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第4話 「トラブル」
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映画の撮影は順調に進んでいた。
今日はまた、しずくが撮影現場に見学に来ていた。
悟は何故だか、しずくのことが気になって仕方がなかった。
何故? 自分はああいうタイプが一番苦手なはずなのに。
そう思っても、何故か自然と悟の瞳はしずくを追っていた。
しずくは誰に対しても、いつも笑顔だ。
きっと育ちが良くて、愛情もたっぷり注がれてきたのだろう。
悟は勝手にそんな風に思った。
……しずくは悟のことを本当の自分と出会えてないと言った。
あれから悟はそれがどういうことなのか、ずっと考えていた。
だけど、結局、答えは見つからないまま。
だから、悟はしずくに撮影の合間の休憩時間に聞いてみた。
「あのさ、この間、月下さん、俺が本当の自分に出会えてないって言ってたでしょ?あれ、どーいう意味か全然、解らないんだけど……」
「―あれは岡野さんは本当は誰よりも愛を欲しがっていて、誰よりも愛を与えたがっているのに、そのことに全然、気が付いてないってことだったんです」
悟はその言葉を聞いて爆笑した。
そして、もうアイドルという職業を忘れ毒舌になってしまった。
「それは、あんたが勝手に俺に押し付けた理想なんじゃないの。そうであって欲しいっていう。でも、生憎だね。それは本当に理想でしかない。俺はこの映画の主人公のようには変われないよ」
「……でも、私は岡野さんを初めて見た時、さっき言ったとおりに思ったんです。でも、そう言ったことで、気分を悪くされたなら、すいません」
「………………」
2人は暫く見つめ合った。
すると撮影開始の合図が鳴った。
悟は、しずくから目を逸らし、無言のままその場を去った。
深夜、遅く帰った自分のマンションのベッドに悟は倒れるように寝た。
……疲れた……
今まで色んな仕事をこなしてきた。
だけど、こんなに疲れる仕事は初めてだ。
悟がそんなことを思っていた時、悟のスマートフォンの電話の着信が鳴った。
電話に出ると渋谷からだった。
「はい? もしもし。どうしたんですか?」
「悟、お前、明日、週刊誌に載るぞ」
「え……?」
「彼女と歩いてる所、撮られたみたいだ。抑えきれなかったらしい。彼女にも伝えておけ。ファンの子からの嫌がらせがくるかもしれないしな」
「…………」
そして、渋谷は電話を切った。
……マジかよ……
ついてねぇ。
悟はそう思いながら、でも、まあ大丈夫だろうと彼女には何も言わないでいた。
だけど、そう思っていた悟の読みが外れてしまうことになってしまった。
次の日、渋谷の忠告どおり悟が彼女と歩いている所の写真が週刊誌に載った。
彼女は一般人なので、顔は伏せてあったが悟自身は本人だということがきっちりと解った。
悟は今日も映画の撮影だった。
今日の悟はいつもよりは楽に演技が出来ていた。
だけど、撮影から1時間後にマネージャーが悟の所へ来て、
「悟、彼女にちゃんと今日の週刊誌に載る件のこと連絡してなかったのか。何処から漏れたのか、お前の彼女の家、ファンに囲まれて大変らしいぞ」
と言った。
「え……」
悟が驚いた顔をしていると、
「今から行ってあげたら?」
としずくが来た。
しずくはここ最近、ずっと現場に来ていた。
「そんなことしたら、ますます火が点く。仕方ない。事務所に何とかして貰う。悟は暫く彼女とは会うな。いいな」
そう言いマネージャーはその場を去った。
「……行ってあげないの?」
しずくが言う。
「そんなこと出来るわけないだろ。俺が抜けたら、どれだけの人に迷惑がかかると思ってるんだよ。そんなこと簡単に言えるのはあんたがこの業界の人間じゃないからだよ」
「……だったら、何故、昨日、週刊誌に載ることを知っていたんなら、彼女に教えてあげなかったの? そして、何処かに守るように置いてあげなかったの? 彼女やその周りの人達は一般人だから、迷惑がかかってもいいって、そう思ったの?」
「!」
「―私があなたなら、一番に彼女をどうするか考えるわ。誰かが何とかしてくれるからいいなんて少しも思わないわ」
そう言いしずくはその場を去った。
それから、悟の彼女は事務所によって、騒ぎが納まるまで隔離された。
だけど、悟と彼女は騒動以来、一度も会わずに彼女から電話で一方的に別れを告げた。
彼女からの別れの言葉は、
「―やっぱり、あなたは私を愛してくれてはいなかった」
だった。
悟は彼女からその電話を受けても、やはり彼女の言うとおり、彼女の存在を失ったという深い悲しみはなかった。
1年間も一緒にいたのにだ。
……俺はやっぱり誰も愛せないのかもしれない……。
悟は彼女から別れを告げられた後、そんな想いが深くなっていた。
そして、
誰か愛を教えてくれよ。
そんな想いさえ抱えるようになっていた。
今日はまた、しずくが撮影現場に見学に来ていた。
悟は何故だか、しずくのことが気になって仕方がなかった。
何故? 自分はああいうタイプが一番苦手なはずなのに。
そう思っても、何故か自然と悟の瞳はしずくを追っていた。
しずくは誰に対しても、いつも笑顔だ。
きっと育ちが良くて、愛情もたっぷり注がれてきたのだろう。
悟は勝手にそんな風に思った。
……しずくは悟のことを本当の自分と出会えてないと言った。
あれから悟はそれがどういうことなのか、ずっと考えていた。
だけど、結局、答えは見つからないまま。
だから、悟はしずくに撮影の合間の休憩時間に聞いてみた。
「あのさ、この間、月下さん、俺が本当の自分に出会えてないって言ってたでしょ?あれ、どーいう意味か全然、解らないんだけど……」
「―あれは岡野さんは本当は誰よりも愛を欲しがっていて、誰よりも愛を与えたがっているのに、そのことに全然、気が付いてないってことだったんです」
悟はその言葉を聞いて爆笑した。
そして、もうアイドルという職業を忘れ毒舌になってしまった。
「それは、あんたが勝手に俺に押し付けた理想なんじゃないの。そうであって欲しいっていう。でも、生憎だね。それは本当に理想でしかない。俺はこの映画の主人公のようには変われないよ」
「……でも、私は岡野さんを初めて見た時、さっき言ったとおりに思ったんです。でも、そう言ったことで、気分を悪くされたなら、すいません」
「………………」
2人は暫く見つめ合った。
すると撮影開始の合図が鳴った。
悟は、しずくから目を逸らし、無言のままその場を去った。
深夜、遅く帰った自分のマンションのベッドに悟は倒れるように寝た。
……疲れた……
今まで色んな仕事をこなしてきた。
だけど、こんなに疲れる仕事は初めてだ。
悟がそんなことを思っていた時、悟のスマートフォンの電話の着信が鳴った。
電話に出ると渋谷からだった。
「はい? もしもし。どうしたんですか?」
「悟、お前、明日、週刊誌に載るぞ」
「え……?」
「彼女と歩いてる所、撮られたみたいだ。抑えきれなかったらしい。彼女にも伝えておけ。ファンの子からの嫌がらせがくるかもしれないしな」
「…………」
そして、渋谷は電話を切った。
……マジかよ……
ついてねぇ。
悟はそう思いながら、でも、まあ大丈夫だろうと彼女には何も言わないでいた。
だけど、そう思っていた悟の読みが外れてしまうことになってしまった。
次の日、渋谷の忠告どおり悟が彼女と歩いている所の写真が週刊誌に載った。
彼女は一般人なので、顔は伏せてあったが悟自身は本人だということがきっちりと解った。
悟は今日も映画の撮影だった。
今日の悟はいつもよりは楽に演技が出来ていた。
だけど、撮影から1時間後にマネージャーが悟の所へ来て、
「悟、彼女にちゃんと今日の週刊誌に載る件のこと連絡してなかったのか。何処から漏れたのか、お前の彼女の家、ファンに囲まれて大変らしいぞ」
と言った。
「え……」
悟が驚いた顔をしていると、
「今から行ってあげたら?」
としずくが来た。
しずくはここ最近、ずっと現場に来ていた。
「そんなことしたら、ますます火が点く。仕方ない。事務所に何とかして貰う。悟は暫く彼女とは会うな。いいな」
そう言いマネージャーはその場を去った。
「……行ってあげないの?」
しずくが言う。
「そんなこと出来るわけないだろ。俺が抜けたら、どれだけの人に迷惑がかかると思ってるんだよ。そんなこと簡単に言えるのはあんたがこの業界の人間じゃないからだよ」
「……だったら、何故、昨日、週刊誌に載ることを知っていたんなら、彼女に教えてあげなかったの? そして、何処かに守るように置いてあげなかったの? 彼女やその周りの人達は一般人だから、迷惑がかかってもいいって、そう思ったの?」
「!」
「―私があなたなら、一番に彼女をどうするか考えるわ。誰かが何とかしてくれるからいいなんて少しも思わないわ」
そう言いしずくはその場を去った。
それから、悟の彼女は事務所によって、騒ぎが納まるまで隔離された。
だけど、悟と彼女は騒動以来、一度も会わずに彼女から電話で一方的に別れを告げた。
彼女からの別れの言葉は、
「―やっぱり、あなたは私を愛してくれてはいなかった」
だった。
悟は彼女からその電話を受けても、やはり彼女の言うとおり、彼女の存在を失ったという深い悲しみはなかった。
1年間も一緒にいたのにだ。
……俺はやっぱり誰も愛せないのかもしれない……。
悟は彼女から別れを告げられた後、そんな想いが深くなっていた。
そして、
誰か愛を教えてくれよ。
そんな想いさえ抱えるようになっていた。
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