短い恋のお話

愛理

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「君はシュガー」

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 疲れた時は君の甘さに癒される。

 あー疲れた。
 そう思いながら俺は1人暮らしをしているマンションに帰ってきた。
 今日、俺は午後9時位まで残業をして相当疲れていた。
 ちなみに俺はプログラマーの仕事をしている。
 マンションに帰ってドアを開けると電気が点いていた。
「?」
 最初はそう思ったけれど、すぐにそうかと思った。
 この間、このマンションの合い鍵を恋人の鈴香にあげたんだと思い出したから。
 そう思うと俺の足取りは途端に軽くなった。
 何故なら、こんな疲れた夜は鈴香は最高に俺にとって癒しの存在になるからだ。
「鈴香」
 俺がそう名前を呼ぶとリビングルームのソファーに座って読書をしていた鈴香が俺に気付いた。
「あ、たっくん。お帰りなさい」
 俺の名前は卓だから鈴香は俺を”たっくん”と呼んでいる。
 年齢は同じで25歳なんだけど。
 何故か鈴香は俺を呼び捨てにはしない。
「来てたんだな」
「うん。今日、金曜日だから。それより遅かったね。あ、ご飯作っといたよ。食べるでしょ?」
 鈴香はそう言い俺にほんわかと笑いかける。
 そう。これ。
 このほんわかとした笑顔が俺は大好きで。
 この笑顔を見る度に俺は癒される。
 だから、俺は思わず鈴香を抱き締めた。
「たっくん?」
 いきなり抱き締められて驚いたのか、鈴香は少し不安そうな声を出した。
「……砂糖」
「えっ?」
 俺が急に”砂糖”などと呟いたので、鈴香はまた不思議そうな顔をした。
「鈴香は俺にとっては砂糖だなって思ったの」
「何それ?」
 くすっと鈴香は俺を見て笑う。
「だってさ、今日、本当言うとすっげー疲れてるんだけど、鈴香に会ったら、そんな疲れもとんじゃったからさ。ほら、よく言うじゃん。疲れた時には甘いもの食べたらいいって。だから俺にとっては鈴香が甘いものだから、砂糖みたいだなって思ったの。まあ、食べ物ではないけど」
 俺がそう言うと鈴香はきょとんとして、だけど、すぐにまた俺が好きなほんわかした笑顔を浮かべて、
「それ光栄です!」
 そう言い俺にキスをした。
 そして、俺達はその後、砂糖よりも、もっと甘いかもしれない時間を2人で過ごした。
                                                             END
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