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次の夜 一
しおりを挟む「やっぱり戻って来たんだね、コンスタンス」
玄関で出迎えたカルロスの目は、思っていたとおりだ、という言葉を含んでいた。
「あの、しばらく置いてくれない? 皿洗いでも掃除でもするから」
「いいんだよ、おいで」
肩に添えられた手の暖かさにコンスタンスは泣きたくなった。
「あーら、やっぱりまた来たのね、コンスタンス」
マダム・オベールがコンスタンスを見て嬉しそうに笑う。
「しばらく住み込みで置いてやってくれないか? 頼むよ」
「うちは住み込みはさせないんだけれど……」
そこでマダムはあの妖しい黒目でコンスタンスをまた値踏みするような目で見た。
「いいわ。カルロスの頼みですものね。しばらく家政婦の手伝いでもしてちょうだい。部屋は、屋根裏の部屋を使うといいわ」
こういった滞在者には慣れているのか、あっさりと言うとマダムはコンスタンスに階上へ上がる階段を指差した。
「あ、ありがとうございます」
「コンスタンス、荷物はないのかい?」
カルロスに言われてコンスタンスはまたあわてた。ブラシひとつ持ってこれなかったのだ。今夜からの着替えすらない。
「前にいた娘のものが残っているから、それを使うといいわ。明日から早速働いてもらうからね」
そんなふうにしてコンスタンスはマダム・オベールの館で過ごすことになった。
夕方頃からあつまりだす少女たちや客たちに飲み物や軽食を出し、部屋の掃除をする。働いたことのないコンスタンスにはかなり大変であり、しかも客と少女たちが使った直後の部屋のシーツを代え、屑籠を始末する仕事はかなりの苦行だった。部屋にのこる匂いが鼻についてしばらくは離れなかった。
館にはいろんな客が来るが、いずれも小金を持っていそうなそこそこ中流階級の男性のようで、貴族や政治家のような大物は来ない。いや、来たとしても、顔を隠してそれとは判らないようにして来るのだろう。
「ねぇ、コンスタンス、あんたいつから働くの?」
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