【完結】最愛の人 〜三年後、君が蘇るその日まで〜

雪則

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最終章 決別と終幕

12-10

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「まるでお前は俺を天使かなにかと勘違いしているような言いぐさだな。」



「結菜が生き返るならお前が悪魔だろうが天使だろうが関係ない!」



「ふふふ…。

まぁ、いい。」



「じゃぁ頼むよ!

結菜を生き返らせてくれ!

何年後だってかわまない!

結菜が目覚めるのを信じて待っている人がいるんだ!

だからお願いだ!」



「いい覚悟だ。

だがそれは無理な話だ。」



「…え?」



「お前の残りの寿命ではこの女を蘇らせるには足りないんだ。

残念だったな。」




「…そ…そんな…

じゃぁもう結菜は…」




絶望とはこういうことか。


なんの望みもない。


もう…終わりだ。




「まぁ…

方法がないことはないがな?」



「本当か!?

もったいぶらないで教えてくれ!!」



悪魔はまたニヤリと笑った。



「寿命が足りないなら誰かの寿命をくれればいい。

お前の残りの寿命と、

他の誰かの寿命半分ならいいだろう。」



…他の誰かの寿命…。


人の命を使えってのか?


…それはできない…


でもそうしなければ結菜は生き返らない…。



「俺もあまり時間がないんだ。

無理ならこの契約はなしだ。

さぁどうする?」



やっぱりこいつは悪魔だ。


俺が苦しみ悩む姿をみたいんだろう。



だが、迷っている暇はなかった。



悩みに悩んだ俺が出した答えは…。








「はははは!

本当に人間とは面白いな!」



俺の出した答えに悪魔はそういって高笑いをした。



「後悔はしないな?」



「あぁ…もちろんだ。」



「そうか。

それでは交渉成立だ。

いや、お前には本当に楽しませてもらった。

さらばだ。」



そういい残すと悪魔は高笑いをしながら消えていった。



病室にはまた静けさが広がり。


俺はちからなく結菜の手を握りしめる。



「結菜…ごめん。

こんなことしたら…

また怒るかな。」



自分の出した答えが間違っているのかはわからない。


きっと正しい答えなんてないし、


皆が幸せになる方法なんてないと思う。


だからもう後悔はしない。


たとえ残酷な決断だとしても…。



心電図の音が病室に響く。


少しだけ開いた窓からの風にカーテンが揺れる。


暖かな日差しの降り注ぐ病室。



「……ん…

あれ…」



結菜はゆっくりと目を開けて天井を見つめる。



「…。

死ねなかったんだ…。」



そう言って体を動かそうとすると誰かに手を握られていることに気がついた。


結菜は握られた手のほうに顔を向ける。



「え…。

歩…?」


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