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十三
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わたしたちに当てがわれた二間続きの部屋から、例の座敷はまでは歩いてすぐだけれど、それにしても広い家だ。立派なお屋敷だ。
「いい? 開けたら春菜が入ってみてよ」
なんだか肝試しみたいな雰囲気。尚彦が襖の取っ手に手をのばす。夜目をこらすと、その取っ手にも波の模様が描かれている。
興味がないから気づかなかったけれど、室全体、ありとあらゆるところに意匠を凝らしてあって、本当に座敷自体が芸術品なんだ。それをこしらえた大工さんたちや調度品をこしらえた人たちがそそぎこんだ情熱が一瞬、その人たちのこぼした息吹とともに秋の夜によみがえってきて、わたしの首筋にまとわりついてくるような錯覚がした。
ちょっと怖くなってきた。けれど、今さら止めようとも言えない。
「中に入ってみて。しばらくしたら声をかけるから。なんだよ? そんな顔するなんて。だって春菜は僕の推理をまったく信じていないんだろう? 平気だろう」
尚彦の意地悪! いいわよ、入ってやるわ。何にもないに決まっているじゃない! なによ、こんなたかが古い屋敷。
わたしはちょっと尚彦を睨みつけてやった。そして思いきって座敷に足を踏みいれた。背後で襖が閉じられると、そこは別世界だった。
「いい? 開けたら春菜が入ってみてよ」
なんだか肝試しみたいな雰囲気。尚彦が襖の取っ手に手をのばす。夜目をこらすと、その取っ手にも波の模様が描かれている。
興味がないから気づかなかったけれど、室全体、ありとあらゆるところに意匠を凝らしてあって、本当に座敷自体が芸術品なんだ。それをこしらえた大工さんたちや調度品をこしらえた人たちがそそぎこんだ情熱が一瞬、その人たちのこぼした息吹とともに秋の夜によみがえってきて、わたしの首筋にまとわりついてくるような錯覚がした。
ちょっと怖くなってきた。けれど、今さら止めようとも言えない。
「中に入ってみて。しばらくしたら声をかけるから。なんだよ? そんな顔するなんて。だって春菜は僕の推理をまったく信じていないんだろう? 平気だろう」
尚彦の意地悪! いいわよ、入ってやるわ。何にもないに決まっているじゃない! なによ、こんなたかが古い屋敷。
わたしはちょっと尚彦を睨みつけてやった。そして思いきって座敷に足を踏みいれた。背後で襖が閉じられると、そこは別世界だった。
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