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間話2
とある帝国の影
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それはあまりにも異物過ぎた。
異物であり、異端であり、異常なものだった。
しかし皇帝にとって、それは芸術品であり憧憬であり、ホテルだったのだ。
正面には菊花紋章、46サンチ砲がその威容を帝国民に見せつける。
その異界のそれは・・・・、戦艦大和だった。
(つくづく宇宙戦艦でないのが悔やまれる。あのチート艦だったらこの世界の制圧など簡単なものだろうに。)
皇帝はそう思う。
・・・彼が知ってるそれは、大昔に東シナ海に沈んだはずだった。
しかしそれは何回かのマイナーチェンジを経たものだった。
彼がもと居た世界の海軍のイージス艦のように、米海軍の意匠は受け継いでいない。
あきらかにあの帝国の意匠をそのまま引き継いでいた。
その帝国の軍人が謁見に来ていた。
「大日本帝国海軍大佐、戦艦大和艦長山内定久であります。」その男は敬礼をしながら言った。
皇帝はまず聞きたいことがあった。
彼が知ってる大日本帝国はあの戦争で敗戦し、『滅んだ』はずだった。
正確にはアメリカの占領下に置かれ、『日本国』になったわけだが。
そしてその軍人は日本語を話していた。
この皇宮の大広間にいる連中は理解できるはずがないのだ。
皇帝レクタストス以外。
だから彼らは困惑している。異界の言葉を話して言葉が通じないからだ。
皇帝は久しぶりに日本語で話すことを決める。
「ようこそ。ライスタリン帝国へ。大日本帝国戦艦大和艦長、山内大佐。」
「・・・・、日本語を・・・。」
「そこは訳ありでな。聞かないでいてもらえれば助かる。」
「は。」
「聞きたいことがあるのだ。貴国のことでな。・・・アメリカ合衆国と戦争しなかったのか?」
山内大佐は摩訶不思議な顔をする。
「いえ、第3帝国と共産主義の脅威でそれどころではありませんでしたが。」
第3帝国というのはナチスで共産主義とはソ連の事である。
(やはり俺がいた世界とはまた別の世界・・・か。)
太平洋戦争が起こらなかった世界。
そういった多元宇宙があってもおかしくはないのだ。
異物であり、異端であり、異常なものだった。
しかし皇帝にとって、それは芸術品であり憧憬であり、ホテルだったのだ。
正面には菊花紋章、46サンチ砲がその威容を帝国民に見せつける。
その異界のそれは・・・・、戦艦大和だった。
(つくづく宇宙戦艦でないのが悔やまれる。あのチート艦だったらこの世界の制圧など簡単なものだろうに。)
皇帝はそう思う。
・・・彼が知ってるそれは、大昔に東シナ海に沈んだはずだった。
しかしそれは何回かのマイナーチェンジを経たものだった。
彼がもと居た世界の海軍のイージス艦のように、米海軍の意匠は受け継いでいない。
あきらかにあの帝国の意匠をそのまま引き継いでいた。
その帝国の軍人が謁見に来ていた。
「大日本帝国海軍大佐、戦艦大和艦長山内定久であります。」その男は敬礼をしながら言った。
皇帝はまず聞きたいことがあった。
彼が知ってる大日本帝国はあの戦争で敗戦し、『滅んだ』はずだった。
正確にはアメリカの占領下に置かれ、『日本国』になったわけだが。
そしてその軍人は日本語を話していた。
この皇宮の大広間にいる連中は理解できるはずがないのだ。
皇帝レクタストス以外。
だから彼らは困惑している。異界の言葉を話して言葉が通じないからだ。
皇帝は久しぶりに日本語で話すことを決める。
「ようこそ。ライスタリン帝国へ。大日本帝国戦艦大和艦長、山内大佐。」
「・・・・、日本語を・・・。」
「そこは訳ありでな。聞かないでいてもらえれば助かる。」
「は。」
「聞きたいことがあるのだ。貴国のことでな。・・・アメリカ合衆国と戦争しなかったのか?」
山内大佐は摩訶不思議な顔をする。
「いえ、第3帝国と共産主義の脅威でそれどころではありませんでしたが。」
第3帝国というのはナチスで共産主義とはソ連の事である。
(やはり俺がいた世界とはまた別の世界・・・か。)
太平洋戦争が起こらなかった世界。
そういった多元宇宙があってもおかしくはないのだ。
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