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第18話「心暖まる日」
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悟はオフを3日間貰い実家に帰ってきた。
何年か振りに帰る家は昔と変わっていないように見えた。
悟の両親は今も共働きをしている。
だけど、今日は日曜日なので、どちらも休みのはずだ。
悟は家に帰ると両親に伝えずにここに来た。
ピーンポーン。
悟がチャイムを鳴らすとインターホン越しに悟の母親が返事をした。
「……悟だけど」
そう言うと悟の母親はインターホンを慌てて置いたらしく凄い音がした。
そして、悟の母親が家から出て来た。
何年も会っていなかったせいだろうか。少し老けた気がする。悟は心の中でそう思った。
それでも昔から周りに美人と言われていた面影は充分にあった。
「悟」
「ただいま。かなり久し振り」
そう悟が言うと悟の母親は悟を抱き締めた。
「―母さん?」
「お帰り。ずっと待ってたのよ。あなたがこの家に再び帰って来てくれるのを」
「―母さん。」
悟は驚いた。
幼い頃、悟を平気で置き去りにした母親が今こんなことを言うなんてと。
「ごめんね。ごめんね」
一体、何があったと言うのだろう。
こんなにしきりに自分に対して謝る程の何が。
「母さん、どうしたんだよ? とにかく中に入ろうよ」
悟がそう言ったので、ようやく悟の母親は悟から離れた。
そして、二人はリビングルームへ行った。
悟はリビングルームにあるソファーに座った。
悟が家にいた頃の黒いソファーではなく、白いソファーに変わっていた。
悟の母親はコーヒーを淹れてくれた。
「父さんは?」
「図書館に行ってるわ。もうすぐ帰ってくるとは思うけど」
「そう」
悟の読書好きは悟の父親譲りのものだった。
悟はふと、今、この二人はどういう状況にあるのだろうと思った。
悟が家を出るまではいがみ合っていた両親。
それは今も変わらないのだろうか。
悟がそんなことを思っていると、カチャリとドアが開く音がした。
悟の父親が帰って来たのだ。
悟の父親は悟を見て少し驚いたけれど、笑顔で、
「お帰り」
そう言ったのだった。
悟はそのことにも驚く。
何故なら悟は幼い頃からずっと父親のこんな笑顔を見たことがなかったから。
一体、この二人はどうしたというのだろう。
悟が本当に久し振りに会った両親はもう悟が知っている両親ではなかった。
「母さんも父さんもどうしたんだよ。昔はあんなに俺を邪魔者扱いしてたくせにさ」
悟は思わず本音を口から出してしまった。
多分、それは悟が両親に対して、ずっとわだかまりをもってきたからかもしれない。
悟がそう言うと両親は顔を見合わせ、そして、悟のことを二人共悲しそうな顔をして見た。
「父さん、母さん?」
二人のそんな表情を見て悟は更に驚いた。
「―あなたがそう言うのは仕方ないわね。本当にごめんなさい。私達、あなたがこの家を出て、長いこと帰ってきてくれなくて、そして、そんな中でやっと気づいたの。私達はあなたに何一つ楽しい思い出を残してあげてなかったって……だから、私達、あなたに自分から会いに行く勇気もなかったの。本当にごめんなさい」
「―すまんな。悟。だけど、お前がいない間に俺達は色んなことを考えて、いがみ合うのはやめたよ。だから、もし悟が俺達を赦してくれるなら、これからは親子三人、仲のいい家族でありたいんだ」
両親のそれぞれの言葉に悟は今日、今までで一番驚いた顔をした。
以前の悟なら、何を今更と素直に二人の言葉を受け入れられなかったかもしれない。
でも、今は違った。
しずくに出会い、そして、他の人からも色んな愛の形を教えて貰ったから。
だから、悟は、
「父さん、母さん、俺はずっとこんな家庭に憧れていたんだ」
そう言い、初めて両親に対して心からの笑顔を向けた。
そして、その日、三人はとても心暖まる時間を過ごした。
そう。それはずっとずっと悟が幼い頃から欲しかった時間だった。
何年か振りに帰る家は昔と変わっていないように見えた。
悟の両親は今も共働きをしている。
だけど、今日は日曜日なので、どちらも休みのはずだ。
悟は家に帰ると両親に伝えずにここに来た。
ピーンポーン。
悟がチャイムを鳴らすとインターホン越しに悟の母親が返事をした。
「……悟だけど」
そう言うと悟の母親はインターホンを慌てて置いたらしく凄い音がした。
そして、悟の母親が家から出て来た。
何年も会っていなかったせいだろうか。少し老けた気がする。悟は心の中でそう思った。
それでも昔から周りに美人と言われていた面影は充分にあった。
「悟」
「ただいま。かなり久し振り」
そう悟が言うと悟の母親は悟を抱き締めた。
「―母さん?」
「お帰り。ずっと待ってたのよ。あなたがこの家に再び帰って来てくれるのを」
「―母さん。」
悟は驚いた。
幼い頃、悟を平気で置き去りにした母親が今こんなことを言うなんてと。
「ごめんね。ごめんね」
一体、何があったと言うのだろう。
こんなにしきりに自分に対して謝る程の何が。
「母さん、どうしたんだよ? とにかく中に入ろうよ」
悟がそう言ったので、ようやく悟の母親は悟から離れた。
そして、二人はリビングルームへ行った。
悟はリビングルームにあるソファーに座った。
悟が家にいた頃の黒いソファーではなく、白いソファーに変わっていた。
悟の母親はコーヒーを淹れてくれた。
「父さんは?」
「図書館に行ってるわ。もうすぐ帰ってくるとは思うけど」
「そう」
悟の読書好きは悟の父親譲りのものだった。
悟はふと、今、この二人はどういう状況にあるのだろうと思った。
悟が家を出るまではいがみ合っていた両親。
それは今も変わらないのだろうか。
悟がそんなことを思っていると、カチャリとドアが開く音がした。
悟の父親が帰って来たのだ。
悟の父親は悟を見て少し驚いたけれど、笑顔で、
「お帰り」
そう言ったのだった。
悟はそのことにも驚く。
何故なら悟は幼い頃からずっと父親のこんな笑顔を見たことがなかったから。
一体、この二人はどうしたというのだろう。
悟が本当に久し振りに会った両親はもう悟が知っている両親ではなかった。
「母さんも父さんもどうしたんだよ。昔はあんなに俺を邪魔者扱いしてたくせにさ」
悟は思わず本音を口から出してしまった。
多分、それは悟が両親に対して、ずっとわだかまりをもってきたからかもしれない。
悟がそう言うと両親は顔を見合わせ、そして、悟のことを二人共悲しそうな顔をして見た。
「父さん、母さん?」
二人のそんな表情を見て悟は更に驚いた。
「―あなたがそう言うのは仕方ないわね。本当にごめんなさい。私達、あなたがこの家を出て、長いこと帰ってきてくれなくて、そして、そんな中でやっと気づいたの。私達はあなたに何一つ楽しい思い出を残してあげてなかったって……だから、私達、あなたに自分から会いに行く勇気もなかったの。本当にごめんなさい」
「―すまんな。悟。だけど、お前がいない間に俺達は色んなことを考えて、いがみ合うのはやめたよ。だから、もし悟が俺達を赦してくれるなら、これからは親子三人、仲のいい家族でありたいんだ」
両親のそれぞれの言葉に悟は今日、今までで一番驚いた顔をした。
以前の悟なら、何を今更と素直に二人の言葉を受け入れられなかったかもしれない。
でも、今は違った。
しずくに出会い、そして、他の人からも色んな愛の形を教えて貰ったから。
だから、悟は、
「父さん、母さん、俺はずっとこんな家庭に憧れていたんだ」
そう言い、初めて両親に対して心からの笑顔を向けた。
そして、その日、三人はとても心暖まる時間を過ごした。
そう。それはずっとずっと悟が幼い頃から欲しかった時間だった。
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