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目覚め 二
しおりを挟む屋敷のあちこちから隠されていた魔香の包みが発見され、それらを全て集めると、膨大な量となった。
使用人たちは全員とりあえず村の役場で事情を訊かれることになり、盟宝と桂雲、そして桂葉の三人は特に罪が重いと見なされ、荒縄で縛られつながれ、三人が繋がれて歩かされているところを見た輪花は、さすがに胸が詰まる想いがした。
庭を歩いていく桂葉が、振りかえって輪花を見た。怒っているようでもあり、ひどく悲しげにも見える。目をそらしたのは輪花が先だった。
そして、枇嬋と……着ていた衣から察して銀媛も後ろ手に縛られて歩いていく。枇嬋はともかく、銀媛の様子はひどく哀れで、輪花の方が泣きたくなった。が、枇嬋もまた振り返って輪花を見た。
「覚えておいで! みんなお前のせいだからね! 地獄に落ちても呪ってやるからね!」
獣のように吼えたててくる。輪花は、今度は必死に目をそらなさいように足を踏んばった。そのとき、後ろで役人たちの話し声が聞こえた。
「どういうことだ? 玉蓮という女と、もう一人の娘はどこへ行ったのだ?」
あわてて走り寄ってきた男が告げた。
「た、隊長、見つかりました」
さっと顔色を変えて男の後をついていく英風にしたがって、輪花も急いだ。胸騒ぎがする。たどり着いた所は英風と金媛の室だ。
ほのかに高貴な香が漂っている。
隊長と呼ばれた中年の男が奥へと進み、張られた紗をめくりあげると……。
「き、金媛!」
英風の悲痛な叫びが針となって輪花の鼓膜を刺した。
玉蓮と金媛は抱きあうように寝台の上に横たわっている。死んでいるのは一目見てわかった。二人の口元に何やら黒っぽいものが見える。
「魔香の塊を飲んだな」
隊長がうめくように言った。
輪花は呆然と二人の遺骸を見下ろした。現実のこととは思えない。まるで美しく残酷な芝居を見ているようだ。
「金媛、金媛!」
英風は金媛を抱きしめ嗚咽している。
隊長にそっと袖を引かれて輪花と西破はその場から退いた。
室を出るとき、輪花は屏風のなかの迦陵頻伽に目をひかれた。今ものどかに絵のなかで迦陵頻伽たちは笛をふき、歌をうたい舞っているようだ。輪花はまた涙を流した。
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