13 / 26
第13話「切なくて」
しおりを挟む
それから2週間後のことだった。
「悟、見舞いに行ってきたらどうだ?」
突然、渋谷にそんなことを言われた。
とあるTV局の楽屋でだった。
「お見舞い? 誰のですか?」
悟がそう言うと渋谷は溜息を吐いた。
「やっぱり知らないんだな。月下さん、お前のファンに嫌がらせ受けて、足を骨折したんだぞ」
「!」
「わざと自転車で月下さんにぶつかった子がいるんだ」
「………………」
「俺も一度、見舞いには行ったが、悟も心配だろ?」
悟は少し動揺したが、すぐに冷静になったーふりをした。
「……いいえ。もう、しずくとは別れたんです。だから、関係ありません」
「悟、だけど、悟のファンに怪我させられたんだぞ。それに、あの子は元彼女だろ」
「―どちらのことも俺にはもう関係ありません」
そう。怪我をさせたのは、俺のファンであっても他人だ。
それに、しずくとの関係はもう終わった。
やはり他人以外の何者でもない。
悟はざわつく心を必死に抑え、そう心の中で自分に言い聞かせた。
すると渋谷は悟の頬をぱんっと叩いた。
悟は驚いて渋谷を見た。
「いい加減にしろ! そんなに関係ないと言い張るなら、今のお前は何なんだ? 女遊びは激しい。酒は浴びるように飲む。そんな風になったのは、あの子と別れてからだろ! 関係ないって言うなら、自分をちゃんと立ち直してから言え!」
「渋谷さん……」
「……悟、俺はずっと思ってた。他のメンバーに比べて、お前は他人と関わることを自分から拒否して、他人と触れ合うことを恐れてるってな。そんなままでは、お前は一生、本当の友達も恋人もできないぞ。とにかく一度、見舞いに行ってこい。マネージャーのくせして偉そうにって気に障るなら、上に言いつけてクビにしたっていい。ただ、もう一度、月下さんに会って来い……これはマネージャーとしてではなく、俺個人としての意見だ」
そう言い渋谷は楽屋を出て行った。
残された悟は一人、唇を噛み締めた。
「悟、見舞いに行ってきたらどうだ?」
突然、渋谷にそんなことを言われた。
とあるTV局の楽屋でだった。
「お見舞い? 誰のですか?」
悟がそう言うと渋谷は溜息を吐いた。
「やっぱり知らないんだな。月下さん、お前のファンに嫌がらせ受けて、足を骨折したんだぞ」
「!」
「わざと自転車で月下さんにぶつかった子がいるんだ」
「………………」
「俺も一度、見舞いには行ったが、悟も心配だろ?」
悟は少し動揺したが、すぐに冷静になったーふりをした。
「……いいえ。もう、しずくとは別れたんです。だから、関係ありません」
「悟、だけど、悟のファンに怪我させられたんだぞ。それに、あの子は元彼女だろ」
「―どちらのことも俺にはもう関係ありません」
そう。怪我をさせたのは、俺のファンであっても他人だ。
それに、しずくとの関係はもう終わった。
やはり他人以外の何者でもない。
悟はざわつく心を必死に抑え、そう心の中で自分に言い聞かせた。
すると渋谷は悟の頬をぱんっと叩いた。
悟は驚いて渋谷を見た。
「いい加減にしろ! そんなに関係ないと言い張るなら、今のお前は何なんだ? 女遊びは激しい。酒は浴びるように飲む。そんな風になったのは、あの子と別れてからだろ! 関係ないって言うなら、自分をちゃんと立ち直してから言え!」
「渋谷さん……」
「……悟、俺はずっと思ってた。他のメンバーに比べて、お前は他人と関わることを自分から拒否して、他人と触れ合うことを恐れてるってな。そんなままでは、お前は一生、本当の友達も恋人もできないぞ。とにかく一度、見舞いに行ってこい。マネージャーのくせして偉そうにって気に障るなら、上に言いつけてクビにしたっていい。ただ、もう一度、月下さんに会って来い……これはマネージャーとしてではなく、俺個人としての意見だ」
そう言い渋谷は楽屋を出て行った。
残された悟は一人、唇を噛み締めた。
0
あなたにおすすめの小説
可愛らしい人
はるきりょう
恋愛
「でも、ライアン様には、エレナ様がいらっしゃるのでは?」
「ああ、エレナね。よく勘違いされるんだけど、エレナとは婚約者でも何でもないんだ。ただの幼馴染み」
「それにあいつはひとりで生きていけるから」
女性ながらに剣術を学ぶエレナは可愛げがないという理由で、ほとんど婚約者同然の幼馴染から捨てられる。
けれど、
「エレナ嬢」
「なんでしょうか?」
「今日の夜会のパートナーはお決まりですか?」
その言葉でパートナー同伴の夜会に招待されていたことを思い出した。いつものとおりライアンと一緒に行くと思っていたので参加の返事を出していたのだ。
「……いいえ」
当日の欠席は著しく評価を下げる。今後、家庭教師として仕事をしていきたいと考えるのであれば、父親か兄に頼んででも行った方がいいだろう。
「よければ僕と一緒に行きませんか?」
【完結】地味な私と公爵様
ベル
恋愛
ラエル公爵。この学園でこの名を知らない人はいないでしょう。
端正な顔立ちに甘く低い声、時折見せる少年のような笑顔。誰もがその美しさに魅了され、女性なら誰もがラエル様との結婚を夢見てしまう。
そんな方が、平凡...いや、かなり地味で目立たない伯爵令嬢である私の婚約者だなんて一体誰が信じるでしょうか。
...正直私も信じていません。
ラエル様が、私を溺愛しているなんて。
きっと、きっと、夢に違いありません。
お読みいただきありがとうございます。短編のつもりで書き始めましたが、意外と話が増えて長編に変更し、無事完結しました(*´-`)
王様の恥かきっ娘
青の雀
恋愛
恥かきっ子とは、親が年老いてから子供ができること。
本当は、元気でおめでたいことだけど、照れ隠しで、その年齢まで夫婦の営みがあったことを物語り世間様に向けての恥をいう。
孫と同い年の王女殿下が生まれたことで巻き起こる騒動を書きます
物語は、卒業記念パーティで婚約者から婚約破棄されたところから始まります
これもショートショートで書く予定です。
ミュリエル・ブランシャールはそれでも彼を愛していた
玉菜きゃべつ
恋愛
確かに愛し合っていた筈なのに、彼は学園を卒業してから私に冷たく当たるようになった。
なんでも、学園で私の悪行が噂されているのだという。勿論心当たりなど無い。 噂などを頭から信じ込むような人では無かったのに、何が彼を変えてしまったのだろう。 私を愛さない人なんか、嫌いになれたら良いのに。何度そう思っても、彼を愛することを辞められなかった。 ある時、遂に彼に婚約解消を迫られた私は、愛する彼に強く抵抗することも出来ずに言われるがまま書類に署名してしまう。私は貴方を愛することを辞められない。でも、もうこの苦しみには耐えられない。 なら、貴方が私の世界からいなくなればいい。◆全6話
英雄の番が名乗るまで
長野 雪
恋愛
突然発生した魔物の大侵攻。西の果てから始まったそれは、いくつもの集落どころか国すら飲みこみ、世界中の国々が人種・宗教を越えて協力し、とうとう終息を迎えた。魔物の駆逐・殲滅に目覚ましい活躍を見せた5人は吟遊詩人によって「五英傑」と謳われ、これから彼らの活躍は英雄譚として広く知られていくのであろう。
大侵攻の終息を祝う宴の最中、己の番《つがい》の気配を感じた五英傑の一人、竜人フィルは見つけ出した途端、気を失ってしまった彼女に対し、番の誓約を行おうとするが失敗に終わる。番と己の寿命を等しくするため、何より番を手元に置き続けるためにフィルにとっては重要な誓約がどうして失敗したのか分からないものの、とにかく庇護したいフィルと、ぐいぐい溺愛モードに入ろうとする彼に一歩距離を置いてしまう番の女性との一進一退のおはなし。
※小説家になろうにも投稿
〖完結〗旦那様が私を殺そうとしました。
藍川みいな
恋愛
私は今、この世でたった一人の愛する旦那様に殺されそうになっている。いや……もう私は殺されるだろう。
どうして、こんなことになってしまったんだろう……。
私はただ、旦那様を愛していただけなのに……。
そして私は旦那様の手で、首を絞められ意識を手放した……
はずだった。
目を覚ますと、何故か15歳の姿に戻っていた。
設定ゆるゆるの、架空の世界のお話です。
全11話で完結になります。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる