白蛇様の花嫁はじっくりと執着淫愛される。

猫とろ

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本当のこと④

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部屋の扉すぐ横にある洗面所は、小振りながらも質の良いホテルの水回りと大差はない。
その清潔さにほっとしながら顔を洗い。歯を磨く。そして──化粧水をパシャリと肌に馴染ませて。鏡の中の自分と視線があったとき。首筋に二つの赤い点があるのを見つけた。
まるで赤ペンで、ちょんちょんとペン先に触れたような痕。

「ん。なにこれ。虫刺されとか? 違うな。なんだかこれは、咬まれた痕みたい……まるで──へび……」

言葉にして、赤い首筋の点に触れた瞬間。肌がぞわりと粟立ち。

突如として。本殿での出来事と夢の内容を思い出した。

「あ、あっ……!」

津波のように襲ってくる記憶と情報量に圧倒されて、その場にぺたりと座り込み。
浴衣の裾がはだける。

すると、うち太ももが露出し。そこに目線をやると。首筋と同じく。赤い点が二つ並んでいた。

それを見て、白透君と淫らな行為を次々とくっきりと思い出してしまった。

「な、なんで急に……!」

訳がわからない。それでも私が本殿で体験したこと。溺れる少年と白蛇の夢の記憶が頭を駆け巡った。

思わず体を抱きしめながら、本殿での淫らな出来事が生々しくて。
まるで処女を喪失したときのような、儚さを共なう罪悪感に襲われた。

「私、なんてエッチなことを……お尻まで白透君にっ」

その先は言えなかった。
最後まではしてなかったが私は自ら腰をくねらせ。両足の膝裏を抱えて、秘所をさらけ出し。
何度も何度も、白透君の指や舌で前も後ろもイかされて快感を貪っていた。
そんな淫らな自分は、もう一人の自分じゃないかと思い込みたくなる。

どれだけこの口から、エッチなお願いをしたのだろう。どれだけイかされて畳や着物。白透君の指や舌を濡らしたのだろう。

なんで、そんなことになってしまったのか。

『毒』と言うことを白透君を言っていたが……。

「そんなこと……人間に出来る訳ないじゃない……」

羞恥心に悶えるよりも、思い出すたびに冷静になり。冷や汗が伝う。
私が体験したことは現実離れ過ぎていると感じた。

それなのに記憶を思い出したことにより。白透君の今までの行動と、夢で見た内容が次々と紐付けられていき。

ある答えがぽんと、心の中に浮かんだ。

それはとても現実的なことでは無かった。それなのに。
一度思い付いてしまえばそうだとしか、思えなかった。それ以外考えられない。それは──。

「あ、白透君は池に溺れて、蛇と一緒になってしまったから……こんなことに──」

自分が出した答えに心臓がドキドキする。
思い付いたことがファンタジーすぎて、失笑してしまいたくなるが。

首筋とうち太ももの赤い痕が、失笑する気持ちを止めていた。
人と蛇が一つになるなんてあり得ない。頭ではなんてバカなことを考えているんだ。と思う一方で。

白透君の今までの態度。言葉。
夢の白蛇のリアルさ。
ここの村の人たちの振る舞い。
それらを総合して、否定する答えを持っていなかった。

この村に来てから、五年前を決起に色々と変化が起きたと言うことを私は目の当たりにしていた。

村の変貌。新しい建物。神社。人の流れ。

それが偶然の一致だとしても、ここに住む人達の私への態度はあからさまだった。

私がこの村で違和感を感じたことは、白透君が蛇と一つになり。
この村を手中に収めて、崇められている対象となったから──と、夢物語のようなことを考えると……。

「あ……五年前に白透君が溺れて、蛇の神様になったとしたら全部スッキリと収まる……?」

アハっと、乾いた笑いが溢れる。

「偶然よ。そんなことがあるはずがないじゃない」

もし仮にそうだとしてもすぐに、この村の人達が受け入れて行動をするだろうか。
そんな突飛なこと、いくら田舎とはいえ……。

いやこの田舎には──白蛇神社の存在がある。
信じられる素材と下地がある。

私が高齢でここに住む住人で。
高い資金力を持つ美しい若者がそっと近づき。人の願いを叶え。村の発展に貢献して行く姿を目の当たりしたら。

その存在を信じてしまうだろう。

頭で白透君が蛇と一体化したと言うことを、否定しようと思えば思うほどに、否定する根拠が潰れていくようで、どうしたらいいのだろう。

信じるにしてしも、こんなこと非現実的すぎる。
何が本当かわからず不安になる。
私はどうかしてしまったのだろうか。誰か助けて欲しい。

いっそこんな状況全てこのままにして、逃げ出したい。都会に帰りたい。

今ならまだ白透君から、逃げれるんじゃないかと思ったけど。

逃げたとしても。私のことを気にしてくれていた、お母さんの存在が気になる。

「そうだ。お母さん。お母さんに聞いたら何かわかるのかな。でも、怖い……私、いったい、どうしたら……」

頭が煮詰まってしまって、だらんと手を下に降ろしてしまう。

すると冷たいタイルの触り心地が、白透君の手の体温と似てると思ってしまい。

ひっと、声を上げてぞくりとしてしまうと。

コンコンと部屋の扉をノックする音が、洗面所まで響いた。
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