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ふたご

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ガチャ

「ただいま…」

パァンッ!

「ごめんなさいっ!」

平日の夕方。
学校から帰宅したわたしを出迎えたのは、“何かを叩く音”と叫び声。

玄関に響くその声で『また妹がお仕置きされている』と理解するのに1秒も掛からなかった。

リビングの扉を開けると、ソファに座った母の膝の上に乗せられた妹が、平手でお尻を叩かれている光景が広がる。

床にはボロボロのランドセルと“40点のテスト用紙”が落ちており、お仕置きの理由が一目で分かった。

制服のスカートはペロンと捲られており、桃色の下着は膝まで下ろされ、可愛らしいお尻は“下着と同じ色”に染まっている。

予想通りの光景に、わたしの心の奥深くにドキッとする感覚が芽生えるのがわかった。



わたしには、同い年の妹がいる。
“一卵性双生児”というものらしく、妹とわたしの見た目は瓜二つと、よく周りから言われていた。

だが性格は正反対で、妹は活発で、わたしは引っ込み思案。
運動は妹が得意で、わたしは苦手。
勉強は妹が苦手で、わたしは得意。

こういった所からか、妹はよく、お母さんからお仕置きを受ける機会が多かった。

わたしはこれまでに一度もお仕置きを受けたことがなく、真っ赤に腫れるお尻をチラ見しては、ドキドキとした感情からギュッと服の胸を握っていた。



「ふうり、おかえりなさい」

「た、ただいま」

「今るりにお仕置き中だから、部屋で宿題でもしてなさい」

「う、うん。わかった」

わたしは手洗いうがいを済ませると、足早に自室に入り、机の上に宿題を並べた。

パァンッ!

「いっ!」

バヂンッ!

「いっだぃっ!!」

だが、ドアの向こうからは、“大きな音”が響いてきて、全く宿題に集中することが出来ない。

…。

ガチャ

しばらくすると音が止み、涙目の妹がお尻を摩りながら入ってきた。
妹とわたしは同じ部屋が割り振られており、反対側には、妹の机が置かれている。

「はぁー、ちょっと悪い点取ったくらいで大袈裟なんだよ、…鬼ババ」

最後のセリフはボソッと呟くと、わたしの方へやってくる。

「お、お疲れ様。お尻、大丈夫?」

「めーっちゃ痛い。…おねーちゃんはいいよね、運動が苦手でも叩かれないし」

「ごめん…」

「別に謝らなくていーよ。…それよりさ、ほら見てよ、あの鬼バ…お母さんのせいで、こんなになったんだよ」

妹は下着を膝まで下ろし、クルンとわたしの方にお尻を向けると、スカートをお尻が丸見えになるまで捲り上げた。

「っ…」

突然目の前に、真っ赤になったお尻が広がり、わたしの頬も赤く染まっていく。

お尻の端や真ん中には色白の肌が残されており、その光景をジーッと見つめてしまう。

「おねーちゃん、…お尻近くで見過ぎ」

その声が耳に届いた瞬間、わたしは咄嗟に顔を離す。
無意識に顔が近付いていたことに気づき、わたしの頬は更にカァーっと赤くなった。

「っ、ご、ごめんっ!」

「だから謝らないでってば、…でもおねーちゃん、今までお仕置き受けたことなかったよね?」

「う、うん…」

「…もしかして、興味あるの?」

「えっ!?」

妹はからかうような表情でこちらへ振り返り、わたしに顔を近づけた。
その頬はほんのり赤く染まっているのがわかる。

「いつもあたしのお仕置きチラ見してるよね?短い時間で何回もおトイレに行ったりしてる時とかさ。…気づいてないと思った?」

「そ、それは…」

気づかれていた事にドキッとした瞬間、妹の表情がニヤッと確信に変わったような気がした。

「……そんなに興味あるならさ、…してあげよっか?」

「えっ…」

「…あたしがお母さんの代わりに、お仕置きしてあげる」



それから数日後の土曜の朝。
今日はお母さんが朝からお仕事で、夕方まで帰ってこない。

…つまり、それまでは妹と2人っきりだ。

「じゃあはじめよっか、おねーちゃん」

「ほ、ほんとうにするの?」

頬をほんのり赤く染めながらわたしを見つめる妹に、視線を外しながら、ギュッと服の胸を握る。

あの後、お仕置きはお母さんのいない“この日”に行うことが決まったが、わたしの気持ちはまだ決心ができずにいた。

「だっておねーちゃん、お仕置きされたいんでしょ?……それともお母さんにしてもらう?…あの鬼ババ、容赦ないからすっごく痛いよ?」

「うぅ…」

「あたしなら、それよりは優しくしてあげるんだけどなー」

からかうような視線で見つめられ、わたしは咄嗟に顔を伏せる。

「お、お願いします…」

気づいた時には、口からその言葉が出ていた。

「クスッ、じゃあ始めるから、ソファにきて?」

「あっ、ちょっ…」

腕を捕まれながらソファに連行されると、妹が先に座った。

「ほら、ここに寝て?どうするかは、あたしのお仕置き何回も見てるからわかるよね?」

「うん…」

上目遣いで、ポンポンっと自分の太ももを叩く妹。
ここまで来て、ついに決心したわたしは、妹の太ももの上にお尻が来るよう横になった。

「じゃあ、お尻出すよ?」

ペロンとスカートが捲られ、純白の下着があらわになる。
そのまま下着がゆっくりと膝まで下ろされ、わたしの真っ白なお尻が、外の空気に触れるのがわかった。

「おねーちゃんのお尻、かわいい」

「っ…」

妹にお尻を見られるのなんて、一緒に入るお風呂の時くらいだ。
今はわたしだけがリビングで1人、お尻を丸出しにしている。

なでなで

「ひゃぁっ!?」

それに加え、お尻を撫でられる感覚に、わたしの羞恥心は限界を迎えていた。

「おねーちゃん、今日はなんでお仕置きされるかわかる?」

「えっと…」

「昨日の体育の時間、跳び箱で4段が飛べなかったでしょ?かなえちゃんから聞いたよ」

「うん…」

運動が苦手なわたしは、周りの子が簡単にできることもなかなか出来ずにいた。

でもそのことで怒られることはなかったため、『できる子が羨ましい』くらいにしか思っていなかったけど。

「あたしは8段飛べるのに、4段飛べないおねーちゃんがお母さんから怒られないのは、“不公平”だと思うんだー」

「…」

「だから今日はそのお仕置き、わかった?」

妹の言ったことに、反論することはできなかった。
…だって、確かにその通りなのだから。

「…わかった」

「じゃあ、はじめるよ?」

妹はわたしのお尻をペンペンッと叩くと、自分の手にはぁーっと息を掛けた。

…バヂンッ!

「ん゛っ!」

想像していたよりも、はるかに鋭い痛みに、口からは悲鳴が漏れた。
すぐにズキズキとした痛みに変わっていき、わたしの視界が滲んでいく。

「おねーちゃんっ、手でお尻隠さないっ!」

「で、でもっ!」

「でもじゃないのっ!鬼ババの時に手で庇ったら最初からやり直しになるよっ!!」

「っ…うぅ…」

その言葉を聞き、渋々お尻を隠していた手を退けると、その手が背中の上で妹の手で固定される。

「今のは初めてだから許してあげるけど、次庇ったら最初からだからねっ!」

「……」

パァンッ!

「い゛ぃっ!?」

「返事は?」

「は、はいっ!」

不意に貰った2発目の痛みに、わたしの身体はビクッと反応した。

『お仕置きって、…こんなに痛いのっ?』

ポタポタとソファに垂れる涙が、濃いシミを作っているのがわかる。

「…おねーちゃん、あたしが受けてるお仕置きの痛み、わかった?」

「うん…」

「……どうする、もうやめる?」

「えっ…」

咄嗟に妹の方を見ると、その顔は悲しそうな表情をしていた。
いつも明るい妹が、そんな表情をすることは滅多にない。

「あたしも…わかったから。鬼ババ…お母さんの痛みが」

「…」

「いつもお尻叩かれてる“あたしだけ”が痛いって思ってたけど、……叩く手も痛いんだね…」

ほんのり赤く染まった手を握り、妹は涙目になった。

「…やめないで」

気づいたら、その言葉が自然とわたしの口から出ていた。

「……わたし、これまで運動できないのは、しょうがないことだって思ってたの。誰にも怒られないし、勉強が出来るならいいやって。
…でも、本当はそうじゃない、それを運動が出来ない言い訳にして、挑戦することを諦めてただけなの。」

「…」

「だから、そんなわたしを怒ってくれたるりに、…ちゃんと最後までお仕置きしてほしいの。
…わたしの運動のことを初めて怒って、気づかせてくれたから……」

「……わかった」

“るり”はそう言うと、温かい手で、わたしのお尻を優しく撫でる。

「じゃあ最後までお仕置きするね。…これから“ふうり”がちゃんと挑戦できるように」

「うん」

お尻を撫でられていた手が離れる。

パァンッ!

「んっ!」

お尻の真ん中に当たった痛みに、わたしの口からは声が漏れた。

バヂンッ!バヂンッ!

「あ゛ぁっ!」

右、左の順にぶたれるお尻に、じんわりと熱が残る。
熱った身体からは、汗が流れていた。



それからお仕置きは、わたしのお尻が真っ赤に染まるまで続いた。

今はソファに座ったるりに抱かれる形で、わたしはその胸に顔を埋めている。
頭は優しく撫でられていた。

「…ちゃんと手で庇わずに我慢できて偉かったよ、ふうり」

「…う゛ん」

「あたしもこれからはお母さんにお仕置きされないように、勉強がんばんないと」

わたしは胸から顔を離すと、頬を赤く染めながら“妹”を見た。

「…わかんない所は、わたしが教えてあげる。……だから、今度一緒に運動付き合って」

「うん、わかった。…これからよろしくね、“おねーちゃん”」

明るく微笑んだ妹は、わたしのことをギュッと抱きしめるのだった。


「完」
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