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変わる世界 三
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「で、でも、フランソワは他に好きな人がいるみたいよ」
ヴァイオレットは暗灰色の眉をしかめる。
「カフェの女給とかいうのでしょう? コミューンに参加した女闘士のことね」
「え? そ、そうかしら?」 マルゴは鼻白んだ。
「昨夜、その娘のことを語るフランソワの目は、ほとんど恋する男の目よ。自分ができなかったことを成し遂げたその娘に憧れているのかもしれないわね。でも、まぁ、じきにさめるでしょう。聞いたかぎりではその娘は流刑にされるみたいだし。気の毒だけれど……」
とにかく物騒な世のなかだった。コミューンに参加した人間のみならず、それに協力した一般人や、コミューンの闘士だと疑いをかけられたり、スパイだとみなされた民間人がろくに調べられもせず、逮捕され投獄され、流刑にされている。
「今は私たちが生き抜くだけで精一杯よ。正直、逮捕された人たちのことを心配している余裕はないわ」
そう言うと、最後のパンを口に入れ、決意するようにヴァイオレットは宣言した。
「ブルーム家が滅ぶと、あなたも私も困るでしょう?」
確かにそうだが……、だが、この後、自分はどうなるのだろう。マルゴは考えずにいられない。
このままヴァイオレットの思惑どおりに事が進めば、フランソワはクララと結婚することになるだろう。だが、そうなると、マルゴはどうすればいいのだ?
「結婚したら、二人はどこに住むの?」
「フランソワとパリのアパルトマンに住むことになるでしょうよ。フランソワは次男だから、行く先はこの家に住むことになるかもしれないけれど」
「で、でも……、そうしたら、田舎のお屋敷は?」
「ああ、あれは売り払うことになるでしょう」
あっさりとヴァイオレットは言い、マルゴはまたも鼻白んだ。
「そ、そんな、屋敷の使用人たちはどうなるの?」
「暇を出すことになるわね」
ヴァイオレットは、やや申し訳なさそうな顔になりながらも淡々と説明した。
「ブルーム家の経済状態が良くないことは言ったでしょう? 田舎の屋敷を維持することは難しいのよ。実を言うと、出版社ももう売り払って、旦那様は引退を予定なされていたのよ。ずっと身体の調子も悪かったし……」
ヴァイオレットは暗灰色の眉をしかめる。
「カフェの女給とかいうのでしょう? コミューンに参加した女闘士のことね」
「え? そ、そうかしら?」 マルゴは鼻白んだ。
「昨夜、その娘のことを語るフランソワの目は、ほとんど恋する男の目よ。自分ができなかったことを成し遂げたその娘に憧れているのかもしれないわね。でも、まぁ、じきにさめるでしょう。聞いたかぎりではその娘は流刑にされるみたいだし。気の毒だけれど……」
とにかく物騒な世のなかだった。コミューンに参加した人間のみならず、それに協力した一般人や、コミューンの闘士だと疑いをかけられたり、スパイだとみなされた民間人がろくに調べられもせず、逮捕され投獄され、流刑にされている。
「今は私たちが生き抜くだけで精一杯よ。正直、逮捕された人たちのことを心配している余裕はないわ」
そう言うと、最後のパンを口に入れ、決意するようにヴァイオレットは宣言した。
「ブルーム家が滅ぶと、あなたも私も困るでしょう?」
確かにそうだが……、だが、この後、自分はどうなるのだろう。マルゴは考えずにいられない。
このままヴァイオレットの思惑どおりに事が進めば、フランソワはクララと結婚することになるだろう。だが、そうなると、マルゴはどうすればいいのだ?
「結婚したら、二人はどこに住むの?」
「フランソワとパリのアパルトマンに住むことになるでしょうよ。フランソワは次男だから、行く先はこの家に住むことになるかもしれないけれど」
「で、でも……、そうしたら、田舎のお屋敷は?」
「ああ、あれは売り払うことになるでしょう」
あっさりとヴァイオレットは言い、マルゴはまたも鼻白んだ。
「そ、そんな、屋敷の使用人たちはどうなるの?」
「暇を出すことになるわね」
ヴァイオレットは、やや申し訳なさそうな顔になりながらも淡々と説明した。
「ブルーム家の経済状態が良くないことは言ったでしょう? 田舎の屋敷を維持することは難しいのよ。実を言うと、出版社ももう売り払って、旦那様は引退を予定なされていたのよ。ずっと身体の調子も悪かったし……」
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