神とモフモフ(ドラゴン)と異世界転移

龍央

文字の大きさ
1,334 / 1,955

決死のアマリーラ

しおりを挟む


「もちろんだ。モニカ程の強い気持ちはなくとも、私達の冒険者パーティのリーダーだからな。迎えに行かなくては」
「私は同行者として、そして冒険者としてご一緒させてもらっています。冒険者らしい活動はそこまで多いとは言えないかもしれませんが、リク様がいなければ同行している意味が薄まってしまいますからね。任せて下さい。必ず道は切り開きます」


 帰って来る二人の頷きと言葉。
 私達の冒険者パーティ……ニーズヘッグ。
 パーティとしての活動がおろそかになり過ぎていて、名前を忘れそうになるくらいだけど……でも、リクさんはそのパーティのリーダー。
 もし今後クランを作る事になっても、それは変わらない、というソフィーの気持ちね、多分。

 フィネさんは、フランク子爵を通しての同行者だけれど、今ではほとんど一緒のパーティのようなもの。
 リクさんを見て今後の参考に……のような事を言っていたけれど、エアラハールさんの訓練も一緒に受けたし、もう仲間と言っても過言じゃないわ。
 コルネリウスさんだったかしら? あのフランク子爵からは想像できないくらいの我が儘放題に育った、ドラ息子と一緒にいた時に出会ったけど、その時からは考えられないくらい仲良くなったわねぇ。

 まぁ、出会った時にあれな感じだったのはコルネリウスさんだけで、フィネさんともう一人の冒険者はまともだったけど。
 なんて考えている間にも、状況は進む。

「モニカ、行くのだわ」
「えぇ」

 エルサちゃんの言葉で、狙うべき結界を見据えて武器を構える。
 同じく、ソフィーやフィネさんもそれぞれ剣と斧を握りしめて、いつでも駆け出せるように構えたわ。

「ソフィーとフィネは、私とモニカの援護。周りの結界を攻撃して割るの。私とモニカは、皆がなんとかこじ開けられそうにまでしてくれた場所を重点的に攻撃するの!」
「えぇ、わかっているわ!」

 前もって話していた事。
 ソフィーとフィネさんはこじ開ける場所から近い部分へと攻撃を加え、最低でも数枚の結界を割る。
 そして私は、ユノちゃんと一緒にアマリーラさんが見つけるはずの弱っている場所へ重点的に攻撃。
 次善の一手どころか、最善の一手を軽々と使えるユノちゃんが一番、結界を破る力があると思ったのだけれど、槍を持ち、そしてリクさんとの繋がりを考えると私が一番最適だと言ってくれ、任せてくれたわ。

 リクさんとの繋がり、時折本当にあるのか少し疑ってしまう自分がいるけれど、ユノちゃんを始めとした皆は、私が一番あると言ってくれる。
 エルサちゃんはまた特別だけれどね。
 でもだからこそ、私の頭にエルサちゃんがくっ付いているのだろうし、それは私がずっとリクさんに対する想いを抱え続けていた結果でもある……らしいわ。
 自分じゃあまり実感のようなものはないけれど。

「うにゃあああああああ!!!」
「っ!?」

 突然、辺りに響く雄叫び……驚いて声のした方を見ると、アマリーラさんだったわ。
 猫らしい獣人だからこその叫び、なのかしら?
 ともかくアマリーラさんは、ダメ押しなのかロングソードを振り上げ、結界に……いえ、違うわ!

「あれは、マルクスさんが折った剣の先!?」
「素手でなんて……」

 両手剣でもあるロングソードを、右手一本で軽々と振り上げているのはアマリーラさんだからともかくとして、いつの間にか左手には、折れた剣先が握られていた。
 それは、マルクスさんが折ったショートソードの剣先……当然、柄などはないので素手で握れば手を怪我してしまう。
 なのにアマリーラさんは、おそらく肉に食い込んでいるであろう剣先を持ち、食い込んでいるヤンさんの武器の刃がある部分へと、さらに突き込んだ!

「に、にゃああああああ!!」

 もう一度響く、アマリーラさんの叫び声……それは、痛みからなのか意気を込めているのか。
 突き込んだ剣先は少しだけヤンさんの武器の刃を押し込み、結界に食い込む。
 一部に赤い血が付着しているように見える剣先へ向けて、振り上げたロングソードを撃ち込んだ!!

「あ、割れ……た?」
「剣が割れたのだわ。どんな力、なのだわ……」

 弾けるような音と、散らばる破片。
 それは食い込んでいた剣先が、撃ち込まれたロングソードによって破壊された物だった。
 エルサちゃんですら少し驚いている様子を隠せない程、強い力だったのだろう……剣を折る、ではなく割るなんて尋常じゃないわね。
 巨大な剣すら軽々と振り回すアマリーラさんだからこそ、かしら。

「深く食い込んだのだわ! さらに結界が割れたのだわ!」

 そして、割れた剣先を過ぎ去ったロングソードは、これまで見たどんな攻撃よりも深く、結界へと食い込む。
 けどそれも一瞬。
 剣の半ばくらいまで深々と突き刺さった剣は、加えられた力に耐えられなかったのか、自壊してバラバラになって行った。

「……今よ! 深く刺さった剣、そ個が一番結界が弱っているのは間違いないわ! 行くわよ、ユノちゃん。ソフィー、フィネさんも!」
「行くのー! リクの結界を破壊してやるのー!」
「応!」
「了解しました!」

 食い込んだアマリーラさんの剣はバラバラになり、結界の内部には残らなかったけれど、それでも複数枚の結界を割り、さらにヤンさんの武器の刃を奥まで押し込んだ。
 さらにそこへ攻撃が加えられれば……! 好機を逃さないように、ユノちゃん、ソフィー、フィネさんに声を掛けて、ついに私達も駆け出した!

「モニカ、持って行って! 私とカイツの使っていたクォンツァイタよ! 私達にはさっきのような魔法を使う余力はないし、クォンツァイタにも残っていないけど、それでも多少は魔力が蓄積されえているわ! 何かの助けになるはずよ!」
「ありがとう、フィリーナ! もらって行くわ!」

 途中横を通り過ぎる際に投げて寄越された、二つのクォンツァイタを受け取る。
 あれだけの魔法を、何度も使っていたんだもの……フィリーナ達にも、そしてクォンツァイタにも残っている魔力は少ないんだろう。
 それでも、結界を破るための一手として使えるなら……。

「魔力が残り少ないクォンツァイタか……」

 走りながら、懐にフィリーナから受け取ったクォンツァイタをしまう。
 魔力を蓄積していくごとに、色が濃くなり変わって行く性質を持つ鉱石。
 私の籠手に取り付けた物は、濃い紫に近いピンク色をしているけど、フィリーナ達のクォンツァイタは透明に近いピンクだった。

 フィリーナのように、魔力を見る目を持っていないから残りがどれだけかはわからないけど、色の薄さで蓄積された魔力の残りが少ないのがよくわかる。
 一応の予備にもできるけど……何かに使える事があるのだろうか?

「アマリーラさん、後は私達が!!」
「こんの! リク様の! ための! 道を! 開けろぉぉ!!」

 結界までの道を走り、程なくアマリーラさんの所へと辿り着く。
 そこでは、ロングソードを失ったアマリーラさんが、拳から血を迸らせるのすら構わず、打ち付け続けていた。
 声を掛けても、夢中になっているのか……トランス状態、興奮状態というのかしら、私の声にも気付かない様子ね――。


しおりを挟む
感想 61

あなたにおすすめの小説

異世界帰りの勇者、今度は現代世界でスキル、魔法を使って、無双するスローライフを送ります!?〜ついでに世界も救います!?〜

沢田美
ファンタジー
かつて“異世界”で魔王を討伐し、八年にわたる冒険を終えた青年・ユキヒロ。 数々の死線を乗り越え、勇者として讃えられた彼が帰ってきたのは、元の日本――高校卒業すらしていない、現実世界だった。

【完結】竜騎士の私は竜の番になりました!

胡蝶花れん
ファンタジー
ここは、アルス・アーツ大陸。  主に5大国家から成り立つ大陸である。  この世界は、人間、亜人(獣に変身することができる。)、エルフ、ドワーフ、魔獣、魔女、魔人、竜などの、いろんな種族がおり、また魔法が当たり前のように使える世界でもあった。  この物語の舞台はその5大国家の内の一つ、竜騎士発祥の地となるフェリス王国から始まる、王国初の女竜騎士の物語となる。 かくして、竜に番(つがい)認定されてしまった『氷の人形』と呼ばれる初の女竜騎士と竜の恋模様はこれいかに?! 竜の番の意味とは?恋愛要素含むファンタジーモノです。 ※毎日更新(平日)しています!(年末年始はお休みです!) ※1話当たり、1200~2000文字前後です。

ガチャと異世界転生  システムの欠陥を偶然発見し成り上がる!

よっしぃ
ファンタジー
偶然神のガチャシステムに欠陥がある事を発見したノーマルアイテムハンター(最底辺の冒険者)ランナル・エクヴァル・元日本人の転生者。 獲得したノーマルアイテムの売却時に、偶然発見したシステムの欠陥でとんでもない事になり、神に報告をするも再現できず否定され、しかも神が公認でそんな事が本当にあれば不正扱いしないからドンドンしていいと言われ、不正もとい欠陥を利用し最高ランクの装備を取得し成り上がり、無双するお話。 俺は西塔 徳仁(さいとう のりひと)、もうすぐ50過ぎのおっさんだ。 単身赴任で家族と離れ遠くで暮らしている。遠すぎて年に数回しか帰省できない。 ぶっちゃけ時間があるからと、ブラウザゲームをやっていたりする。 大抵ガチャがあるんだよな。 幾つかのゲームをしていたら、そのうちの一つのゲームで何やらハズレガチャを上位のアイテムにアップグレードしてくれるイベントがあって、それぞれ1から5までのランクがあり、それを15本投入すれば一度だけ例えばSRだったらSSRのアイテムに変えてくれるという有り難いイベントがあったっけ。 だが俺は運がなかった。 ゲームの話ではないぞ? 現実で、だ。 疲れて帰ってきた俺は体調が悪く、何とか自身が住んでいる社宅に到着したのだが・・・・俺は倒れたらしい。 そのまま救急搬送されたが、恐らく脳梗塞。 そのまま帰らぬ人となったようだ。 で、気が付けば俺は全く知らない場所にいた。 どうやら異世界だ。 魔物が闊歩する世界。魔法がある世界らしく、15歳になれば男は皆武器を手に魔物と祟罠くてはならないらしい。 しかも戦うにあたり、武器や防具は何故かガチャで手に入れるようだ。なんじゃそりゃ。 10歳の頃から生まれ育った村で魔物と戦う術や解体方法を身に着けたが、15になると村を出て、大きな街に向かった。 そこでダンジョンを知り、同じような境遇の面々とチームを組んでダンジョンで活動する。 5年、底辺から抜け出せないまま過ごしてしまった。 残念ながら日本の知識は持ち合わせていたが役に立たなかった。 そんなある日、変化がやってきた。 疲れていた俺は普段しない事をしてしまったのだ。 その結果、俺は信じられない出来事に遭遇、その後神との恐ろしい交渉を行い、最底辺の生活から脱出し、成り上がってく。

科学×魔法で世界最強! 〜高校生科学者は異世界魔法を科学で進化させるようです〜

難波一
ファンタジー
「魔法ってのは……要はエネルギーの制御だろ?」 高校生にして超人的な科学知識を持つ天才・九条迅は、ある日、異世界アルセイア王国に「勇者」として召喚された。 だが、魔王軍との戦争に駆り出されると思いきや—— 「お前、本当に勇者か? 剣も魔法も、まともに使えないのか……?」 「科学的に考えれば、魔法ってのはもっと進化できるはずだ!」 剣も魔法も素人の迅だったが、「魔法を科学的に解析し、進化させる」という異端の方法で異世界の常識を根底から覆し始める! 魔法の密度を最適化した「魔力収束砲」 魔法と人体の関係を解明し、魔力を増大させる「魔力循環トレーニング」 神経伝達を強化し、攻撃を見切る「神経加速《ニューロ・ブースト》」 次々と編み出される新技術に、世界は驚愕! やがて、魔王軍の知将《黒の賢者》アーク・ゲオルグも迅の存在に興味を持ち始め—— 「科学 vs 魔法」「知能 vs 知能」 最強の頭脳戦が今、幕を開ける——! これは、「魔法を科学で進化させる勇者」が、異世界を変革していく物語! ※小説家になろう様、カクヨム様にも掲載しています。

目を覚ますと雑魚キャラになっていたけど、何故か最強なんです・・・

Seabolt
ファンタジー
目を覚ますと雑魚キャラに何の因果か知らないけど、俺は最強の超能力者だった・・・ 転生した世界の主流は魔力であって、中にはその魔力で貴族にまでなっている奴もいるという。 そんな世界をこれから冒険するんだけど、俺は何と雑魚キャラ。設定は村人となっている。 <script src="//accaii.com/genta/script.js" async></script><noscript><img src="//accaii.com/genta/script?guid=on"></noscript>

異世界に転生したけど、頭打って記憶が・・・え?これってチート?

よっしぃ
ファンタジー
よう!俺の名はルドメロ・ララインサルって言うんだぜ! こう見えて高名な冒険者・・・・・になりたいんだが、何故か何やっても俺様の思うようにはいかないんだ! これもみんな小さい時に頭打って、記憶を無くしちまったからだぜ、きっと・・・・ どうやら俺は、転生?って言うので、神によって異世界に送られてきたらしいんだが、俺様にはその記憶がねえんだ。 周りの奴に聞くと、俺と一緒にやってきた連中もいるって話だし、スキルやらステータスたら、アイテムやら、色んなものをポイントと交換して、15の時にその、特別なポイントを取得し、冒険者として成功してるらしい。ポイントって何だ? 俺もあるのか?取得の仕方がわかんねえから、何にもないぜ?あ、そう言えば、消えないナイフとか持ってるが、あれがそうなのか?おい、記憶をなくす前の俺、何取得してたんだ? それに、俺様いつの間にかペット(フェンリルとドラゴン)2匹がいるんだぜ! よく分からんが何時の間にやら婚約者ができたんだよな・・・・ え?俺様チート持ちだって?チートって何だ? @@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@ 話を進めるうちに、少し内容を変えさせて頂きました。

高校生の俺、異世界転移していきなり追放されるが、じつは最強魔法使い。可愛い看板娘がいる宿屋に拾われたのでもう戻りません

下昴しん
ファンタジー
高校生のタクトは部活帰りに突然異世界へ転移してしまう。 横柄な態度の王から、魔法使いはいらんわ、城から出ていけと言われ、いきなり無職になったタクト。 偶然会った宿屋の店長トロに仕事をもらい、看板娘のマロンと一緒に宿と食堂を手伝うことに。 すると突然、客の兵士が暴れだし宿はメチャクチャになる。 兵士に殴り飛ばされるトロとマロン。 この世界の魔法は、生活で利用する程度の威力しかなく、とても弱い。 しかし──タクトの魔法は人並み外れて、無法者も脳筋男もひれ伏すほど強かった。

セーブポイント転生 ~寿命が無い石なので千年修行したらレベル上限突破してしまった~

空色蜻蛉
ファンタジー
枢は目覚めるとクリスタルの中で魂だけの状態になっていた。どうやらダンジョンのセーブポイントに転生してしまったらしい。身動きできない状態に悲嘆に暮れた枢だが、やがて開き直ってレベルアップ作業に明け暮れることにした。百年経ち、二百年経ち……やがて国の礎である「聖なるクリスタル」として崇められるまでになる。 もう元の世界に戻れないと腹をくくって自分の国を見守る枢だが、千年経った時、衝撃のどんでん返しが待ち受けていて……。 【お知らせ】6/22 完結しました!

処理中です...