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秘文 二
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「で、そっちは?」
「ああ、これ?」
私は小瓶からそらした目を、紙束にむけた。
「ちょっと待って」
今朝コンビニで買ってきた新聞紙を下にひいて、その上にゆっくりと取り出した紙束を置いてみた。
「相当昔のものみたい。なんて書いてあるの? なんか、すごくない? 秘密の文書とか、宝のありかとかが書かれてあるかも」
「まさか」
とは言いながらも、私も緊張してきた。
ひからびた紙を傷つけないように、おそるおそる一番上の紙を、そっととりのける。かび臭さと日向臭さが混じったような不思議な臭いがたちのぼった。
黒いインクか墨で、もとは白かった紙に書かれたものは……。
「え? これ、なに? 何語?」
美菜も私も一応英文科なので英語ならどうにか読解できるが、それは英語ではない。ちなみに第二外国語は、私はフランス語で美菜はスペイン語だが、それはどちらも本当に初級レベルだ。
そして、目のまえの文書が英語は勿論、ヨーロッパの言葉で書かれてないことはたしかだ。
「中国語?」
漢字らしき文字がならぶその紙を見て、私たちは二人とも眉をしかめた。
「中国語勉強している生徒に読んでもらう?」
「無理よ……だって、これって相当昔の中国語じゃない?」
中国語は昔と今ではちがうというのは、中国語にまったく無知な私でも聞いたことがある。昔の中国語の漢字は難解なので、近代になって簡素化されたらしい。それに、中国語とひとくちにいっても地域によっては随分ちがうのだそうだ。日本の大学生の、現代の中国語レベルで読めるような代物ではないことは明らかだ。
「それに……、もしかしたら韓国語かもしれないじゃない?」
さらに私は言ってみた。
「えー、だってハングルじゃないじゃない?」
美菜の抗議に私は眉をしかめた。
「馬鹿もの。韓国っていうか、朝鮮でも昔は漢字使っていたのよ」
「え? そうなの?」
「ほら、韓国ドラマの時代劇なんかでは、手紙とか文書には漢文が書かれているでしょ?」
「あー、そういうえばそうね。じゃ、韓国語ならってる生徒にも当たってみる?」
「それは……もっともっと無理じゃない?」
「ああ、これ?」
私は小瓶からそらした目を、紙束にむけた。
「ちょっと待って」
今朝コンビニで買ってきた新聞紙を下にひいて、その上にゆっくりと取り出した紙束を置いてみた。
「相当昔のものみたい。なんて書いてあるの? なんか、すごくない? 秘密の文書とか、宝のありかとかが書かれてあるかも」
「まさか」
とは言いながらも、私も緊張してきた。
ひからびた紙を傷つけないように、おそるおそる一番上の紙を、そっととりのける。かび臭さと日向臭さが混じったような不思議な臭いがたちのぼった。
黒いインクか墨で、もとは白かった紙に書かれたものは……。
「え? これ、なに? 何語?」
美菜も私も一応英文科なので英語ならどうにか読解できるが、それは英語ではない。ちなみに第二外国語は、私はフランス語で美菜はスペイン語だが、それはどちらも本当に初級レベルだ。
そして、目のまえの文書が英語は勿論、ヨーロッパの言葉で書かれてないことはたしかだ。
「中国語?」
漢字らしき文字がならぶその紙を見て、私たちは二人とも眉をしかめた。
「中国語勉強している生徒に読んでもらう?」
「無理よ……だって、これって相当昔の中国語じゃない?」
中国語は昔と今ではちがうというのは、中国語にまったく無知な私でも聞いたことがある。昔の中国語の漢字は難解なので、近代になって簡素化されたらしい。それに、中国語とひとくちにいっても地域によっては随分ちがうのだそうだ。日本の大学生の、現代の中国語レベルで読めるような代物ではないことは明らかだ。
「それに……、もしかしたら韓国語かもしれないじゃない?」
さらに私は言ってみた。
「えー、だってハングルじゃないじゃない?」
美菜の抗議に私は眉をしかめた。
「馬鹿もの。韓国っていうか、朝鮮でも昔は漢字使っていたのよ」
「え? そうなの?」
「ほら、韓国ドラマの時代劇なんかでは、手紙とか文書には漢文が書かれているでしょ?」
「あー、そういうえばそうね。じゃ、韓国語ならってる生徒にも当たってみる?」
「それは……もっともっと無理じゃない?」
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