短い恋のお話

愛理

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「あなただけが私の唯一」

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「広夢」
 私は1週間ぶりに会った恋人の部屋に入るなり恋人の名前を呼ぶと同時に抱きついた。
 広夢はマンションで1人暮らしをしている。
「どうした? 沙耶」
 そう言いながらも広夢は私を抱き返してくれた。
「好きだよ」
「うん、知ってるけど?」
 優しい声でくすっと笑いながら広夢が言う。
「ね、広夢は私のこと好き?」
「あたり前だろ。好きだよ。だから、今こうしてるんだろ?」
 そう言い広夢は私を抱きしめている力を強めた。
「うん、そうだよね。ありがとう」
「沙耶、本当にどうしたんだよ? 時々、お前、こんな風にセンチメンタルっぽくなるよな」
「……うん、私ね何か皆に優しいよねとか言ってもらえたりするけど、本当は本当の自分を見せれるのって広夢だけなの」
「……沙耶」
「23歳の私の誕生日の日に友達の紹介で広夢に出会って、一気に恋に落ちて……そして、2年以上経った今でも一緒に広夢といることができて私は本当に今幸せなの。本当のこと言うとね私はそれまで人を本当に好きになるってことはなかったから」
「沙耶……」
「だからね広夢は私にとっての唯一で……」
「沙耶」
「だから、一緒にいても、広夢にどんなに好きだと言ってもらっても、時々こんな風に広夢のことで不安になってしまうの。そんな時はこんな風に抱きしめてもらって、いつもよりも、もっと言葉が欲しくなるの……ごめんね。重いよね」
 私がそう言うと広夢は私の目尻にキスをして、
「ばーか。そんな顔して涙零してる奴を俺が重いとか思うわけないだろ。むしろ、これからも一緒にいてやりたい。守ってやりたいって思うよ。それにな沙耶、俺だってお前がもうとっくに俺の唯一になってるんだから少しは安心しろよ。離れてなんかいかないから」
 そう言ってくれた。
 そして、広夢は今度は口にキスをしてくれた。
 そして、私達は暫くそのまま部屋の中でそのまま抱きしめ合っていた。

 そして、私はその抱きしめ合っている時に、
 ねぇ、広夢、その言葉本当だよね? 信じていいよね。
 だったら、広夢の唯一をずっと私にしていてね。
 私の唯一もこれからもずっと広夢から揺らぐことはないから。
 そう思っていた。    
                                                             END
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