「愛って何ですか」

愛理

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第13話「切なくて」

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 それから2週間後のことだった。
「悟、見舞いに行ってきたらどうだ?」
 突然、渋谷にそんなことを言われた。
 とあるTV局の楽屋でだった。
「お見舞い? 誰のですか?」
 悟がそう言うと渋谷は溜息を吐いた。
「やっぱり知らないんだな。月下さん、お前のファンに嫌がらせ受けて、足を骨折したんだぞ」
「!」
「わざと自転車で月下さんにぶつかった子がいるんだ」
「………………」
「俺も一度、見舞いには行ったが、悟も心配だろ?」
 悟は少し動揺したが、すぐに冷静になったーふりをした。
「……いいえ。もう、しずくとは別れたんです。だから、関係ありません」
「悟、だけど、悟のファンに怪我させられたんだぞ。それに、あの子は元彼女だろ」
「―どちらのことも俺にはもう関係ありません」
 そう。怪我をさせたのは、俺のファンであっても他人だ。
 それに、しずくとの関係はもう終わった。
 やはり他人以外の何者でもない。
 悟はざわつく心を必死に抑え、そう心の中で自分に言い聞かせた。
 すると渋谷は悟の頬をぱんっと叩いた。
 悟は驚いて渋谷を見た。
「いい加減にしろ! そんなに関係ないと言い張るなら、今のお前は何なんだ? 女遊びは激しい。酒は浴びるように飲む。そんな風になったのは、あの子と別れてからだろ! 関係ないって言うなら、自分をちゃんと立ち直してから言え!」
「渋谷さん……」
「……悟、俺はずっと思ってた。他のメンバーに比べて、お前は他人と関わることを自分から拒否して、他人と触れ合うことを恐れてるってな。そんなままでは、お前は一生、本当の友達も恋人もできないぞ。とにかく一度、見舞いに行ってこい。マネージャーのくせして偉そうにって気に障るなら、上に言いつけてクビにしたっていい。ただ、もう一度、月下さんに会って来い……これはマネージャーとしてではなく、俺個人としての意見だ」
 そう言い渋谷は楽屋を出て行った。
 残された悟は一人、唇を噛み締めた。
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