俺は四重人格の君の4分の壱が好きだった

8話 冷めたコーヒに映る謎の感情

「何貴方ぼーっとしてるの？今朝みたいに授業遅刻するわよ」

「お前にそんなこと言われなくても行く」
「そしてお互い内緒だからな！」

「はいはい」
「教室戻るわ」

「ま、待てよ！俺も行くから」

「私と近くにいても良いの？」
「みんなの王子様がこんな奴といると貴方のランクが下がるわよ」
「先帰るわ そんじゃバイバイ」
女の素っ気ない態度がまるで自分を見ているようで心が苦しくなった。
そして何処かかっこよく見えたのが少し悔しい。
そしてあの女には疑問が山ほどあるなぜ死のうとしてたのか…
保健室の時に見たアザと何か関係あるのか？
本当に心から思っていることが輝く太陽にすかしても見えなかった。
こんなに自分以外のやつのこと考えるなんて…

教室に戻った。
次の授業は美術で移動教室なので、少し急ぎ足で美術室まで向かった。

「優雅！何してたんだよ」
「コーヒー買ってきてベンチに帰ったらお前が居なくてビックリした」

「悪りぃ急用ができちまって」

「急用てなんだ？」

「お前なんかに教えるかよ」
「なんだよその言い方はねぇだろせっかく買ってきたコーヒーも冷めちゃったし」

「ごめんごめん」

「お前同じ言葉を繰り返し言う時大体聞いてねぇだろ！」

「うん！」
「お前の話自体大体聞いてねぇけどな」

「腹立つなぁ」

「お前座れよチャイム鳴るぞ」

今から始まるのは一番俺が嫌いな授業美術だ。
国語・数学・理科・社会・英語は大体答えが決まっているが、それに比べて美術の授業は答えも何もねぇ自分の感性でやるのが本当に無理だ。
美術をして将来何になる？
やりたい奴だけがしとけって話だよ！
美術の教室では出席番号で座るがあの女と結構席が近い。
それも今まで俺は知らなかった。
それより教室にいること自体知らなかったんだからそれも当たり前だ。
今日は教室から見える様々な風景を見て描く授業のようだ。
なんでそんなことをするんだ？
写真を撮れば良いじゃないか。
今現在こんなに人類が成長している中で何でこんなことをするのか未だ俺には理解できない。
別にそこまで絵を描くのが下手ってわけではないが、本当に俺には向かない授業だ。

早く帰って昼寝でもしてぇよ。
まぁ後1時間ぐらい頑張れば終わることだ。

ずっとそんなことばかり考えているといつの間にか授業が終わりに近づいていることが良くある。

「優雅教室に帰ろうぜ！」

「うん」
女は大体教室に帰る短い距離でも団体行動を乱さず常に特定の輪の中に居る退屈な奴らばかりだが、あの女は寂しくでも何処か勇ましく1人で静かに教室までの道のりを帰っていたのだ。
でも、休み時間とかは佐伯さんと城石さんと佐川さんと喋っていることが多いことに気づいた。
俺にはなぜか友達には見えなかった。
別に仲が悪そうでもなく笑顔で4人は喋っているが、あの女は他の自分を操りながらしゃべているような気がした。 
その理由は自分でもわからないし、そう思えるかもわからなかった。