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家の秘密 六
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「大桐、私の異母姉とおなじ学校だったから」
「そ、そうだったの?」
それもまた初耳だ。
「クラスも一緒だったらしいし」
ということは、その異母姉と美菜は同い歳なのだ。事情のややこしさに私はとまどった。
「いいんだ。べつに隠してないし。それで、私のこと嫌ったり馬鹿にしたりするんなら、それはそれでいいと思ってんの。だからさ、中学の頃から、あたし、友達になった子には皆そのこと言ってんの。それ聞いて離れていく子もいたけど、べつにそれならそれでいいやと思ってる」
これは、試験なのだろうか? 私はためされている?
自分がためされているのかと思うと、正直、ちょっと傷つく。けれど、その一方で、美菜のいつもは気の強そうな瞳に浮かぶ、かすかな気弱さを見取って、不思議な愛情めいたものも感じる。
気負ってはいても、やっぱりそれなりに傷つくこともあったのかもしれない。いくら時代が変わって、シングルマザーもめずらしくない今だって、当事者にとっては……、そういう事情をかかえた親のもとに生まれ育った子どもにとっては、それなりにしんどいこともあったんだろう。まったく無いわけはないはず。
私はつよく首をふった。
「私、そんなの全然気にしないわよ! 第一、美菜のせいじゃないんだから」
偽善的に聞こえてないか気になった。事実、言っていて自分でもあまりにもありきたり過ぎて恥ずかしい。下手な青春ドラマにでてくる台詞だ。
「まぁ、べつにいいんだけれどね。……それはそうとね、あの文書、読める人が見つかりそうなんだ」
「え? もう?」
美菜は得意げに笑った。こういうときの美菜は本当にたのもしい。
「外国語学校の友達がすごく興味もったらしくて、連絡した後すぐいろいろ調べてくれてさ。で、彼女の知り合いの日中のハーフで横浜で中国語の先生やってる人なんだけれど、その人、昔の中国語も勉強していて読めるんだって」
「へえ」
「で、ちょっと時間かかるかもしれないけれど、翻訳してくれるって。勿論、その人にも内容は口外しないように伝えてあるって。……でもね」
美菜はちょっと言うのをためらった。
「やっぱ、謝礼とかしなきゃならないかも。プロだからさ」
「え? 幾らぐらい?」
お金のことになると心配になってきた。月々のお小遣いは決められているし、今のところアルバイトもしていないので、私の財政状態はかなりきびしいのだ。
「そんなに高くないと思うけれど、私が勝手にしちゃったことだからさ、なんだったら、私が払うよ」
「えー、それは……良くないし」
内心、ホッとしつつも、私は一応言ってみる。けれど、美菜の次の言葉に後悔してしまった。
「じゃ、半分ずつ出す?」
「そ、そうね」
がっかりした顔を見せないように務めた。恥ずかしい話だけれど、しかたない。私は美菜や麻衣にくらべたらお小遣いの額の桁がちがうのだ。
正直、私の一ヶ月分のお小遣いなんて、麻衣の新着の服一着分にもならないかも。
ああ……、格差が身にしみる。
「そ、そうだったの?」
それもまた初耳だ。
「クラスも一緒だったらしいし」
ということは、その異母姉と美菜は同い歳なのだ。事情のややこしさに私はとまどった。
「いいんだ。べつに隠してないし。それで、私のこと嫌ったり馬鹿にしたりするんなら、それはそれでいいと思ってんの。だからさ、中学の頃から、あたし、友達になった子には皆そのこと言ってんの。それ聞いて離れていく子もいたけど、べつにそれならそれでいいやと思ってる」
これは、試験なのだろうか? 私はためされている?
自分がためされているのかと思うと、正直、ちょっと傷つく。けれど、その一方で、美菜のいつもは気の強そうな瞳に浮かぶ、かすかな気弱さを見取って、不思議な愛情めいたものも感じる。
気負ってはいても、やっぱりそれなりに傷つくこともあったのかもしれない。いくら時代が変わって、シングルマザーもめずらしくない今だって、当事者にとっては……、そういう事情をかかえた親のもとに生まれ育った子どもにとっては、それなりにしんどいこともあったんだろう。まったく無いわけはないはず。
私はつよく首をふった。
「私、そんなの全然気にしないわよ! 第一、美菜のせいじゃないんだから」
偽善的に聞こえてないか気になった。事実、言っていて自分でもあまりにもありきたり過ぎて恥ずかしい。下手な青春ドラマにでてくる台詞だ。
「まぁ、べつにいいんだけれどね。……それはそうとね、あの文書、読める人が見つかりそうなんだ」
「え? もう?」
美菜は得意げに笑った。こういうときの美菜は本当にたのもしい。
「外国語学校の友達がすごく興味もったらしくて、連絡した後すぐいろいろ調べてくれてさ。で、彼女の知り合いの日中のハーフで横浜で中国語の先生やってる人なんだけれど、その人、昔の中国語も勉強していて読めるんだって」
「へえ」
「で、ちょっと時間かかるかもしれないけれど、翻訳してくれるって。勿論、その人にも内容は口外しないように伝えてあるって。……でもね」
美菜はちょっと言うのをためらった。
「やっぱ、謝礼とかしなきゃならないかも。プロだからさ」
「え? 幾らぐらい?」
お金のことになると心配になってきた。月々のお小遣いは決められているし、今のところアルバイトもしていないので、私の財政状態はかなりきびしいのだ。
「そんなに高くないと思うけれど、私が勝手にしちゃったことだからさ、なんだったら、私が払うよ」
「えー、それは……良くないし」
内心、ホッとしつつも、私は一応言ってみる。けれど、美菜の次の言葉に後悔してしまった。
「じゃ、半分ずつ出す?」
「そ、そうね」
がっかりした顔を見せないように務めた。恥ずかしい話だけれど、しかたない。私は美菜や麻衣にくらべたらお小遣いの額の桁がちがうのだ。
正直、私の一ヶ月分のお小遣いなんて、麻衣の新着の服一着分にもならないかも。
ああ……、格差が身にしみる。
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