「愛って何ですか」

愛理

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第19話「消えたバラード」

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    それからの悟はしずくとも家族とも順調で以前のような角が立つ気持ちを持つことはなかった。
 何もかもが順調で幸せな日々。
 まさに悟は今、天国にいるような気持ちになっていた。
 そして、悟は解った。
 愛を知らないでいるより、愛を知った方が何倍も幸せなのだと。
 例えそこに切なさがついてくるとしても。
 今日、悟はコンサートだ。
 勿論、しずくも、そして、両親も招待した。
 悟はステージからファンの子達を見て思う。
 今まで悟はファンの子達が自分達を応援してくれるのは、自分にとって本当に大切な恋人ができるまでの期限つきのものなんだと思っていた。
 だから、何処となく冷めた感情でファンの子達を見てきた。
 最初から本物ではない感情などいらないと。
 だけど今は思う。
 例えそれが今だけの気持ちだとしても、どんな感情だとしても、このステージに足を運んでくれたことがもう本物の気持ちなのだと。
 だから、悟は精一杯このファンの子達に楽しんで貰わなくてはいけないと愛をできるだけ注がなくてはいけないと思う。
 勿論、それは全て心からのものでないといけないと。
 だから、悟は今までのお礼とばかりに心からの笑顔をファンの子に精一杯、振り撒いた。
 大好きだよという気持ちを込めて。
 そして、悟のソロのコーナーになった。
 悟はバラードを選曲した。
 歌は「君に教えて貰った愛」というタイトルのオリジナルのものだった。 
 しっとりした曲に乗せて悟の歌声が会場に響く。
 悟は歌が上手だ。だから、とてもいい歌声が会場に響いていた。
 その歌が終わる頃、ファンはしんと静まり返り、誰もが悟の歌に聞き惚れていた。
 そして、メロディーが終わると同時に拍手喝采ーのはずだった。
 だけど、現実は拍手ではなくファンの子達の悲鳴だった。
 何故なら悟は一人のファンによってナイフでお腹を刺されたからだ。
 ファンはメロディーが終わると同時に警備員を無理矢理、押し退け、ステージに駆け上がってきたのだった。
 そして、悟はステージの上で気を失った。  
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