12 / 141
秘文 三
しおりを挟む
ハングル語が使われるようになる以前の、昔の朝鮮で使われていた漢字漢文を読める学生っているだろうか? そもそも、朝鮮で使われていた漢字漢文は、中国で使われていた漢字漢文と同じなのだろうか? そこらへんについての知識は私には皆無だ。
「うーん」
私は紙束をまえにして腕をくんで座りこんだ。
いくら最近韓国語や中国語を習う学生が増えたとはいえ、これはとうてい学生が読めるレベルのものではないと思う。
「読みたいよねぇ……」
美菜が好奇心いっぱいの熱い目を紙束にそそぐ。私だって読みたい。何が書いてあるか知りたい。そもそも、私の祖母の家にあったものなのだから。
まさかとは思うけれど、本当に宝のありかなんかが書かれてあったりして。
そんな馬鹿ことを考えてみたが、よくよく考えれば、何故、こんなものが祖母の書き物机の中にあるのだろう?
「ねぇ、その、伯母さんとかに連絡してみたら? ……イヤ?」
私は苦い顔をしてしまっていた。……嫌だ。
宝の地図とはいえなくとも、何かすごいことが書かれているかもしれない。伯母に知らせて、下手に興味でももたれて、返して欲しいなんて言われたらこまる。
もしかしたら、歴史的にとても価値あるものかも。なんだか、推理小説やドラマで秘密の文書や日記を見つけた主人公の気分だ。
ああ、読めないのがもどかしいた。
あの、英詩をうまく訳せない、苛々するような、もやもやした気分。書店の洋書コーナーで、とても好みの装丁の洋書を見つけても、そのぶあつさに、今の自分の英語力では読みこなせないと諦めなくてはいけない、あのやるせない気分におそわれた。言葉の壁に夢と憧れをはばまれて歯痒くなるあの瞬間。
しかもこれは、難解さで言うなら英語どころの問題じゃない。
「駄目もとで、中国語の先生に訊いてみる?」
「うーん。そうね。でも、とりあえずは、写真に撮っておこうか」
「私も撮っていい?」
一瞬、迷ったけれど、私はしぶしぶ承諾した。二人でそれぞれスマホに文面を写した。幸い、奇跡的なほど保存状態が良かったので、コピー機でコピーをとることも可能そうだ。
「すぐコピーとってくるわ」
「待って、恵理、私も行く」
ありがたいことに、寮内の一階には学園が経営するちいさなコンビニがあり、コピー機がある。二階の東端の寮生用の図書室にもコピー機はおかれてある。寮の図書室は、学園の図書室にくらべれば規模はちいさいけれど、勉強やしらべものには便利で私はよく利用していた。
「うーん」
私は紙束をまえにして腕をくんで座りこんだ。
いくら最近韓国語や中国語を習う学生が増えたとはいえ、これはとうてい学生が読めるレベルのものではないと思う。
「読みたいよねぇ……」
美菜が好奇心いっぱいの熱い目を紙束にそそぐ。私だって読みたい。何が書いてあるか知りたい。そもそも、私の祖母の家にあったものなのだから。
まさかとは思うけれど、本当に宝のありかなんかが書かれてあったりして。
そんな馬鹿ことを考えてみたが、よくよく考えれば、何故、こんなものが祖母の書き物机の中にあるのだろう?
「ねぇ、その、伯母さんとかに連絡してみたら? ……イヤ?」
私は苦い顔をしてしまっていた。……嫌だ。
宝の地図とはいえなくとも、何かすごいことが書かれているかもしれない。伯母に知らせて、下手に興味でももたれて、返して欲しいなんて言われたらこまる。
もしかしたら、歴史的にとても価値あるものかも。なんだか、推理小説やドラマで秘密の文書や日記を見つけた主人公の気分だ。
ああ、読めないのがもどかしいた。
あの、英詩をうまく訳せない、苛々するような、もやもやした気分。書店の洋書コーナーで、とても好みの装丁の洋書を見つけても、そのぶあつさに、今の自分の英語力では読みこなせないと諦めなくてはいけない、あのやるせない気分におそわれた。言葉の壁に夢と憧れをはばまれて歯痒くなるあの瞬間。
しかもこれは、難解さで言うなら英語どころの問題じゃない。
「駄目もとで、中国語の先生に訊いてみる?」
「うーん。そうね。でも、とりあえずは、写真に撮っておこうか」
「私も撮っていい?」
一瞬、迷ったけれど、私はしぶしぶ承諾した。二人でそれぞれスマホに文面を写した。幸い、奇跡的なほど保存状態が良かったので、コピー機でコピーをとることも可能そうだ。
「すぐコピーとってくるわ」
「待って、恵理、私も行く」
ありがたいことに、寮内の一階には学園が経営するちいさなコンビニがあり、コピー機がある。二階の東端の寮生用の図書室にもコピー機はおかれてある。寮の図書室は、学園の図書室にくらべれば規模はちいさいけれど、勉強やしらべものには便利で私はよく利用していた。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
7
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる