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青い娘たち 四
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「ああ、もう止めた」
パソコンの電源を落とした。
バレエ史の課題であるリポートを作成していたのだが、気が乗らない。
気が乗らない、というか、気がふさぐ一番の原因は、今日のレッスンでバレエの専属コーチからはなたれた言葉だ。
(麻衣ちゃんはいつも熱心ね)
三十半ばのそのコーチはいつも生徒をちゃん付けで呼ぶ。親しみをこめてのことなのだろうが、そう呼ばれるたびに子ども扱いされている気がして私はおもしろくなかった。いっそ麻衣と呼び捨てにされる方がましだ。
いや、呼び方などどうでもいい。問題は次の言葉だ。将来はプロを目指しているんです、という私の言葉に、彼女は笑って答えた。
(将来、いいバレエの先生になれるわ)
怒りを顔に出さないように堪えるのが大変だった。
そのバレエコーチは、私がプロを目指しているのを、町のバレエ教室の教師になる程度の意味にとっているのだ。彼女は当然私がバレエ留学を考えているのを知っているはずだが、それもお嬢様のお遊び程度としか思っていないのだ。
私は屈辱と怒りに叫びだしたいのを、どうにかこらえて、精一杯の苦笑を浮かべてみせた。だから図書室へ寄って美菜と恵理に会ったときは、いつも以上に美菜にきつく当たってしまったが、逆に気まずい思いをさせられたのはこっちだった。
怒りがおさまると、なんだがとても憂鬱な気分になってくる。
勿論、バレエ留学した人間が皆プロのバレエダンサーになれるわけではない。いや、なれる方がずっと少ないだろう。
中には、青春の記念、語学の勉強にもなるし、海外文化に触れてみたいという程度の感覚で行く子もおおいし、べつにそれを悪いとは思わないが、結局、私のバレエとは、その程度だと思われているのが悔しい。その程度に見えるだけの力しかないのだろうか。……ないのだろう。
私は明かりもつけず、薄暗くなってきた室内で、一人ため息をこぼした。
寮の食堂は日曜日は朝食のみで夕食はなく、寮生は日曜は夕食はどこかですますか、個室のキッチンで簡単に作れるものですます。一階のコンビニはまだ開いているので行ってみようかと思ったが、食欲などまるで無いので、今夜は飲み物だけですまそうかと思う。これ以上体重を増やすわけにもいかないし。
子どものころ習っていたバレエスクールでは、なんでこんな子がバレエを習うのかと笑ってしまいたくなるほど太っていた生徒もいた。バレリーナを目指すわけではなく、おそらく親が痩せさせるためにバレエを習わせたのだろうが、正直、私はそんな子といっしょに練習するのが嫌でたまらなかった。
パソコンの電源を落とした。
バレエ史の課題であるリポートを作成していたのだが、気が乗らない。
気が乗らない、というか、気がふさぐ一番の原因は、今日のレッスンでバレエの専属コーチからはなたれた言葉だ。
(麻衣ちゃんはいつも熱心ね)
三十半ばのそのコーチはいつも生徒をちゃん付けで呼ぶ。親しみをこめてのことなのだろうが、そう呼ばれるたびに子ども扱いされている気がして私はおもしろくなかった。いっそ麻衣と呼び捨てにされる方がましだ。
いや、呼び方などどうでもいい。問題は次の言葉だ。将来はプロを目指しているんです、という私の言葉に、彼女は笑って答えた。
(将来、いいバレエの先生になれるわ)
怒りを顔に出さないように堪えるのが大変だった。
そのバレエコーチは、私がプロを目指しているのを、町のバレエ教室の教師になる程度の意味にとっているのだ。彼女は当然私がバレエ留学を考えているのを知っているはずだが、それもお嬢様のお遊び程度としか思っていないのだ。
私は屈辱と怒りに叫びだしたいのを、どうにかこらえて、精一杯の苦笑を浮かべてみせた。だから図書室へ寄って美菜と恵理に会ったときは、いつも以上に美菜にきつく当たってしまったが、逆に気まずい思いをさせられたのはこっちだった。
怒りがおさまると、なんだがとても憂鬱な気分になってくる。
勿論、バレエ留学した人間が皆プロのバレエダンサーになれるわけではない。いや、なれる方がずっと少ないだろう。
中には、青春の記念、語学の勉強にもなるし、海外文化に触れてみたいという程度の感覚で行く子もおおいし、べつにそれを悪いとは思わないが、結局、私のバレエとは、その程度だと思われているのが悔しい。その程度に見えるだけの力しかないのだろうか。……ないのだろう。
私は明かりもつけず、薄暗くなってきた室内で、一人ため息をこぼした。
寮の食堂は日曜日は朝食のみで夕食はなく、寮生は日曜は夕食はどこかですますか、個室のキッチンで簡単に作れるものですます。一階のコンビニはまだ開いているので行ってみようかと思ったが、食欲などまるで無いので、今夜は飲み物だけですまそうかと思う。これ以上体重を増やすわけにもいかないし。
子どものころ習っていたバレエスクールでは、なんでこんな子がバレエを習うのかと笑ってしまいたくなるほど太っていた生徒もいた。バレリーナを目指すわけではなく、おそらく親が痩せさせるためにバレエを習わせたのだろうが、正直、私はそんな子といっしょに練習するのが嫌でたまらなかった。
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