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変わる世界 五
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ほとんど泣き声になりながらも、マルゴは必死にその言葉をひねり出していた。
ふー、とヴァイオレットの溜息を吐く音が食堂にやけに大きくひびく。
窓からは夏のひかりが差し込んできて、場違いなほどのどかにココア色の床を照らし、窓のそとでは、白薔薇が朝のかがやきのなか花弁を開げている。世の中がどう変わろうが、花は花であることをやめない。
「あなたの貢献はわかってはいるけれど……、でもマルゴ、このままこの家にいて、身近にクララやフランソワを見て、あなた、以前のように仕えることができる?」
「そ、それは……」
出来ます、と断言できない自分がマルゴはもどかしい。たった一晩で自分がこれほど変わってしまったことに自分自身でも驚いた。
「それに、やっぱり近くにいると、昨夜の相手がクララではなくあなただったのだとフランソワが気づくかもしれないわ」
気づいて欲しい。それはマルゴの本心だった。
(そうよ。本当は、フランソワだって、昨夜の相手がクララじゃなくてわたしだと気づいているかも)
まるでそんなマルゴの考えを読んだかのようにヴァイオレットが冷たく告げる。
「マルゴ、馬鹿なことを考えては駄目よ。使用人はどこまでいっても使用人なのよ」
ヴァイオレットの自分を見る淡い青い瞳には憐憫がこもっており、それがマルゴの神経をひどくひっかいた。
(なによ、そういうあんただって使用人じゃないの!)
そう言ってやれたらどれだけすっきりするか。
「とにかく、フランソワともう一度会う準備をしないとね。こうなったからには、フランソワだってもうクララとの婚約を破棄するとは言えないはずよ」
ヴァイオレットがそう言ったとき、マリアが食堂にあわてて入ってきた。
「た、大変です」
外国語なまりのフランス語で叫ぶように彼女は言い、おどろいてマルゴもヴァイオレットもマリアの青ざめた老いた顔を見た。
ふー、とヴァイオレットの溜息を吐く音が食堂にやけに大きくひびく。
窓からは夏のひかりが差し込んできて、場違いなほどのどかにココア色の床を照らし、窓のそとでは、白薔薇が朝のかがやきのなか花弁を開げている。世の中がどう変わろうが、花は花であることをやめない。
「あなたの貢献はわかってはいるけれど……、でもマルゴ、このままこの家にいて、身近にクララやフランソワを見て、あなた、以前のように仕えることができる?」
「そ、それは……」
出来ます、と断言できない自分がマルゴはもどかしい。たった一晩で自分がこれほど変わってしまったことに自分自身でも驚いた。
「それに、やっぱり近くにいると、昨夜の相手がクララではなくあなただったのだとフランソワが気づくかもしれないわ」
気づいて欲しい。それはマルゴの本心だった。
(そうよ。本当は、フランソワだって、昨夜の相手がクララじゃなくてわたしだと気づいているかも)
まるでそんなマルゴの考えを読んだかのようにヴァイオレットが冷たく告げる。
「マルゴ、馬鹿なことを考えては駄目よ。使用人はどこまでいっても使用人なのよ」
ヴァイオレットの自分を見る淡い青い瞳には憐憫がこもっており、それがマルゴの神経をひどくひっかいた。
(なによ、そういうあんただって使用人じゃないの!)
そう言ってやれたらどれだけすっきりするか。
「とにかく、フランソワともう一度会う準備をしないとね。こうなったからには、フランソワだってもうクララとの婚約を破棄するとは言えないはずよ」
ヴァイオレットがそう言ったとき、マリアが食堂にあわてて入ってきた。
「た、大変です」
外国語なまりのフランス語で叫ぶように彼女は言い、おどろいてマルゴもヴァイオレットもマリアの青ざめた老いた顔を見た。
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