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俺の彼女は14歳のホームレスだった

7話 おたがいのショウタイ

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俺と奈々の間には、気まずい空気がただよっていた。
「ねぇさとしくん。何か、隠してるの?」
「え…。別に隠してなんかは…」
「何かあるんでしょ?」
「何もないよ!」
「教えて!」
「…。あー!もう、いやだ!あのな、雪は俺の妹なの!お前のお兄さんに殺された、雪の兄なの!お前のお兄さんのせいで、雪は死んだ!雪はお前のお兄さんに殺されたんだよ!」
と、怒りながら、言った。
「さとしくん…。ごめん…。私、もう、ここにいられる立場じゃないよね…。今までありがとう。」
と、最後に言い残して、さとしの部屋を出て行った。外は、少しずつ雨が降ってきていた。しばらくの間は一切、動かなかった。
すると、下の階から母親が何かを言っている。しかし、俺の耳には全く入ってこなかった。雨が強く、降り始めた。
「少し、言い過ぎたかな…。」
「奈々…。奈々…。」
と俺は呟き、雨が降る中、急いで奈々を見つけた。
奈々を見つけるため、ひたすら走った。びしょ濡れになりながら、走った。
奈々を見つけるまで、とにかく走り続けた。
そして…
俺は、奈々と最初に出会った、公園へと向かった。
そこには、雨の中、びしょ濡れになりベンチに座っている1人の女の子の姿があった。
「奈々…。」
「さとしくん…。」
「奈々…。大丈夫か?」
「うん。」
そう言った直後、奈々は倒れた。
「奈々ー!奈々ー!」
奈々は濡れた体で、意識を失っていた。
「ひどい熱だ…。」
俺は、奈々の体を抱きかかえながら、その場を離れようとした…
と…その時…。
こちらへと、1人の女性が近づいてきた。
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