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戦い 六
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「えー……」
ますます突拍子もなくて、私はついていけなくなってしまった。
それほどに、今の時代に、過去の原爆の影響なんて馬鹿々々しいほどに遠いことに思えるのだ。
まだ、このまえの3・1・1の放射能が影響している、と言われるなら納得できたかも。
でも、そう考えてみて私はちょっと気になった。
あれからすっかり忘れてしまったけれど、やっぱりまだ放射能って、完全に安全になったわけじゃないかもしれない。
それらが、今もトヨールたちに悪い影響――あいつらにとっては良い影響なのかもしれないけれど――をあたえ、どんどんトヨールたちのような化物を強大にしている?
ああ、なんだかSF小説みたいな話になってくる。
「サイエンス・フィクションの世界みたいだと思っていますか?」
ずばりアレックスにそう指摘されて、私はぎこちなくまたうなずいた。
「でしょうね。人間の身体や妄執、欲望を元にして、遠い南の国の、土俗的な信仰のなかから生み出された妖怪が、歳月を経るなかで放射能というきわめて現代科学のもたらした――けれども一般人にとっては未知の不気味なものに影響を受け、怪物として進化してしまう。ホラーとSFをミックスしたような展開になってきましたね」
アレックスは苦笑してから、すぐ顔をひきしめた。
「いや、笑っている場合じゃない。理恵さん、連中はどんどん得体の知れない化物になっていくかもしれない。早くなんとかしないと、あなたは本当にその身体を奪われてしまうかもしれないのです」
「怖いこと言わないで!」
私は座椅子から飛び上がりそうになった。
今更ながらトヨールへの恐怖心がわきあがってきた。
「今ならまだトヨールを食い止める方法があります。これ以上強大になる前に」
「ど、どうするんですか?」
アレックスは床に置いていた黒色のアタッシュケースを取り出した。
アレックスの今の軽装には似合わない、ビジネスマンが持つようなかなり重量感のある高価そうなその鞄から、茶色い布につつまれた細長いものを取り出した。
「これは、ボモーであったある男がみずから作った物です」
ゆっくりと、丁寧に布をまわすようにしてはがし、アレックスが見せたものは、数本の針だった。
「針?」
それは裁縫に使うような小さなものではなく、お箸ぐらいに長いもので、店内の照明の下、銀色にかがやいている。
ますます突拍子もなくて、私はついていけなくなってしまった。
それほどに、今の時代に、過去の原爆の影響なんて馬鹿々々しいほどに遠いことに思えるのだ。
まだ、このまえの3・1・1の放射能が影響している、と言われるなら納得できたかも。
でも、そう考えてみて私はちょっと気になった。
あれからすっかり忘れてしまったけれど、やっぱりまだ放射能って、完全に安全になったわけじゃないかもしれない。
それらが、今もトヨールたちに悪い影響――あいつらにとっては良い影響なのかもしれないけれど――をあたえ、どんどんトヨールたちのような化物を強大にしている?
ああ、なんだかSF小説みたいな話になってくる。
「サイエンス・フィクションの世界みたいだと思っていますか?」
ずばりアレックスにそう指摘されて、私はぎこちなくまたうなずいた。
「でしょうね。人間の身体や妄執、欲望を元にして、遠い南の国の、土俗的な信仰のなかから生み出された妖怪が、歳月を経るなかで放射能というきわめて現代科学のもたらした――けれども一般人にとっては未知の不気味なものに影響を受け、怪物として進化してしまう。ホラーとSFをミックスしたような展開になってきましたね」
アレックスは苦笑してから、すぐ顔をひきしめた。
「いや、笑っている場合じゃない。理恵さん、連中はどんどん得体の知れない化物になっていくかもしれない。早くなんとかしないと、あなたは本当にその身体を奪われてしまうかもしれないのです」
「怖いこと言わないで!」
私は座椅子から飛び上がりそうになった。
今更ながらトヨールへの恐怖心がわきあがってきた。
「今ならまだトヨールを食い止める方法があります。これ以上強大になる前に」
「ど、どうするんですか?」
アレックスは床に置いていた黒色のアタッシュケースを取り出した。
アレックスの今の軽装には似合わない、ビジネスマンが持つようなかなり重量感のある高価そうなその鞄から、茶色い布につつまれた細長いものを取り出した。
「これは、ボモーであったある男がみずから作った物です」
ゆっくりと、丁寧に布をまわすようにしてはがし、アレックスが見せたものは、数本の針だった。
「針?」
それは裁縫に使うような小さなものではなく、お箸ぐらいに長いもので、店内の照明の下、銀色にかがやいている。
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