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二滴目〜②〜
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大学生と思わしき四人グループは全員、大きなスポーツバッグを持っていた。きっと彼らはスポーツセンター帰りとかなのだろう。
次から次と今日は一体なんなんだ。
私ってそんなに運が悪かったのかと思ったとき、一人の男性に手を掴まれた。
「!」
「おねぇさん。そのダサいのを相手にナンパしていたとか? 出会い系?」
「ち、違いますっ!」
否定するけどグループの男性達は「絶対、マチアプだろ」とクスクス笑っていた。
私と先輩はどう見ても恋人同士には見えない。それが人気の少ない公園で、目立ってしまったのではと思った。
「だったら俺達とどう? 仲良く朝まで遊ぼうよ」
自ら言った誘い文句にゲラゲラと笑う男性達。とても不愉快だ。
風に乗ってアルコール臭がする。だいぶ酔っているのかもしれない。
なのに掴まれた手首は、ガッチリと掴まれていて振り解けない。気持ち悪くて離して欲しいと思っていると、納谷先輩がすっとその場に立った。
すると笑い声がピタリと止まって、私の手首を掴んでいる男の人が先輩に向かって吠えた。
「んだよ。まだいたのか。この女は俺達と遊ぶんだよ。ジジイは邪魔。早く帰れよ!」
酒に酔った勢い任せの声でも、怒鳴るとそれなりに迫力がある。怖いと思ってしまう。
なのに納谷先輩は驚きもせず。やれやれと頭を振った。
「はぁ。うるさい。社会人にもなってないガキがイキるな。お前達こそさっさと帰れ」
「あぁ!? しがないリーマンの癖にうるせぇよ。お前みたいなダサいやつに、価値もなにもねぇんだよっ」
ダサい。価値もない。
その言葉は今の私に深く響いた。
今、ここで会社を辞めれば楽かもしれない。納谷先輩に血などを差し出せば、もっと楽にお金が稼げるだろう。
でも私はまだ会社でなにもしてない。
せめて。なにかちゃんと仕事をしてから。じゃないと本当に価値がなくてダサいのは私じゃないか──と。
頭によぎった瞬間。
男の人が「やんのか、コラ」とまた大声を上げたので身を竦ませてしまった。
静かな公園に大声が広がると、グループからヘラヘラした笑いが消え去り。
男性達がギロリと納谷先輩へと鋭い視線を向けた。
ケンカが起こると思って背筋に冷たい汗が流れる。
先輩がいくら体格が良くても他勢に無勢。
このままでは大変なことになると、嫌な想像をしてしまった。
怪我をする前に、今のうちに逃げて欲しい。
とにかくこの人達に用があるのは私なんだからと、カラカラの口で喋った。
「せ、先輩は早く逃げてくださいっ! 私は大丈夫ですからっ」
すると目の前の若い男性達は「かわいぃ~」「逃げられませぇーん」と笑う。
囃し立てられて、さすがに男の人達を睨むと納谷先輩が迷うことなく。
私の手を掴む男の人の前に立ち塞がって──ビシッとデコピンをした。
するとドサッと言う音がして。デコピンを食らった男の人はその場に倒れ込んだ。
そして自由になる私の手。
──今、デコピンで人が倒れた?
何が起こったのかと声も出せず。皆キョトンとしていた。
しかし納谷先輩だけが素早く動き。
別の男の人の胸ぐらを掴んだと思うと、瞬きの間に男の人はどさっと植え込みに倒れていた。
驚く暇もない。
また一人、二人と。男の人達はその場に倒れ込む。
どうやら先輩は男の人達を的確に昏倒させているようだった。
そして、あっという間にグループ全員をその場に気絶させてしまった。
──こんなの人間ワザじゃない! 人間離れした行動に驚嘆する。
「う、うそ。全員倒しちゃった……。本当に、本当に、気吸血鬼なんですか?」
「そうだ」
「!」
キッパリと肯定した言葉と、足元に倒れた人達を見て呆然とする。
納谷先輩の存在に驚いて硬直して動けないでいると、また風がざぁっと強く吹いて。納谷先輩の髪を揺らした。
そのとき、私は見てしまった。
月明かりの下。
納谷先輩の髪の下に隠れていたのは真っ赤なルビーみたいな紅い瞳に──とんでもない、整った造形の素顔!
無精髭は男性的なフェロモンを感じさせる、魅惑的なパーツだと思えるほどだった。
もとより鼻筋や口元は整っていると思ったけど、顔の全体像を見て、日本人離れの造形美。外国人モデルも舌を巻くレベル。
「怪我はないか? 血が出てるならば俺が舐めとるから申告をして欲しい」
「いえ、一滴も出てませんのでお気遣いなく」
それだけは口が勝手にスラスラと動いた。
でも視線は端正な先輩の顔と、倒れた人達が気になってキョロキョロしてしまっていた。
とりあえず倒れた人達は出血などしてないし、ちゃんと呼吸をしているからその内に気が付くのではと思っていると、視線がグルンっと回って。
視界には夜空と月。
そして納谷先輩の──綺麗な顔があった。
「咲帆、ここにいると面倒になる。場所を変える」
気がつけば先輩との距離感が近くなっている。それに納谷先輩の長い手が私の腰に回っていて。
「え、あ。私お姫様抱っこされてる!?」
抱き抱えられている現状にやっと気がついた。
いつの間に抱きかかえられたんだと思うと、納谷先輩が私を抱えたままジャンプ、いや空高く。上にと跳躍をした。
「しっかり掴まっていろ」
「え、え──っ! た、高いぃ、ジェットコースターみたいぃっ」
叫びながら、必死に納谷先輩に掴まる。納谷先輩はまるで背中に羽が生えたように私を抱えたまま、夜の公園を跳躍する。
私は夢を見ているのだろうか。
でも私を抱き締める、納谷先輩の厚い胸板や逞しい腕の感触が夢ではあり得ないと思った。
それに凄く引き締まった体に胸がドキっとした。
横顔のラインだって完璧。
夢ではないリアルな先輩の存在感に安心すると、少しだけ余裕が出てきた。
そろりと景色を見ると、納谷先輩が跳躍するたびに空が近くなり。木々は下になる。
そして地面。また上に登る。
風がとても気持ち良かった。
なんだろう。こんな不思議なこと驚きを通り越して、胸が変に高鳴ってしまった。
こんなドキドキすることは久しぶりだ。
「会社を辞めてしまったら、もうこんなドキドキはないかもしれない……」
小さく独り言を言う。
そして私の胸の中に突如として、希望がポンと出てきた。
もしかして、この変わった人。自ら吸血鬼だという納谷先輩といたら──私にも会社で、なにか価値を見出せるかもしれない。
血などを売るんじゃなくて、逆に私が交渉してみるべきなのでは。
会社を辞める前に、最後に足掻いてみてもいいのではと、これは神様が私に与えてくれたチャンスに違いない。
非日常な出来事はすっかりと、私の憂いを晴らすのに充分だった。
いろいろと考えていると、トンと降ろされた。そこは。
「って、なんで公園の東小屋の屋根の上なんですかっ! 普通に地面に降ろして下さいよっ」
思わず高さに目が眩みそうになり、納谷先輩の長い腕にしがみついてしまう。
「これで俺が吸血鬼だと分かって貰えただろうか」
「きゅ、吸血鬼とかは良くわかりませんが、こんな体験したら、先輩は人間じゃないってことは良くわかりました」
本当の吸血鬼なんか見たことなんかないから、その真偽はわからない。確かめる術なんかない。
しかし先輩が超人的な存在であることには変わりないだろう。だから吸血鬼と言うことで一度飲み込もうと思った。
「良かった。では血のことだが」
「そのことですが私、考えたのですが……お金は入りません。血は差し上げます。でも、その代わりに私にナハトの仕事を教えて下さいっ!」
「仕事を教える?」
「そうです。ギブアンドテイクです。私、今のままじゃ終われません。居るだけでお金を貰えるのは正直とても魅力的ですが、私自身に、人間的な魅力がなくなってしまいそうで……だから、価値を見つけたい」
そうだ、言いたいことはこれだと。
先輩の腕をそっと離して、自分の足で立ってハッキリと言う。
「私、自分に価値をちゃんと与えたいんですっ!」
仕事がコピー印刷だけなんて嫌だ。
ちゃんと仕事がしたい。これはきっとその変われるラストチャンスだろう。
神様でも吸血鬼でもなんでもいい。変われるなら縋りたい。
高いところに立って、足がカタカタして締まりがないかもしれないが言いたいことは言った。
納谷先輩顔を真っ直ぐ見つめれば、紅い瞳が月光を受けてきらりと光っていた。
それは先ほど見せた妖しい輝きではなく、少し楽しげな瞳に見えた。
「血と仕事のギブアンドテイクか……なるほどいいだろう。そっちの方が楽しそうだ」
「本当ですかっ」
「あぁ」
先輩はすっと私へと手を伸ばした。その手をパシンと私は掴んだ。
「じゃあ、これからもよろしくお願いします。納谷先輩っ」
ニコリと微笑むと納谷先輩もふっと口角を上げた。その口の端に鋭くて、白い牙が見えたが怖いと言う気持ちはなかった。むしろちょっと色っぽいとか思ってしまったほど。
こうして月夜の下。屋根の上。
吸血鬼の納谷先輩と私はお互いの為に、協力関係を結ぶのだった。
次から次と今日は一体なんなんだ。
私ってそんなに運が悪かったのかと思ったとき、一人の男性に手を掴まれた。
「!」
「おねぇさん。そのダサいのを相手にナンパしていたとか? 出会い系?」
「ち、違いますっ!」
否定するけどグループの男性達は「絶対、マチアプだろ」とクスクス笑っていた。
私と先輩はどう見ても恋人同士には見えない。それが人気の少ない公園で、目立ってしまったのではと思った。
「だったら俺達とどう? 仲良く朝まで遊ぼうよ」
自ら言った誘い文句にゲラゲラと笑う男性達。とても不愉快だ。
風に乗ってアルコール臭がする。だいぶ酔っているのかもしれない。
なのに掴まれた手首は、ガッチリと掴まれていて振り解けない。気持ち悪くて離して欲しいと思っていると、納谷先輩がすっとその場に立った。
すると笑い声がピタリと止まって、私の手首を掴んでいる男の人が先輩に向かって吠えた。
「んだよ。まだいたのか。この女は俺達と遊ぶんだよ。ジジイは邪魔。早く帰れよ!」
酒に酔った勢い任せの声でも、怒鳴るとそれなりに迫力がある。怖いと思ってしまう。
なのに納谷先輩は驚きもせず。やれやれと頭を振った。
「はぁ。うるさい。社会人にもなってないガキがイキるな。お前達こそさっさと帰れ」
「あぁ!? しがないリーマンの癖にうるせぇよ。お前みたいなダサいやつに、価値もなにもねぇんだよっ」
ダサい。価値もない。
その言葉は今の私に深く響いた。
今、ここで会社を辞めれば楽かもしれない。納谷先輩に血などを差し出せば、もっと楽にお金が稼げるだろう。
でも私はまだ会社でなにもしてない。
せめて。なにかちゃんと仕事をしてから。じゃないと本当に価値がなくてダサいのは私じゃないか──と。
頭によぎった瞬間。
男の人が「やんのか、コラ」とまた大声を上げたので身を竦ませてしまった。
静かな公園に大声が広がると、グループからヘラヘラした笑いが消え去り。
男性達がギロリと納谷先輩へと鋭い視線を向けた。
ケンカが起こると思って背筋に冷たい汗が流れる。
先輩がいくら体格が良くても他勢に無勢。
このままでは大変なことになると、嫌な想像をしてしまった。
怪我をする前に、今のうちに逃げて欲しい。
とにかくこの人達に用があるのは私なんだからと、カラカラの口で喋った。
「せ、先輩は早く逃げてくださいっ! 私は大丈夫ですからっ」
すると目の前の若い男性達は「かわいぃ~」「逃げられませぇーん」と笑う。
囃し立てられて、さすがに男の人達を睨むと納谷先輩が迷うことなく。
私の手を掴む男の人の前に立ち塞がって──ビシッとデコピンをした。
するとドサッと言う音がして。デコピンを食らった男の人はその場に倒れ込んだ。
そして自由になる私の手。
──今、デコピンで人が倒れた?
何が起こったのかと声も出せず。皆キョトンとしていた。
しかし納谷先輩だけが素早く動き。
別の男の人の胸ぐらを掴んだと思うと、瞬きの間に男の人はどさっと植え込みに倒れていた。
驚く暇もない。
また一人、二人と。男の人達はその場に倒れ込む。
どうやら先輩は男の人達を的確に昏倒させているようだった。
そして、あっという間にグループ全員をその場に気絶させてしまった。
──こんなの人間ワザじゃない! 人間離れした行動に驚嘆する。
「う、うそ。全員倒しちゃった……。本当に、本当に、気吸血鬼なんですか?」
「そうだ」
「!」
キッパリと肯定した言葉と、足元に倒れた人達を見て呆然とする。
納谷先輩の存在に驚いて硬直して動けないでいると、また風がざぁっと強く吹いて。納谷先輩の髪を揺らした。
そのとき、私は見てしまった。
月明かりの下。
納谷先輩の髪の下に隠れていたのは真っ赤なルビーみたいな紅い瞳に──とんでもない、整った造形の素顔!
無精髭は男性的なフェロモンを感じさせる、魅惑的なパーツだと思えるほどだった。
もとより鼻筋や口元は整っていると思ったけど、顔の全体像を見て、日本人離れの造形美。外国人モデルも舌を巻くレベル。
「怪我はないか? 血が出てるならば俺が舐めとるから申告をして欲しい」
「いえ、一滴も出てませんのでお気遣いなく」
それだけは口が勝手にスラスラと動いた。
でも視線は端正な先輩の顔と、倒れた人達が気になってキョロキョロしてしまっていた。
とりあえず倒れた人達は出血などしてないし、ちゃんと呼吸をしているからその内に気が付くのではと思っていると、視線がグルンっと回って。
視界には夜空と月。
そして納谷先輩の──綺麗な顔があった。
「咲帆、ここにいると面倒になる。場所を変える」
気がつけば先輩との距離感が近くなっている。それに納谷先輩の長い手が私の腰に回っていて。
「え、あ。私お姫様抱っこされてる!?」
抱き抱えられている現状にやっと気がついた。
いつの間に抱きかかえられたんだと思うと、納谷先輩が私を抱えたままジャンプ、いや空高く。上にと跳躍をした。
「しっかり掴まっていろ」
「え、え──っ! た、高いぃ、ジェットコースターみたいぃっ」
叫びながら、必死に納谷先輩に掴まる。納谷先輩はまるで背中に羽が生えたように私を抱えたまま、夜の公園を跳躍する。
私は夢を見ているのだろうか。
でも私を抱き締める、納谷先輩の厚い胸板や逞しい腕の感触が夢ではあり得ないと思った。
それに凄く引き締まった体に胸がドキっとした。
横顔のラインだって完璧。
夢ではないリアルな先輩の存在感に安心すると、少しだけ余裕が出てきた。
そろりと景色を見ると、納谷先輩が跳躍するたびに空が近くなり。木々は下になる。
そして地面。また上に登る。
風がとても気持ち良かった。
なんだろう。こんな不思議なこと驚きを通り越して、胸が変に高鳴ってしまった。
こんなドキドキすることは久しぶりだ。
「会社を辞めてしまったら、もうこんなドキドキはないかもしれない……」
小さく独り言を言う。
そして私の胸の中に突如として、希望がポンと出てきた。
もしかして、この変わった人。自ら吸血鬼だという納谷先輩といたら──私にも会社で、なにか価値を見出せるかもしれない。
血などを売るんじゃなくて、逆に私が交渉してみるべきなのでは。
会社を辞める前に、最後に足掻いてみてもいいのではと、これは神様が私に与えてくれたチャンスに違いない。
非日常な出来事はすっかりと、私の憂いを晴らすのに充分だった。
いろいろと考えていると、トンと降ろされた。そこは。
「って、なんで公園の東小屋の屋根の上なんですかっ! 普通に地面に降ろして下さいよっ」
思わず高さに目が眩みそうになり、納谷先輩の長い腕にしがみついてしまう。
「これで俺が吸血鬼だと分かって貰えただろうか」
「きゅ、吸血鬼とかは良くわかりませんが、こんな体験したら、先輩は人間じゃないってことは良くわかりました」
本当の吸血鬼なんか見たことなんかないから、その真偽はわからない。確かめる術なんかない。
しかし先輩が超人的な存在であることには変わりないだろう。だから吸血鬼と言うことで一度飲み込もうと思った。
「良かった。では血のことだが」
「そのことですが私、考えたのですが……お金は入りません。血は差し上げます。でも、その代わりに私にナハトの仕事を教えて下さいっ!」
「仕事を教える?」
「そうです。ギブアンドテイクです。私、今のままじゃ終われません。居るだけでお金を貰えるのは正直とても魅力的ですが、私自身に、人間的な魅力がなくなってしまいそうで……だから、価値を見つけたい」
そうだ、言いたいことはこれだと。
先輩の腕をそっと離して、自分の足で立ってハッキリと言う。
「私、自分に価値をちゃんと与えたいんですっ!」
仕事がコピー印刷だけなんて嫌だ。
ちゃんと仕事がしたい。これはきっとその変われるラストチャンスだろう。
神様でも吸血鬼でもなんでもいい。変われるなら縋りたい。
高いところに立って、足がカタカタして締まりがないかもしれないが言いたいことは言った。
納谷先輩顔を真っ直ぐ見つめれば、紅い瞳が月光を受けてきらりと光っていた。
それは先ほど見せた妖しい輝きではなく、少し楽しげな瞳に見えた。
「血と仕事のギブアンドテイクか……なるほどいいだろう。そっちの方が楽しそうだ」
「本当ですかっ」
「あぁ」
先輩はすっと私へと手を伸ばした。その手をパシンと私は掴んだ。
「じゃあ、これからもよろしくお願いします。納谷先輩っ」
ニコリと微笑むと納谷先輩もふっと口角を上げた。その口の端に鋭くて、白い牙が見えたが怖いと言う気持ちはなかった。むしろちょっと色っぽいとか思ってしまったほど。
こうして月夜の下。屋根の上。
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