「うん、ありがとう。何だか今日はぐっすり眠れそう」
「何、寝てないの?」
「うん、何か寂しくて……慎也のことばかり考えちゃって…」
「……まだ帰ることはできないけど、ちゃんと帰るから。だから、安心してこれからは眠りなよ」
「うん、ありがとう。これからは慎也のおかげで毎晩ぐっすり眠れそうだよ……ねぇ、慎也私も愛してるよ」
そう言うと慎也は柔らかく笑った。
そして、私達は電話を切った。
慎也の言うとおり、会えるのはまだ先だけど、それでもさっき貰ったあの甘くて優しい声に私はずっと包まれていられるから。
だから、これからはあなたに暫く会えなくてもぐっすり眠れるよ。
ねぇ、でも、慎也、帰ってきたら、お願いだから、またあの甘くて優しい声で「愛してる」って言って私のことを強く抱きしめてね。
END
でも、どうしても会うことができない。
そんな日の夜は寝ようとしても、あなたのことばかり考えてしまって寂しくなる。
でも、不思議だね。
そんな時、あなたの声を聞くだけで今までの寂しい気持ちが嘘のように何処かに流れて心の中が温かくなるから。
慎也と恋人同士になって、1年以上経った今でも私は毎日のように慎也に会いたいって思ってしまう。
慎也と私は同じ会社で知り合って、私が営業課の事務をしていて、慎也が営業マンだったから同じ課で仕事をしているうちにお互いに惹かれあって恋に落ちた。
私は短期大学を卒業してから、今の会社に勤めて、慎也は大学を出てから今の会社に入ってきたから、私より2年遅れで入ってきた。
だけど、歳は同じだし、話が凄く合って一緒に食事したりするうちに好きになっていて、慎也も同じだったらしく慎也の方から告白してくれた。
それが慎也が会社に入って半年くらいの頃のことで、今はもう恋人同士になって1年と少し過ぎたけど恋人同士になってからは会社では勿論、土日もだいたいは会っていた。
そして、今月に入って初めて慎也は長期出張というものがあり、私達は恋人同士になってから初めて長い間、離れることになった。
だからか何だか凄く寂しくて。
おまけに慎也は海外出張だからそんなに電話もしたりはできない。
だから、本当に寂しくて、私は慎也が長期出張に行ってからは毎晩、早く寝ようとベッドに入るんだけど、それでも慎也のことばかり考えてしまって余計に眠れなくてまいってしまっていた。
「あー、私、どんだけ慎也のこと好きなんだろ」
ベッドに仰向けで横になりながら私はそう呟く。
私は今、24歳。
今まで恋をしてこなかったわけじゃないけれど、でも、思い返せば慎也より前の恋は恋ごっこだったような気がする。
でも、慎也との恋は本当に恋をしてると言えるものだし、慎也からは色んな初めても貰っているから。
だからか慎也のことを今まで好きになったどの人よりも好きだと思う。
「今、何してんのかなあ…」
慎也の長期出張は1ヶ月半。
まだ、慎也が長期出張に出てから1週間しか経ってないのに何だろう、この寂しさは。
本当は電話とかしたいって思うけど海外だし、時差もどれくらいなのかよく解らないから。
それに仕事の邪魔はしたくないから。
そんなことを色々思っているとスマートフォンの電話の着信音が鳴った。
手に取って着信画面を見ると慎也だった。
「!!」
私は慌てて通話ボタンを押す。
「もしもし?」
「もしもし亜子?」
受話器の向こうから私の大好きな低くて甘い慎也の声が聞こえてきた。
「うん。どうしたの?」
「今さ、やっとゆっくりできるようになってさ。今まで忙しくてLINEも何もできなくてごめんな」
「ううん、仕事だもん……でも、正直に言えば寂しかったけど……」
私がそう言うと慎也は少し困った感じの笑い方を受話器の向こうでした気がした。
「ん、こんなに離れんの初めてだもんな。でも、亜子、俺はいつでも亜子のこと想ってるから」
「慎也……」
「だから、寂しがるなよ。何処にいても亜子のこと愛してるから」
とびっきり甘くて優しい声で慎也はそう言ってくれた。
「うん、ありがとう。何だか今日はぐっすり眠れそう」
「何、寝てないの?」
「うん、何か寂しくて……慎也のことばかり考えちゃって…」
「……まだ帰ることはできないけど、ちゃんと帰るから。だから、安心してこれからは眠りなよ」
「うん、ありがとう。これからは慎也のおかげで毎晩ぐっすり眠れそうだよ……ねぇ、慎也私も愛してるよ」
そう言うと慎也は柔らかく笑った。
そして、私達は電話を切った。
慎也の言うとおり、会えるのはまだ先だけど、それでもさっき貰ったあの甘くて優しい声に私はずっと包まれていられるから。
だから、これからはあなたに暫く会えなくてもぐっすり眠れるよ。
ねぇ、でも、慎也、帰ってきたら、お願いだから、またあの甘くて優しい声で「愛してる」って言って私のことを強く抱きしめてね。
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