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第31話 二人のお嬢様
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まず、今年が成人する年で例年以上に大規模な催し物になる事ぐらいわかっていたはずだ。
謁見する人々も各々位の高い人々が大半を占め、人生で一度しかないこの機会に様々な思いで王女への祝いの言葉を考えて来た事だろう。
そんなわざわざ忙しい中集まった人々との予定を無視してまで行方をくらましたのは、きっと相当な理由があるのだろう。
が、そもそもそれ以前に大騒ぎになる事がわかるというのに厳重な城内の警備を王女一人で掻い潜り城を抜け出す事ができるものなのか、という引っかかる点があるのだが。
……いや、未だに城内にいる可能性も勿論あるが。
考えれば考える程王女の行動に不可解な点が多量に浮かんでくるが、その内クリアは考えることをやめた。
何故なら、自分が考えたところで何かが解決する訳では無いからだ。
それに、書き置きがあるということは戻ってくる意思があるということだろう。
ならば、もうそこに関してクリアが深く考える必要はないと思ったわけだった。
王女が夕方の場内で行われるパーティーまでに戻れば、一応——当然城の関係者達は王女が戻るまで生きた心地がしないだろうが——謁見以外の予定は元の通りに進むだろう。
それに、クリアが思っていた。
——そんな王女様とはいえ身勝手な理由で、ヒカリとミヤとせっかく楽しみにしていた機会を台無しにされてたまるものか!
こんな機会、三人全員が普段から忙しい為に滅多にないのだ。
王女の行方不明の件についてボスの右腕であるクリアに連絡が来なかったのも、ガウスが気遣ってくれたからなのだろう。
なにせ、今日の祭りの事で背中を押してくれたのは、他でも無いお父さんなのだから。
……恐らく、ミヤも本当は気を遣ってくれていたのだろうというのもクリアはわかっていたつもりだ。
そんなお父さんの気遣いを無駄にしない為にも、とりあえず王女の事は然るべき人達に任せて今は思い切り楽しむ事をクリアは決めたのだった。
——いつ、不測の事態になった王女の件と在庫切れでの出店からの連絡が来るかもわからないし、願わくはその連絡が良く無いタイミングできませんように……。
そう願うクリアであった。
「それで、私に内緒のお話は終わったんですか~?」
「「⁉︎」」
耳元に顔を近付けたまま、考え事に耽っていたクリアに、いつの間にかクレープを食べ終えていたミヤからかけられた声にクリアとヒカリは慌ててお互い近付けていた顔を離した。
「うふふ、仲のよろしいですこと」
茶化す様に笑顔で言うミヤに、顔を赤くするヒカリ。
勿論クリアも自分の顔が火照ってていくのがわかったので、恐らくヒカリと同じく赤くなっている事だろう。
このままだと照れのせいで沈黙が流れてしまうだろうと思ったクリアは、空気を変えようととりあえず思いついた事を口にする。
「そ、そう言えば二人とも、今日はいつもと雰囲気が違う服を着ているよね。さっき見つけた時、思わず足が止まっちゃったよ」
あははと付け足す様に笑って言ったクリアに、微妙そうな顔でミヤは返す。
「……お兄様、それは褒めていると受け取っていいのですか?」
どうやら良い意味で捉えづらい例えだったようで、クリアは慌てて言葉を口にする。
「勿論そのつもりだったけど……。ごめん、あまり人の服を褒めるのって慣れてなくて。二人ともよく似合ってて」
流石に先程まるで絵画の様に思ったとは口にできなかったが。
「ミヤはいつもよりカジュアルっていうのかな?
服のことはあまりわからないけどいつものお嬢様らしさを残したまま親しみやすい感じが出ていいと思ったよ。ヒカリはいつもよりすごく大人っぽいよね。一瞬何処かの綺麗なお姉さんかと思って誰かわからなかったよ」
服に対する知識のない中、頑張って捻り出したクリアの言葉にミヤは満足したのか。
「だ、そうですよ? よかったですね、ヒカリ姉様~」
そう悪戯っぽく笑いながら言うのだった。
ヒカリといえば、まだ少し赤い顔で小さく「うん……ありがと」とポツリと呟く様に返して来た。
——うーん?
先程合流した時からやはり何かヒカリ違和感を感じていたクリアは、つい先程のもう一つの疑問を口に出す。
「あの、ヒカリ? さっきの手を挙げてすぐに下ろしちゃったり、いつものキミらしくないけどどうしたの?」
クリアとしては早いところ祭りを回りに行きたいが、あまりにも普段と違う様子のヒカリの態度が気になって仕方ない。
というよりも、このままだと自分もヒカリも楽しめないのでは? という疑念がクリアにヒカリを連れて行くことを躊躇わせていた。
当のヒカリはクリアの質問に対して「あの」とか「えっと」ともじもじとしながら中々答えになる返事を返そうとしない……いや、できなさそうだと言った方が正しいかもしれない。
そんなヒカリにクリアは首を傾げながらミヤに「何か知ってる?」と言いたげに視線を向ければ、ミヤはにこにこと楽しそうな笑顔で返す。
「私のこの服のコーディネートは今朝、暇を持て余した私に急遽ヒカリ姉様がお祭りのお誘いと一緒にして下さったんですよ~。そしてですね、何故ヒカリ姉様がこんなにも挙動不審な態度をとっているかと言うとですねぇ」
「ちょっ、ミヤちゃん⁉︎」
慌てるヒカリの反応を特に気にすることもなく、ミヤは解説を続ける。
「今日、せっかくお兄様とお出かけするのにいつもと違うお淑やかな女性の印象で気を引きたかったんですよね~。立場上招待されてないので仕方ないとはいえ、残念ながらヒカリ姉様は夜のパーティーに出席できませんから……。少しでも折角のお城のあるこの国でのお祭りで雰囲気を出せたらと、大人っぽい服装でお淑やかな女性を演じて見たいと以前私に相談して来たんですよ。ね、ヒカリ姉様?」
ミヤに全てを暴露されたヒカリは顔中真っ赤にして下を向いてしまった。
——なるほど。
先程勢いよく振ろうとした手を下げたのも、お淑やかさをアピールするのにははしたない行動と思って行ったのだろう。
そんな不慣れな振る舞いをするヒカリと、さりげなくフォロー——全部クリアに話した今、意味がなくなってしまった気もするが——していてたらしいミヤはヒカリが下を向いている間に先程の合図を真似してクリアに手招きして来た。
それに応える様にミヤに耳をクリアが近付ければ。
「夜のパーティーのダンス会、今朝お兄様が私のお相手をしてくださるとお父様から聞いております。……なので、一つ我儘を言ってもよろしいですか?」
——ミヤがわざわざ我儘を言うと宣言するなんて珍しい。
そんなミヤの言葉にクリアは首を縦に振って話の続きを催促する。
「夜は私がお兄様を独占できるので、今は是非、頑張っているヒカリ姉様をエスコートしてあげてくださいな」
にっこりとそう耳打ちしてきたミヤに、クリアは「ありがとね」と髪が乱れない様気をつけながらさらっと撫でる。
——本当、よく気の利く出来た妹だ。
クリアは「コホン」と一つ咳払いをし、未だ下を向くヒカリの正面に立ち位置を変えると、周りの男性陣の視線を——先程合流してからずっとだが——一身に受けながらもヒカリに片手を差し出して若干の照れが入りながらも笑顔で言ってみせる。
「そちらの俯いているお嬢さん。よろしければ、私めとこのせっかくのお祭り、一緒に回って頂けませんか?」
そんなクリアの誘い文句に顔を上げたヒカリは、まだ少し恥ずかしそうにしながらもクリアの手を取り。
「ええ、喜んで‼︎」
とびっきりの笑顔で誘いを受けたのだった——。
謁見する人々も各々位の高い人々が大半を占め、人生で一度しかないこの機会に様々な思いで王女への祝いの言葉を考えて来た事だろう。
そんなわざわざ忙しい中集まった人々との予定を無視してまで行方をくらましたのは、きっと相当な理由があるのだろう。
が、そもそもそれ以前に大騒ぎになる事がわかるというのに厳重な城内の警備を王女一人で掻い潜り城を抜け出す事ができるものなのか、という引っかかる点があるのだが。
……いや、未だに城内にいる可能性も勿論あるが。
考えれば考える程王女の行動に不可解な点が多量に浮かんでくるが、その内クリアは考えることをやめた。
何故なら、自分が考えたところで何かが解決する訳では無いからだ。
それに、書き置きがあるということは戻ってくる意思があるということだろう。
ならば、もうそこに関してクリアが深く考える必要はないと思ったわけだった。
王女が夕方の場内で行われるパーティーまでに戻れば、一応——当然城の関係者達は王女が戻るまで生きた心地がしないだろうが——謁見以外の予定は元の通りに進むだろう。
それに、クリアが思っていた。
——そんな王女様とはいえ身勝手な理由で、ヒカリとミヤとせっかく楽しみにしていた機会を台無しにされてたまるものか!
こんな機会、三人全員が普段から忙しい為に滅多にないのだ。
王女の行方不明の件についてボスの右腕であるクリアに連絡が来なかったのも、ガウスが気遣ってくれたからなのだろう。
なにせ、今日の祭りの事で背中を押してくれたのは、他でも無いお父さんなのだから。
……恐らく、ミヤも本当は気を遣ってくれていたのだろうというのもクリアはわかっていたつもりだ。
そんなお父さんの気遣いを無駄にしない為にも、とりあえず王女の事は然るべき人達に任せて今は思い切り楽しむ事をクリアは決めたのだった。
——いつ、不測の事態になった王女の件と在庫切れでの出店からの連絡が来るかもわからないし、願わくはその連絡が良く無いタイミングできませんように……。
そう願うクリアであった。
「それで、私に内緒のお話は終わったんですか~?」
「「⁉︎」」
耳元に顔を近付けたまま、考え事に耽っていたクリアに、いつの間にかクレープを食べ終えていたミヤからかけられた声にクリアとヒカリは慌ててお互い近付けていた顔を離した。
「うふふ、仲のよろしいですこと」
茶化す様に笑顔で言うミヤに、顔を赤くするヒカリ。
勿論クリアも自分の顔が火照ってていくのがわかったので、恐らくヒカリと同じく赤くなっている事だろう。
このままだと照れのせいで沈黙が流れてしまうだろうと思ったクリアは、空気を変えようととりあえず思いついた事を口にする。
「そ、そう言えば二人とも、今日はいつもと雰囲気が違う服を着ているよね。さっき見つけた時、思わず足が止まっちゃったよ」
あははと付け足す様に笑って言ったクリアに、微妙そうな顔でミヤは返す。
「……お兄様、それは褒めていると受け取っていいのですか?」
どうやら良い意味で捉えづらい例えだったようで、クリアは慌てて言葉を口にする。
「勿論そのつもりだったけど……。ごめん、あまり人の服を褒めるのって慣れてなくて。二人ともよく似合ってて」
流石に先程まるで絵画の様に思ったとは口にできなかったが。
「ミヤはいつもよりカジュアルっていうのかな?
服のことはあまりわからないけどいつものお嬢様らしさを残したまま親しみやすい感じが出ていいと思ったよ。ヒカリはいつもよりすごく大人っぽいよね。一瞬何処かの綺麗なお姉さんかと思って誰かわからなかったよ」
服に対する知識のない中、頑張って捻り出したクリアの言葉にミヤは満足したのか。
「だ、そうですよ? よかったですね、ヒカリ姉様~」
そう悪戯っぽく笑いながら言うのだった。
ヒカリといえば、まだ少し赤い顔で小さく「うん……ありがと」とポツリと呟く様に返して来た。
——うーん?
先程合流した時からやはり何かヒカリ違和感を感じていたクリアは、つい先程のもう一つの疑問を口に出す。
「あの、ヒカリ? さっきの手を挙げてすぐに下ろしちゃったり、いつものキミらしくないけどどうしたの?」
クリアとしては早いところ祭りを回りに行きたいが、あまりにも普段と違う様子のヒカリの態度が気になって仕方ない。
というよりも、このままだと自分もヒカリも楽しめないのでは? という疑念がクリアにヒカリを連れて行くことを躊躇わせていた。
当のヒカリはクリアの質問に対して「あの」とか「えっと」ともじもじとしながら中々答えになる返事を返そうとしない……いや、できなさそうだと言った方が正しいかもしれない。
そんなヒカリにクリアは首を傾げながらミヤに「何か知ってる?」と言いたげに視線を向ければ、ミヤはにこにこと楽しそうな笑顔で返す。
「私のこの服のコーディネートは今朝、暇を持て余した私に急遽ヒカリ姉様がお祭りのお誘いと一緒にして下さったんですよ~。そしてですね、何故ヒカリ姉様がこんなにも挙動不審な態度をとっているかと言うとですねぇ」
「ちょっ、ミヤちゃん⁉︎」
慌てるヒカリの反応を特に気にすることもなく、ミヤは解説を続ける。
「今日、せっかくお兄様とお出かけするのにいつもと違うお淑やかな女性の印象で気を引きたかったんですよね~。立場上招待されてないので仕方ないとはいえ、残念ながらヒカリ姉様は夜のパーティーに出席できませんから……。少しでも折角のお城のあるこの国でのお祭りで雰囲気を出せたらと、大人っぽい服装でお淑やかな女性を演じて見たいと以前私に相談して来たんですよ。ね、ヒカリ姉様?」
ミヤに全てを暴露されたヒカリは顔中真っ赤にして下を向いてしまった。
——なるほど。
先程勢いよく振ろうとした手を下げたのも、お淑やかさをアピールするのにははしたない行動と思って行ったのだろう。
そんな不慣れな振る舞いをするヒカリと、さりげなくフォロー——全部クリアに話した今、意味がなくなってしまった気もするが——していてたらしいミヤはヒカリが下を向いている間に先程の合図を真似してクリアに手招きして来た。
それに応える様にミヤに耳をクリアが近付ければ。
「夜のパーティーのダンス会、今朝お兄様が私のお相手をしてくださるとお父様から聞いております。……なので、一つ我儘を言ってもよろしいですか?」
——ミヤがわざわざ我儘を言うと宣言するなんて珍しい。
そんなミヤの言葉にクリアは首を縦に振って話の続きを催促する。
「夜は私がお兄様を独占できるので、今は是非、頑張っているヒカリ姉様をエスコートしてあげてくださいな」
にっこりとそう耳打ちしてきたミヤに、クリアは「ありがとね」と髪が乱れない様気をつけながらさらっと撫でる。
——本当、よく気の利く出来た妹だ。
クリアは「コホン」と一つ咳払いをし、未だ下を向くヒカリの正面に立ち位置を変えると、周りの男性陣の視線を——先程合流してからずっとだが——一身に受けながらもヒカリに片手を差し出して若干の照れが入りながらも笑顔で言ってみせる。
「そちらの俯いているお嬢さん。よろしければ、私めとこのせっかくのお祭り、一緒に回って頂けませんか?」
そんなクリアの誘い文句に顔を上げたヒカリは、まだ少し恥ずかしそうにしながらもクリアの手を取り。
「ええ、喜んで‼︎」
とびっきりの笑顔で誘いを受けたのだった——。
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