短い恋のお話

愛理

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もしも、あなたに会えなかったら、なんて思うこともあるけど。

「ね、郁也は私と出会わなかったらなんて考えたことある？」
　お互い仕事が休みの日曜日にデートした帰りに私は郁也の車の中でそう聞いてみた。
「何？　いきなりだな」
　郁也は優しい口調で言った。
「だって、今何だか凄く聞きたくなったんだもん」
「うーん、そうだな。でも、やっぱり瑠奈と出会わなかったらなんて俺にはもう考えられないよ」
　私は郁也のその言葉に少しの間、返事ができなかった。
　だけど、
「本当に？　何か凄く嬉しい。だって、私もそう思ってるから」
　郁也にそう言った。
　そう。
　だって、私も郁也に出会わないなんていうことは、どうしても、もう考えられないから。
　たまにそんなことをふと考えてみたこともあったけど、でも、そんなこと全然、想像できなかった。
　だって、私と郁也の出会いは偶然なんかじゃなく必然で、巡り会う運命だったんだと思うから。
　そして、郁也も私と同じように思ってくれてるんだって今解って凄く嬉しかった。
　
　そんな会話をしているうちに車は私の家の近くまで走っていた。
　そして、郁也はいつも車を停める場所で車を停めた。
　だから、私は今日はありがとう。楽しかったと言って車を降りようとドアノブに手をかけた。
　すると郁也はその手を止めて、振り向いた私を抱きしめた。
　そして、
「瑠奈、本当に俺達に出会わない運命なんてなかったんだよ。俺達は出会うべくして出会ったんだ。だから、これから離れることもないよ」
　そう言って私に優しいキスをしてくれた。

　ねぇ、郁也、本当にそうだね。
　私達が出会わないでいるはずはないよね。
　そして、そんな私達は郁也の言うとおり、これから離れることもないよね。
　だから、もう、もしも出会わなかったら……なんて思うのはやめるね。
　その代わり、出会うべくして出会ったから、ずっとずっとこの先も一緒にいるんだって信じているね。
END

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