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はじめての“理不尽” (前編)
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これは、わたしにとっての“理不尽”が始まる頃の記憶だ。
思えば、母の様子が変わり始めたのは、“あの日”がくる数日くらい前からだった。
その頃は、すでに父の帰りが次第に遅くなり、何日か帰らない日も増えてきていた。
それが影響してか、それまで優しかった母が、些細なことでお姉ちゃんを怒るようになり、時には一緒にいたわたしまで並んで叱られることもあった。
…まあ、実際にお仕置きを受けたのは“お姉ちゃんだけ”だったけど。
そうこうしている間に、“あの日”がきてしまったのだ。
・・・
「あなた、またこんな時間に出かけるの?…やっと帰ってきたと思ったらいつもすぐに出かけて……ほんと、いい加減にしてちょうだいっ!!」
“あの日”の夜、数日ぶりに帰宅した父に向けられた第一声が、その言葉だった。
普段は温厚な母が、“これまでため込んだもの”を吐き出すように、父を怒鳴りつける。
無口な父は、その言葉を気にも止めず、玄関のドアへと向かっていった。
「待ちなさいっ!次はいつ帰ってくるのっ!?」
少し焦った雰囲気の母が、父の背中に問いかけると、進行していた足が止まった。
…だが、すぐに返答はなく、しばしの時間が流れる。
「………もう、帰らない。」
「……は?」
父からの返答はそれだけだった。
きっと、この場にいる父以外の全員に、“?マーク”が生まれたことだろう。
そして、返答を終えた父は再び玄関へと歩き出した。
「ちょ、ちょっと、帰らないって“出て行く”ってこと?……だったら、まいはどうするのよっ!?一緒に連れていくのっ!?」
「…まいは、お前に任せる。……“好きなよう”に育ててくれ。」
「そんな勝手なことが許されると思うのっ!?…大体、お金とか、いろんな問題があるでしょっ!?」
「……金は毎月“養育費”を振り込む。…そのほかのことは後日連絡する。」
「後日って……、まだ話は終わってないのよっ!!」
“ガチャンッ”
「っ…。」
悲しい音を立てて玄関の扉が閉じられる。
その場に立ち尽くした母は、しばらく放心したのち、怖い顔でキッチンへと戻ってきた。
「…あーっ!もうっ!!」
“バリンッ”
“家族”を写した写真立てが、ものすごい音を立てながら、キッチンの床に投げつけられる。
そして、保護していたガラスが割れ、写真と共にぶちまけられた。
……きっと、これが“家族”の壊れた瞬間なんだと思う。
「…で?……まい、あんたはどうするの?」
「……え?」
「いま追いかければ、まだ間に合うかもしれないわよ?……それとも、ここに残るの?」
「……えっと。」
怖い表情を向けられ、わたしは焦るように、視線で姉へ助けを求めた。
隣にいる姉は“オドオド”としながら、母とわたしを交互に確認している。
「……どうなの?」
痺れを切らした母が、催促をするように、再び、わたしに問いかけた。
「……ここに、…残りたいです。」
「…そう。」
“恐る恐る”母に気持ちを伝えると、口に手を当て、何かを考えている様子だった。
「なら、別にここにいても構わないわよ。」
「……ありがとうございます。」
てっきり、反対されると思っていたため、“ホッと”胸を撫で下ろすわたしがいた。
「…ただ、これまで通りにはいかないから。」
「………え?」
「今日からお姉ちゃんの罪は、あんたにお仕置きすることにしたわ。」
「………。」
一体、母は何を言っているのだろう。
突然の展開が続き、頭が回らず、母の言ったことを理解できないでいた。
「ちなみに、あんたの罪は、あんたに2倍お仕置きするから。」
そんなわたしのことを気にも止めず、母は話を続け出す。
「もちろん、今まで以上に厳しくて、恥ずかしいお仕置きにするから、覚悟しなさい。」
・
その後、わたしが何か言い出す前に、母は一方的に会話を終了した。
すでに食事やお風呂は終了していたため、「もう寝なさい。」と言われ、わたしは“不安”が残る中、ベッドの中に潜り込む。
結局、その日の夜は何事もないまま終わり、次の日を迎えた。
朝日が部屋の中に差し込み、すっかり見慣れた天井が、わたしに1日の始まりを告げる。
『もしかしたら、昨日の怖い時間も夢だったのかな…。』
ぼんやりする頭でそんなことを考えていると、姉に“ご飯の準備”が出来たことを知らせられた。
目を擦りながらキッチンに向かうと、すでに席についている母と、色とりどりのご飯がわたしを迎えた。
母の様子を確認すると、昨日の“怖い雰囲気”はなく、いつもの様子みたいだった。
『やっぱり、夢だったのかな。』
少し安心しながらわたしも席につく。
隣へ姉も座り、「いただきます。」の挨拶が響き渡った。
・
今日は休日で、まったりとした時間が流れる。
特に今日は、わたしの大好きな“ハンバーグ”も並んでいるため、とても幸せな気持ちで口に運んでいた。
「……まい、あの…。」
「ん?…お母さん、なに?」
「…昨日のことなんだけど……。」
母は少し悲しそうな表情で、わたしを見つめている。
“昨日のこと”とは、やはり、あれは夢ではなかったのだろうか。
「あの後考えたんだけど、やっぱりやめ…」
「あっ!!」
“ベチャッ”
「お、お姉ちゃん…。」
母との会話の途中に、姉がハンバーグをパジャマに落とした。
元々白かったパジャマに、ハンバーグの黒が滲み、悲惨な結果になっている。
「マ、ママ…、ごめんなさ…」
「まいっ!お仕置きするからお尻出しなさいっ!!」
静かだったキッチンに母の怒鳴り声が響き渡った。
その“鬼のような豹変ぶり”に、わたしと姉は“ピクッと”身体を震わせる。
「マ、ママ…、私にお仕置きじゃないの?」
「昨日も言ったでしょ?…お姉ちゃんの罪は、まいにお仕置きするって。」
「そ、そんな…。お母さん、わたし何もしてないよ?」
あまりの展開に、わたしは顔を青くしながら母に反抗する。
「関係ないわ。それが“この家のルール”よ。…従えないなら出て行きなさい。」
「ルールって…。」
「……お仕置きを受けるなら、パジャマのズボンとパンツを脱いで、私の膝の上に来なさい。」
「………。」
『わたしは、何も悪いことをしていないのに…。』
おかしなルールで、お仕置きされることに納得がいかず、つい、母を睨みつけてしまう。
「まい、…何その目は?……いい度胸ね。なら後で“恥ずかしいお仕置き”も追加してあげるわ。」
「…なんでっ!?わたし悪くないのにっ!!」
「それが“ルール”だからよ。何度も言わせないで。……あと一回でも反抗したら、強制的に追い出すわよ?」
「………。」
母に睨み返されて、わたしは一歩後ろに下がってしまう。
隣を見ると、“原因を作った”姉は、昨日同様“オドオド”として、どうしていいかわからない様子だった。
「……グスッ。わかった。お仕置き受けるから追い出さないで…。」
「ちゃんと受けられたら許してあげるわ。…さあ、早く脱ぎなさい。」
「…はい。」
わたしは“しぶしぶ”腰の部分に手をかけ、ズボンを膝まで下ろした。
“スースー”する感覚が、最近芽生え始めた“羞恥心”を酷く煽るようだった。
続いてパンツに手をかけ、一気に膝まで下ろす。
大事な所やお尻に当たる空気に、わたしの頰は赤くなっていく。
まだ産毛は生えていないが、成長してきた“秘部”を晒す屈辱で、わたしは手で隠すようにそこへ持っていった。
「……脱いだよ。」
「だめよ。全部脱いで、脱いだものは床に畳んで置きなさい。…それに、お仕置きを受けるのに“その手”は何?ちゃんと気をつけの姿勢になりなさい?」
「……恥ずかしいよぉ…。」
「“恥ずかしくする”とも言ったはずよ?…叩かないとわからない?」
「わ、わかったよぉ…。」
わたしは震える手で、言われた通り下に着ているものを脱ぎ、畳んで置いた。
そして、母の方を向き直ると、気をつけの姿勢になる。
「もう少しこっちに来て頰を出しなさい。」
「…?…うん。」
バヂンッ!
「…っ!?」
言われた通りにすると、返ってきたのは頰に感じる鋭い痛みと衝撃だった。
「い、いっだいっ!?」
その後に“ジグジグ”とする持続的な痛みが残り続け、わたしの頰に涙が伝う。
突然の衝撃に舌を噛んでしまったわたしは、同時に舌の“ズキズキ”とした痛みも襲いかかってくる。
「脱ぐのが遅れた罰よ。…今後、お仕置きはこの服装でするから、すぐに準備しなさい。」
これまでは、脱ぐのが少し遅れただけで、叩かれたことなんてなかったのに…。
…その厳しさに身体が震えだしてしまった。
「わかったら、早く膝の上に来なさい。…それとも、もう一回叩かれたい?」
「っ!?…い、いま行きますっ!?」
もうこれ以上ぶたれるのは嫌なため、急いで膝の上へ腹ばいになった。
しばらくお仕置きを受けていなく、久しぶりのこの感覚が、わたしに恐怖心を与えてくる。
「じゃあ、“まずは”平手でお尻100叩きよ。…かなり厳しくするから覚悟しなさい。」
「ひゃ、ひゃくっ!?…お姉ちゃんが服にこぼしただけだよっ!?これくらいなら、いつも20回くらいじゃんっ!!」
「ほんと、何回おんなじことを言わせるの?“これまで以上”に厳しくするって言ったでしょ?…それに、また口答えをしたわね?」
「…ひぃっ。」
バヂンッ!!
「いっだぁいっ!!」
「これからは、口答えするたびに“警告”として叩くから、そのつもりでいなさい。」
「……厳しすぎるよぉ。」
「…返事は?」
バヂンッ!!バヂンッ!!
「い゛いぃっ!!…はい、わかりましたぁっ!!」
お尻全部に痛みが走り、その度に身体が“ビクンッと”跳ね上がる。
いつもよりも強い痛みに、涙が溢れ出してくるのがわかった。
「じゃあ、お尻100叩きを始めるわよ。…お願いは?」
“ペンッ、ペンッ”
「は、はいっ!?お仕置き、お願いしますっ!!」
お尻に“優しい注意”をもらい、わたしは焦って声を振り絞る。
…じゃないと、また痛い“警告”を貰うことになると思ったからだ。
バッヂィィンッ!!
「あ゛ぁぁぁっ!!」
『い、いだいっ!?…痛すぎるっ!!』
いつも、お仕置きの終盤にされるくらいの痛みが与えられる。
予想以上の痛みに、わたしはお尻に手を当ててしまっていた。
「お、おがぁさんっ!痛すぎるよぉっ!?」
「当たり前でしょ?これまでみたいな“甘いお仕置き”は、もう二度としないわ。
…さあ、その手をどけなさい。数を増やされたくなかったらね。」
「…お尻壊れちゃうよぉ。」
わたしは“しぶしぶ”お尻から手を戻す。
いつも、お仕置き中に手を握って安心させてくれる姉は、今日は来てくれないようだった。
バッヂィィンッ!!バッヂィィンッ!!
「い゛いぃぃっ!!」
バッヂィィィン!!!
「ぎゃぁぁぁっ!!」
『いだいぃっ!?いだすぎるよぉっ!』
たった数発で、これまでにされたお仕置きの“何倍も痛く”感じる感覚を覚える。
…だが、それでも、お仕置きはまだまだ終わる気配がない。
バッヂィィィン!!!
「もうい゛やぁぁぁっ!!」
…それからしばらくキッチンには、わたしのお尻をぶたれる音と悲鳴が、響き渡っていた。
……まだ幼い身体には厳しすぎるこの“理不尽な時間”は、一体、いつになったら終わるのだろうか…。
※後編に続きます
思えば、母の様子が変わり始めたのは、“あの日”がくる数日くらい前からだった。
その頃は、すでに父の帰りが次第に遅くなり、何日か帰らない日も増えてきていた。
それが影響してか、それまで優しかった母が、些細なことでお姉ちゃんを怒るようになり、時には一緒にいたわたしまで並んで叱られることもあった。
…まあ、実際にお仕置きを受けたのは“お姉ちゃんだけ”だったけど。
そうこうしている間に、“あの日”がきてしまったのだ。
・・・
「あなた、またこんな時間に出かけるの?…やっと帰ってきたと思ったらいつもすぐに出かけて……ほんと、いい加減にしてちょうだいっ!!」
“あの日”の夜、数日ぶりに帰宅した父に向けられた第一声が、その言葉だった。
普段は温厚な母が、“これまでため込んだもの”を吐き出すように、父を怒鳴りつける。
無口な父は、その言葉を気にも止めず、玄関のドアへと向かっていった。
「待ちなさいっ!次はいつ帰ってくるのっ!?」
少し焦った雰囲気の母が、父の背中に問いかけると、進行していた足が止まった。
…だが、すぐに返答はなく、しばしの時間が流れる。
「………もう、帰らない。」
「……は?」
父からの返答はそれだけだった。
きっと、この場にいる父以外の全員に、“?マーク”が生まれたことだろう。
そして、返答を終えた父は再び玄関へと歩き出した。
「ちょ、ちょっと、帰らないって“出て行く”ってこと?……だったら、まいはどうするのよっ!?一緒に連れていくのっ!?」
「…まいは、お前に任せる。……“好きなよう”に育ててくれ。」
「そんな勝手なことが許されると思うのっ!?…大体、お金とか、いろんな問題があるでしょっ!?」
「……金は毎月“養育費”を振り込む。…そのほかのことは後日連絡する。」
「後日って……、まだ話は終わってないのよっ!!」
“ガチャンッ”
「っ…。」
悲しい音を立てて玄関の扉が閉じられる。
その場に立ち尽くした母は、しばらく放心したのち、怖い顔でキッチンへと戻ってきた。
「…あーっ!もうっ!!」
“バリンッ”
“家族”を写した写真立てが、ものすごい音を立てながら、キッチンの床に投げつけられる。
そして、保護していたガラスが割れ、写真と共にぶちまけられた。
……きっと、これが“家族”の壊れた瞬間なんだと思う。
「…で?……まい、あんたはどうするの?」
「……え?」
「いま追いかければ、まだ間に合うかもしれないわよ?……それとも、ここに残るの?」
「……えっと。」
怖い表情を向けられ、わたしは焦るように、視線で姉へ助けを求めた。
隣にいる姉は“オドオド”としながら、母とわたしを交互に確認している。
「……どうなの?」
痺れを切らした母が、催促をするように、再び、わたしに問いかけた。
「……ここに、…残りたいです。」
「…そう。」
“恐る恐る”母に気持ちを伝えると、口に手を当て、何かを考えている様子だった。
「なら、別にここにいても構わないわよ。」
「……ありがとうございます。」
てっきり、反対されると思っていたため、“ホッと”胸を撫で下ろすわたしがいた。
「…ただ、これまで通りにはいかないから。」
「………え?」
「今日からお姉ちゃんの罪は、あんたにお仕置きすることにしたわ。」
「………。」
一体、母は何を言っているのだろう。
突然の展開が続き、頭が回らず、母の言ったことを理解できないでいた。
「ちなみに、あんたの罪は、あんたに2倍お仕置きするから。」
そんなわたしのことを気にも止めず、母は話を続け出す。
「もちろん、今まで以上に厳しくて、恥ずかしいお仕置きにするから、覚悟しなさい。」
・
その後、わたしが何か言い出す前に、母は一方的に会話を終了した。
すでに食事やお風呂は終了していたため、「もう寝なさい。」と言われ、わたしは“不安”が残る中、ベッドの中に潜り込む。
結局、その日の夜は何事もないまま終わり、次の日を迎えた。
朝日が部屋の中に差し込み、すっかり見慣れた天井が、わたしに1日の始まりを告げる。
『もしかしたら、昨日の怖い時間も夢だったのかな…。』
ぼんやりする頭でそんなことを考えていると、姉に“ご飯の準備”が出来たことを知らせられた。
目を擦りながらキッチンに向かうと、すでに席についている母と、色とりどりのご飯がわたしを迎えた。
母の様子を確認すると、昨日の“怖い雰囲気”はなく、いつもの様子みたいだった。
『やっぱり、夢だったのかな。』
少し安心しながらわたしも席につく。
隣へ姉も座り、「いただきます。」の挨拶が響き渡った。
・
今日は休日で、まったりとした時間が流れる。
特に今日は、わたしの大好きな“ハンバーグ”も並んでいるため、とても幸せな気持ちで口に運んでいた。
「……まい、あの…。」
「ん?…お母さん、なに?」
「…昨日のことなんだけど……。」
母は少し悲しそうな表情で、わたしを見つめている。
“昨日のこと”とは、やはり、あれは夢ではなかったのだろうか。
「あの後考えたんだけど、やっぱりやめ…」
「あっ!!」
“ベチャッ”
「お、お姉ちゃん…。」
母との会話の途中に、姉がハンバーグをパジャマに落とした。
元々白かったパジャマに、ハンバーグの黒が滲み、悲惨な結果になっている。
「マ、ママ…、ごめんなさ…」
「まいっ!お仕置きするからお尻出しなさいっ!!」
静かだったキッチンに母の怒鳴り声が響き渡った。
その“鬼のような豹変ぶり”に、わたしと姉は“ピクッと”身体を震わせる。
「マ、ママ…、私にお仕置きじゃないの?」
「昨日も言ったでしょ?…お姉ちゃんの罪は、まいにお仕置きするって。」
「そ、そんな…。お母さん、わたし何もしてないよ?」
あまりの展開に、わたしは顔を青くしながら母に反抗する。
「関係ないわ。それが“この家のルール”よ。…従えないなら出て行きなさい。」
「ルールって…。」
「……お仕置きを受けるなら、パジャマのズボンとパンツを脱いで、私の膝の上に来なさい。」
「………。」
『わたしは、何も悪いことをしていないのに…。』
おかしなルールで、お仕置きされることに納得がいかず、つい、母を睨みつけてしまう。
「まい、…何その目は?……いい度胸ね。なら後で“恥ずかしいお仕置き”も追加してあげるわ。」
「…なんでっ!?わたし悪くないのにっ!!」
「それが“ルール”だからよ。何度も言わせないで。……あと一回でも反抗したら、強制的に追い出すわよ?」
「………。」
母に睨み返されて、わたしは一歩後ろに下がってしまう。
隣を見ると、“原因を作った”姉は、昨日同様“オドオド”として、どうしていいかわからない様子だった。
「……グスッ。わかった。お仕置き受けるから追い出さないで…。」
「ちゃんと受けられたら許してあげるわ。…さあ、早く脱ぎなさい。」
「…はい。」
わたしは“しぶしぶ”腰の部分に手をかけ、ズボンを膝まで下ろした。
“スースー”する感覚が、最近芽生え始めた“羞恥心”を酷く煽るようだった。
続いてパンツに手をかけ、一気に膝まで下ろす。
大事な所やお尻に当たる空気に、わたしの頰は赤くなっていく。
まだ産毛は生えていないが、成長してきた“秘部”を晒す屈辱で、わたしは手で隠すようにそこへ持っていった。
「……脱いだよ。」
「だめよ。全部脱いで、脱いだものは床に畳んで置きなさい。…それに、お仕置きを受けるのに“その手”は何?ちゃんと気をつけの姿勢になりなさい?」
「……恥ずかしいよぉ…。」
「“恥ずかしくする”とも言ったはずよ?…叩かないとわからない?」
「わ、わかったよぉ…。」
わたしは震える手で、言われた通り下に着ているものを脱ぎ、畳んで置いた。
そして、母の方を向き直ると、気をつけの姿勢になる。
「もう少しこっちに来て頰を出しなさい。」
「…?…うん。」
バヂンッ!
「…っ!?」
言われた通りにすると、返ってきたのは頰に感じる鋭い痛みと衝撃だった。
「い、いっだいっ!?」
その後に“ジグジグ”とする持続的な痛みが残り続け、わたしの頰に涙が伝う。
突然の衝撃に舌を噛んでしまったわたしは、同時に舌の“ズキズキ”とした痛みも襲いかかってくる。
「脱ぐのが遅れた罰よ。…今後、お仕置きはこの服装でするから、すぐに準備しなさい。」
これまでは、脱ぐのが少し遅れただけで、叩かれたことなんてなかったのに…。
…その厳しさに身体が震えだしてしまった。
「わかったら、早く膝の上に来なさい。…それとも、もう一回叩かれたい?」
「っ!?…い、いま行きますっ!?」
もうこれ以上ぶたれるのは嫌なため、急いで膝の上へ腹ばいになった。
しばらくお仕置きを受けていなく、久しぶりのこの感覚が、わたしに恐怖心を与えてくる。
「じゃあ、“まずは”平手でお尻100叩きよ。…かなり厳しくするから覚悟しなさい。」
「ひゃ、ひゃくっ!?…お姉ちゃんが服にこぼしただけだよっ!?これくらいなら、いつも20回くらいじゃんっ!!」
「ほんと、何回おんなじことを言わせるの?“これまで以上”に厳しくするって言ったでしょ?…それに、また口答えをしたわね?」
「…ひぃっ。」
バヂンッ!!
「いっだぁいっ!!」
「これからは、口答えするたびに“警告”として叩くから、そのつもりでいなさい。」
「……厳しすぎるよぉ。」
「…返事は?」
バヂンッ!!バヂンッ!!
「い゛いぃっ!!…はい、わかりましたぁっ!!」
お尻全部に痛みが走り、その度に身体が“ビクンッと”跳ね上がる。
いつもよりも強い痛みに、涙が溢れ出してくるのがわかった。
「じゃあ、お尻100叩きを始めるわよ。…お願いは?」
“ペンッ、ペンッ”
「は、はいっ!?お仕置き、お願いしますっ!!」
お尻に“優しい注意”をもらい、わたしは焦って声を振り絞る。
…じゃないと、また痛い“警告”を貰うことになると思ったからだ。
バッヂィィンッ!!
「あ゛ぁぁぁっ!!」
『い、いだいっ!?…痛すぎるっ!!』
いつも、お仕置きの終盤にされるくらいの痛みが与えられる。
予想以上の痛みに、わたしはお尻に手を当ててしまっていた。
「お、おがぁさんっ!痛すぎるよぉっ!?」
「当たり前でしょ?これまでみたいな“甘いお仕置き”は、もう二度としないわ。
…さあ、その手をどけなさい。数を増やされたくなかったらね。」
「…お尻壊れちゃうよぉ。」
わたしは“しぶしぶ”お尻から手を戻す。
いつも、お仕置き中に手を握って安心させてくれる姉は、今日は来てくれないようだった。
バッヂィィンッ!!バッヂィィンッ!!
「い゛いぃぃっ!!」
バッヂィィィン!!!
「ぎゃぁぁぁっ!!」
『いだいぃっ!?いだすぎるよぉっ!』
たった数発で、これまでにされたお仕置きの“何倍も痛く”感じる感覚を覚える。
…だが、それでも、お仕置きはまだまだ終わる気配がない。
バッヂィィィン!!!
「もうい゛やぁぁぁっ!!」
…それからしばらくキッチンには、わたしのお尻をぶたれる音と悲鳴が、響き渡っていた。
……まだ幼い身体には厳しすぎるこの“理不尽な時間”は、一体、いつになったら終わるのだろうか…。
※後編に続きます
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