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第90話 自分勝手な答え
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ヒカリとの模擬訓練から一週間の時が過ぎた。
あれ以来、クリアは幹部がヒカリの相手をする訓練を見に来る事はするが、自分が相手をすることは無くなっていた。
他の幹部、更にはガウスが期待するように次々とヒカリに戦闘の基礎知識や応用を実戦を交えながら教えることでヒカリがさらに力を付けていくのをクリアは目の前で見ながら実感していた。
それは、この頑丈であるはずだった部屋中の修理が追いつかないぐらいにはボロボロになりつつあることが彼女の努力と成長の証として裏付けている。
おおよそではあるが、アーク達がいると思われる場所はガウスの情報収集により絞り込めてきている。
後数日すれば完全に居場所を特定し、決戦を行うためその場に戦力を投入する動きになるだろう。
このままでは、必ずヒカリは戦力として数えられる。
例えクリアが今更反対したとして、それが覆ることは無い。
当然と言えば当然だ。
クリアも客観的な視点で捉えれば、如何に頭の悪い意見であるかはっきりわかっている。
——それでも。
クリアの中に渦巻く自分勝手な感情は、力を付けていくヒカリの姿を見る度に反比例するように膨らんでいた。
『なにをそんなに怯えているんだァ?』
いつものように、唐突にザ・クロがクリアに語りかける。
しかし、クリアは今回のザ・クロに言葉を返すことはなかった。
いかんせん、問答すること自体がバカげている内容だからだ。
ザ・クロへの解答から逃れるように訓練中のヒカリに目をやれば、丁度一段落してシングと話しているところだった。
シングの嬉しそうな表情と照れる仕草をするヒカリを見れば、会話の内容は自ずと理解できた。
シングに褒められて嬉しかったのだろう。
ヒカリはいつもの笑顔を浮かべながら、ここ毎日同じように訓練を傍観しているだけのクリアの元にわざわざ足を運び、聞いてくる。
「クリア、今日はどうだったかな? シングさんにはもう実戦でも幹部クラスの実力者として十分通用するって言ってもらえたんだ~」
「うん。毎日見させてもらっているけど、本当に幹部の皆さんが絶賛するぐらいに強くなったね」
「クリアの目から見てもそう思ってくれるの⁉︎ 嬉しいな~!」
喜びを表すようにその場でクルクルと子供のように回り出すヒカリ。
まあ、以前叱責したにも関わらず素直に成長を褒められたことが嬉しかったのだろうとクリアは思った。
そしてそんなヒカリを見て、クリアはある決心をした。
「それじゃヒカリ、シングさん。訓練お疲れ様です。ボクは用事があるのでこの場で失礼しますね」
「え、もう行っちゃうの?」
クリアがこの場を離れることに、落胆を体現するように肩を落として残念そうな表情を浮かべるヒカリに、クリアは彼女の頭を数回ポンポンと撫でて「ごめんね」と一言謝ると、手を振りながら訓練室を出た。
——ザ・クロ、さっきは答えられなくてごめん。でも、わかったんだ。
『なにがわかったんだァ?』
——この気持ちをどうにかする方法を。
『ほォ、それはよかったじゃねェか。
で、それは……まァ聞くまでもねェか』
どうやら、ザ・クロにはもうクリアが何をしようとしているのか理解できているらしい。
頭の中で会話しながらクリアが足を運んだ先は、ミヤの部屋だった。
部屋のドア横にあるインターホンを鳴らせば、数秒経過してから部屋の主の愛らしい声が返ってきた。
『はい、どちら様ですか~?』
「ボクだよ、ミヤ。急にごめんね」
『あら、お兄様でしたか~。今お開けしますね~』
ミヤがそう言うと、すぐに固く閉ざされていたドアが開き、クリアを招き入れた。
中にいたミヤはあらかた今日のすべき事を終えていたようで、ゆったりとしたピンク色の部屋着を身につけていた。
クリアが部屋に入る際、視界に入った彼女の机の上を見るにどうやらミヤは勉強か何かをしていたようだった。
「会議以来結構お久しぶりですね、お兄様。わざわざこんなところまでいらして下さってありがとうございます」
笑顔で迎え入れてくれたミヤに、自然とクリアも頬を緩ませながら返す。
「いや、こっちも急に来てすまなかったね。何となく、ミヤの顔が見たくなって」
「あら、嬉しいですね~。とりあえず椅子へどうぞ。それに何かお飲み物を用意させましょうか?」
「ああ、いや、いいんだ。本当に今日は顔だけ見たくて来ただけだから」
ミヤの誘いを断り、けれどもミヤの近くへ移動すると、屈んで目線を合わせてミヤの頭に手をやりクリアはゆっくりと愛でるように彼女を撫でる。
「……お兄様?」
急な行動に、困惑しながらもクリアの手を受け入れてされるがままのミヤ。
クリアは笑顔でミヤの頭を満足するまで撫で続けた。
時間にして、そう長くは無かった。
クリアは最後に先程のヒカリの時と同様に数回ポンポンと頭を撫でると、その場に立ち上がる。
ミヤは何かを察した様にクリアの目を見つめて口を開いた。
「……お兄様。私はたとえお兄様がどの様な答えを選ぼうと信じています。
必ず私の前に戻ってきて、また頭を撫でてくださると。……だから。だから……っ!」
それ以上は、ミヤの口から発されることはなかった。
——こんな顔させるためにここに来たわけじゃないのに、やってしまったな。
後悔はしつつも、今更引き返す事もしたくない。
そんな気持ちでクリアは最後に「おやすみ」と笑顔で伝えると、そっとミヤの部屋から出ていった。
「……さてと」
どこへでもドアの部屋で装置に座標を指定し起動させる。
場所は、世界地図の端にあるとある辺境の地。
その昔、名も無き村が存在していた場所だった。
『セインテッド王国』から遥かに遠いその場所こそ、ガウスがおおよその目星を付けた決戦相手がいるとされている場所だった。
真夜中にも関わらず、起動中のどこへでもドアはその大きな音を立てる。
幸い、ギンガは珍しく隣の部屋から出ており、この音で迷惑する者はいないようだった。
——さて、行くか。
どこへでもドアの前に移動したクリアは、いつものように……とはいかず、じっと空間を繋げ続けるどこへでもドアを見る。
——思えば、キミにもいつもお世話になったね。
取手を握る前に、扉を労わるようにクリアは軽く撫でる。
そして、取手に手をかけ扉を開けようとした時だった。
「こんな遅くに、申請も許可もなく何処へ行こうというのかね」
「……ボクの行動に、許可は不要のはずでは?」
ボスの右腕という立場上、クリアは本来余程のことがない限り特に許可を取らずとも単独で行動する事を許されている。
つまり、その措置に口を出せるのは一人しかいなかった。
「それは任務を遂行する場合の話だろう。個人的な理由で勝手に死にに行くのは許可していない。……考え直しなさい、クリア」
「ボス……いや、お父さん。ボクが負けると?」
「現に散々負けて来ただろう」
ガウスの言う通り今までは、恥ずかしながら慢心や油断、後手に回るなどでクリアは痛い想いをして来た。
しかし、今回は違うとはっきりと言える。
その為、クリアはガウスに対しても強く返す。
「最後は完全に退けました。それに、これ以上向こうにも時間は与えられないです」
「……本当にそれだけか?」
「……ええ」
「……そうか」
「……そうです」
間を空けながらの返答がお互いに続く。
そして、二人の間に沈黙が流れた。
そんな中、クリアは言うべき事が纏まったようにガウスへと言葉を伝える。
「お父さん、ボクは必ず帰ってきます。『ディールーツ』のボスの右腕として。……そして、あなたの息子として」
クリアは扉を開けながら、ガウスの言葉を待たずに続けた。
「ごめんなさい。そして、行ってきます」
クリアはそれだけ言うと、どこへでもドアを足早に潜る。
完全に移動し切る直前に、どこへでもドアに入ってきたガウスの言葉を聞きながら。
『必ず無事に戻ってきなさい。……バカ息子が』
あれ以来、クリアは幹部がヒカリの相手をする訓練を見に来る事はするが、自分が相手をすることは無くなっていた。
他の幹部、更にはガウスが期待するように次々とヒカリに戦闘の基礎知識や応用を実戦を交えながら教えることでヒカリがさらに力を付けていくのをクリアは目の前で見ながら実感していた。
それは、この頑丈であるはずだった部屋中の修理が追いつかないぐらいにはボロボロになりつつあることが彼女の努力と成長の証として裏付けている。
おおよそではあるが、アーク達がいると思われる場所はガウスの情報収集により絞り込めてきている。
後数日すれば完全に居場所を特定し、決戦を行うためその場に戦力を投入する動きになるだろう。
このままでは、必ずヒカリは戦力として数えられる。
例えクリアが今更反対したとして、それが覆ることは無い。
当然と言えば当然だ。
クリアも客観的な視点で捉えれば、如何に頭の悪い意見であるかはっきりわかっている。
——それでも。
クリアの中に渦巻く自分勝手な感情は、力を付けていくヒカリの姿を見る度に反比例するように膨らんでいた。
『なにをそんなに怯えているんだァ?』
いつものように、唐突にザ・クロがクリアに語りかける。
しかし、クリアは今回のザ・クロに言葉を返すことはなかった。
いかんせん、問答すること自体がバカげている内容だからだ。
ザ・クロへの解答から逃れるように訓練中のヒカリに目をやれば、丁度一段落してシングと話しているところだった。
シングの嬉しそうな表情と照れる仕草をするヒカリを見れば、会話の内容は自ずと理解できた。
シングに褒められて嬉しかったのだろう。
ヒカリはいつもの笑顔を浮かべながら、ここ毎日同じように訓練を傍観しているだけのクリアの元にわざわざ足を運び、聞いてくる。
「クリア、今日はどうだったかな? シングさんにはもう実戦でも幹部クラスの実力者として十分通用するって言ってもらえたんだ~」
「うん。毎日見させてもらっているけど、本当に幹部の皆さんが絶賛するぐらいに強くなったね」
「クリアの目から見てもそう思ってくれるの⁉︎ 嬉しいな~!」
喜びを表すようにその場でクルクルと子供のように回り出すヒカリ。
まあ、以前叱責したにも関わらず素直に成長を褒められたことが嬉しかったのだろうとクリアは思った。
そしてそんなヒカリを見て、クリアはある決心をした。
「それじゃヒカリ、シングさん。訓練お疲れ様です。ボクは用事があるのでこの場で失礼しますね」
「え、もう行っちゃうの?」
クリアがこの場を離れることに、落胆を体現するように肩を落として残念そうな表情を浮かべるヒカリに、クリアは彼女の頭を数回ポンポンと撫でて「ごめんね」と一言謝ると、手を振りながら訓練室を出た。
——ザ・クロ、さっきは答えられなくてごめん。でも、わかったんだ。
『なにがわかったんだァ?』
——この気持ちをどうにかする方法を。
『ほォ、それはよかったじゃねェか。
で、それは……まァ聞くまでもねェか』
どうやら、ザ・クロにはもうクリアが何をしようとしているのか理解できているらしい。
頭の中で会話しながらクリアが足を運んだ先は、ミヤの部屋だった。
部屋のドア横にあるインターホンを鳴らせば、数秒経過してから部屋の主の愛らしい声が返ってきた。
『はい、どちら様ですか~?』
「ボクだよ、ミヤ。急にごめんね」
『あら、お兄様でしたか~。今お開けしますね~』
ミヤがそう言うと、すぐに固く閉ざされていたドアが開き、クリアを招き入れた。
中にいたミヤはあらかた今日のすべき事を終えていたようで、ゆったりとしたピンク色の部屋着を身につけていた。
クリアが部屋に入る際、視界に入った彼女の机の上を見るにどうやらミヤは勉強か何かをしていたようだった。
「会議以来結構お久しぶりですね、お兄様。わざわざこんなところまでいらして下さってありがとうございます」
笑顔で迎え入れてくれたミヤに、自然とクリアも頬を緩ませながら返す。
「いや、こっちも急に来てすまなかったね。何となく、ミヤの顔が見たくなって」
「あら、嬉しいですね~。とりあえず椅子へどうぞ。それに何かお飲み物を用意させましょうか?」
「ああ、いや、いいんだ。本当に今日は顔だけ見たくて来ただけだから」
ミヤの誘いを断り、けれどもミヤの近くへ移動すると、屈んで目線を合わせてミヤの頭に手をやりクリアはゆっくりと愛でるように彼女を撫でる。
「……お兄様?」
急な行動に、困惑しながらもクリアの手を受け入れてされるがままのミヤ。
クリアは笑顔でミヤの頭を満足するまで撫で続けた。
時間にして、そう長くは無かった。
クリアは最後に先程のヒカリの時と同様に数回ポンポンと頭を撫でると、その場に立ち上がる。
ミヤは何かを察した様にクリアの目を見つめて口を開いた。
「……お兄様。私はたとえお兄様がどの様な答えを選ぼうと信じています。
必ず私の前に戻ってきて、また頭を撫でてくださると。……だから。だから……っ!」
それ以上は、ミヤの口から発されることはなかった。
——こんな顔させるためにここに来たわけじゃないのに、やってしまったな。
後悔はしつつも、今更引き返す事もしたくない。
そんな気持ちでクリアは最後に「おやすみ」と笑顔で伝えると、そっとミヤの部屋から出ていった。
「……さてと」
どこへでもドアの部屋で装置に座標を指定し起動させる。
場所は、世界地図の端にあるとある辺境の地。
その昔、名も無き村が存在していた場所だった。
『セインテッド王国』から遥かに遠いその場所こそ、ガウスがおおよその目星を付けた決戦相手がいるとされている場所だった。
真夜中にも関わらず、起動中のどこへでもドアはその大きな音を立てる。
幸い、ギンガは珍しく隣の部屋から出ており、この音で迷惑する者はいないようだった。
——さて、行くか。
どこへでもドアの前に移動したクリアは、いつものように……とはいかず、じっと空間を繋げ続けるどこへでもドアを見る。
——思えば、キミにもいつもお世話になったね。
取手を握る前に、扉を労わるようにクリアは軽く撫でる。
そして、取手に手をかけ扉を開けようとした時だった。
「こんな遅くに、申請も許可もなく何処へ行こうというのかね」
「……ボクの行動に、許可は不要のはずでは?」
ボスの右腕という立場上、クリアは本来余程のことがない限り特に許可を取らずとも単独で行動する事を許されている。
つまり、その措置に口を出せるのは一人しかいなかった。
「それは任務を遂行する場合の話だろう。個人的な理由で勝手に死にに行くのは許可していない。……考え直しなさい、クリア」
「ボス……いや、お父さん。ボクが負けると?」
「現に散々負けて来ただろう」
ガウスの言う通り今までは、恥ずかしながら慢心や油断、後手に回るなどでクリアは痛い想いをして来た。
しかし、今回は違うとはっきりと言える。
その為、クリアはガウスに対しても強く返す。
「最後は完全に退けました。それに、これ以上向こうにも時間は与えられないです」
「……本当にそれだけか?」
「……ええ」
「……そうか」
「……そうです」
間を空けながらの返答がお互いに続く。
そして、二人の間に沈黙が流れた。
そんな中、クリアは言うべき事が纏まったようにガウスへと言葉を伝える。
「お父さん、ボクは必ず帰ってきます。『ディールーツ』のボスの右腕として。……そして、あなたの息子として」
クリアは扉を開けながら、ガウスの言葉を待たずに続けた。
「ごめんなさい。そして、行ってきます」
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