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2 まさか不良の好きな人がおれなんて

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 気づいたら高層タワーマンションの一室に連れて来られた。最上階じゃないみたいだけど、こんな高級なマンションに来たことがない。

 エントランスにいたコンシュルジュの人は、おれが拉致されたってわかってくれたかな。もしこのマンションから出てこれなかったこの人がおれが連れ込まれたって証言してくれるかな。
 住人のプライバシー遵守だから無理かな。

 助けてって目で訴えてみたけどコンシュルジュの人は「お帰りなさいませ」って完璧な笑顔で真木君に挨拶してる。

 おうちの人いないかなって思ったけど、生活感のないだだ広い部屋に大きなソファや、シンプルだけど高そうな家具が配置されているだけで、家族の人が住んでいるのかわからなかった。きっとお手伝いさんもいるんだろうな。大きな窓には街と空の景色が広がるばかりだった。

 ずっと右手首を掴まれていて、室内に入ってやっと歩くのをやめた真木君に言ってみる。
 「痛い・・・です」
 何故ですつけちゃう? おれの根性なし。
 「あ、悪い」
 真木君が謝ってすぐに手首を離してくれたのは意外だった。手首が赤くなっている。これ後で内出血みたいになるやつだ。

 「ほら、座れ」とおれを大きなソファに押すとおれは簡単に、ソファに背中から倒れる。
 「う」
 このソファものすごく寝心地がいい。自分の家のベッドより気持ちいい。肌触りもよいし、なんか良い匂いがする。

 だけど立ったままでおれを見下ろす真木君の目が怖い。なんかゴクリと唾を飲み込んだ音がした。

 えっと?

 「おれを説得するんだろう。……抱かせろ」

 意味がわかりません。

 そうして冒頭に戻る。
 最初は殴られるかと思ったけど違った。そしてジッとおれの胸に手を置いたまま彫像みたいに動かない真木君に「抱かせろ」ってのはハグ的なことなのかなって思い始めてきた。

 人肌に本当の意味で飢えていているのだろうか。もしかして親の愛情を感じずに育って、愛というものがわからない、どういう風にすればいいのかわからないんだろうか。

 だから不良と呼ばれたり、好きな子を閉じこめたりするんだろうか。これは噂だけど。

 だんだん真木君がお金持ちだけど実は可哀そうな生い立ちでかわいそうな子なんだろうかと思い始めてきた。
 おれは、そっと、真木君に手を伸ばして、両腕で真木君の大きな熱い体を抱きしめてみた。

 真木君の大きな体が動揺したのか、ビクッと動く。いい子いい子とおれは真木君の背中をトントンと優しく叩く。真木君は怒ることもなくじっとしている。やっぱりこの感じがいいのかな。
 そう思って今度は片方の手で真木君の頭の髪を優しくすいてみた。子供のころ母親にされて気持ちが良かったことだ。

 じんわり熱くて汗もかいていた真木君はおれの手に髪が漉かれるの気持ちいいみたいで、ちょっと力が抜けたのがわかる。

 大きなソファの座面は男二人が横になっても大丈夫そうなので、真木君の体をなんとなくおれの体の横にする。「へへ」とおれは照れくさくて笑う。

 なんだか大きな動物みたいな真木君が可愛くなってきた。

 真木君はきょとんとした顔をしていたが、おれをジッと見つめてた後、そのまま続けろとばかりに目を閉じた。長いまつ毛の瞼の閉じた真木君を見下ろすような構図でみて、鼻筋が通っていてかっこいいっていうのがよくわかった。

 この人かっこいい人なんだなって改めて思う。タイプは違うけどタツキと同じくらい顔がいい。

 はっと気づいたら、大きな窓の外は暗くなっていて、街の明かりが綺麗に見えていた。いつの間にか眠ってしまったようだ。

 真木君が大きな体をおれに覆いかぶさるようにして寝ている。熟睡している真木君が重たい。なんとか押しのけてベッドから降りようとした。
 右腕をぐっと掴まれて、バランスを崩す。結局真木君の胸の上にダイブするみたいになった。おれの重さなんか物ともしないのか、真木君は平気な顔をしている。

 「勝手にどこに行くんだ」
 「え」
 勝手にって寝てたよね?
 「あの…寝てたから」ギロッて睨まれる。今のおれが悪いの?

 「勝手に出ていくな」
 「う、うん」
 別にすぐに帰るとかでもなく、とにかくベッドから降りようとしただけなんだけど。それに目が覚めたらトイレに行きたくなった。
 「あの」
 「うん? なんだ」
 なんかおれから声かけたのがうれしいみたいに優しい声。そんなわけないよな。
 「トイレ行きたい」
 「トイレ?」
 声に出したらものすごくいきたくなった。
 おれがもじもじしてたら。なぜか真木君の男らしい顔が赤くなった気がした。

 トイレはうちの家の玄関より広そうだった。大理石調の床のトイレとか個人宅であるんだな。もしかして本物の大理石か。広いから男二人ぐらい入れるが、真木君も一緒に入ってきてぎょっとする。
 「えっと、真木君、トイレ先に使う?」
 おれが尿意を我慢して言うと、真木君は「いいよ、先に使えよ」と言ってくれる。
 だけどその場から動かないから焦る。いや、人に見られながらの排尿とか嫌だ。

 学校や公衆トイレみたいに立ってする便器が並んでいても、ジッと見られたら嫌だ。
 「ま、真木君? あの、お願い」
 本当に漏れそうで焦って顔を赤くしながらお願いするとなぜか、真木君も顔を赤くしながらなんとか出て行ってくれた。
 やっとすっきりしてトイレのドアを開けるとすぐそばの廊下で真木君が待機していて驚く。そのままトイレに入ったから真木君もトイレにやっぱり行きたかったんだな。

 
 「まだ帰るなよ」
 真木君の家のベランダから夜景が珍しくて見入っていたら、背中から体を覆われながら言われる。時計を見ると7時半だった。明日は土曜日で学校はないし、今日はちょっとくらい遅くなってもいいかなって思って頷く。

 今まで真木君とは話したことはなかったけど、友だちの家に遊びにきたっていうシチュエーションみたいでうれしい。
 今日1日でなんだか親しくなったみたいだ。

 真木君は嬉しそうに笑って頷くと「飯作ってやる」と言われる。
 真木君が料理をするんだって驚く。お手伝いさんとかいそうって言うとやっぱりいるそうだ。
 週2回午前中にお手伝いさんが、部屋の掃除と洗濯や料理をしにくるらしい。やっぱりお金持ちだ。ご両親とは一緒に暮らしてないんだろうか。

 なんだか聞いていいのかわからないから頷くに留まる。

 真木君はザ男飯って感じでチャーハンを作ってくれた。美味しくて「おいしい、おいしい」って言いながらたらふく食べていると、
「リスみてえだな」って笑われる。その笑顔が優しそうで、真木君はやっぱり怖いやつなんかじゃないんだって思う。

 「そうだごはんいらないっていうの忘れてた」
 うちの親は共働きでけっこう夜も遅いからごはんもまだ作ってないかもしれない。スマホなんて持ってなかったけど、タツキに高校生なんだからそれぐらい持てよって言われて、タツキのお古のスマホをもらったんだ。親と、タツキしか連絡先はないけど。

 スマホを鞄から取り出すを「うわ」って驚く。ずっと鳴ってたみたいで、今もバイブが鳴り続けている。着歴もすごい。スマホが熱い。
 出ると「ミコトどこにいるんだ」タツキの焦ったような怒っている声が聞こえる。
 「タツキ? 」
 「ミコトどこにいるか言え。迎えにいってやるから」
 「え、悪いからいいよ」
 「いいから」
 うーんでもここって住所はどこなんだろう? なんて言えばいいかわからず、思わず真木君の顔を見る。
 真木君はおれからスマホを取り上げると
 ブチっと電話を切った。

 その後も鳴り続けているから、おれが取ろうとするけど、真木君に邪魔をされる。
 「おれが送ってやる」
 「でもタツキが心配してるみたいで」
 「おれの前でほかのやつの名前をいうな」
 タツキのこと好きじゃなかったの?
 おれが不思議になって聞くと、「だれが言ったか知らないが、おれはあいつのことなんて好きじゃない。おれが好きなのはお前だ」
 まだ分からないのかとフンって笑われる。
 なんでか偉そうだ。
 「おれ?」
 好きになられる理由がわからなくてボーとしてしまう。
 「ああ、ずっと可愛いなって思ってた」
 「可愛い? 可愛いのはタツキだよ?」
 「あいつの話なんかしてねえだろ。おれとお前の話だ。おれはお前がずっと可愛いなって思って見てた。お前はどうなんだ? おれのこと知ってたか?」
 「真木君目立つから知っているよ。だって同じクラスだよ」
 「ならどう思ってた」
 「どうって、背が高くて」じっと見つめる。
 「高くてどうなんだよ」なんだか耳が赤い真木君。
 「優しいなって思ってた」
 「おれが優しい?」
 真木君が驚く。
 「うん。前におれが両手で荷物をいっぱいもっていたらドアを開けてくれたでしょ。優しいなって思ってた」
 あーあれかと真木君も思い出したようで、
「優しいのはお前にだけ。おれがそんなことをするのはお前だけだ」
 直球で言われて思わず顔が熱くなる。

 「それだけか?」
 同じく顔が熱いのか赤い真木君に続きを文字通り迫られる。さっきまで離れていたのに、ソファの上で膝の上に抱き寄せられる。おれの鼻を軽く摘まれる。まだ言えってこと? なんか子供みたいだ真木君。
 「えっと、かっこいい?」
 「疑問形か」
 「ううん。かっこよくて男らしくて、体も大きくてうらやましい」筋肉が浮き出ている腕を思わずさわさわする。
 どこか満足気な真木君に「目を閉じろ」命令されて思わず目を閉じる。するとふにゃっとした柔らかい物が唇に触れる。

 驚いて目を開けるとすでに真木君の唇は離れていた。
 「嫌か?」
 心配そうに聞かれる。おれはちょっと考えたけど、嫌じゃないと思ったので首を振った。真木君はやっぱりうれしそうな顔をして、もう一度おれに唇で触れてきた。なんか真木君が可愛い。

 「あ」

 小さく開いているおれの唇に何回も優しく触れてきて「好きだ。ずっと好きだった。可愛い」と囁かれながら唇で優しく触れられ、おれは心臓がドクドクと高まって、顔も体も赤くなった。
 唇を唇で食まれて、優しく噛まれておれは体中に電流が走ったみたいになった。

 なんだ今の。

 気持ちいい?

 真木君に触られるところ全部が気持ちよくてトロンとして体に力が入らなくなる。

 「えろ」
 真木君がおれの耳元でたまらないみたいに言ってくる。
 エロいのは真木君だ。

 「心配だな、こんなにちょろくて」
 熱でボーとしたみたいになって、真木君の声がよく聞こえない。
 「おれが気持ちよくしてやるから安心しろ」
 耳朶も優しく唇に噛まれて、真木君の低い声が耳から直接に入って体がジーンとしびれる。ドクンドクンと体が心臓になったみたいに脈うっている。

 あーこんなのダメになる。

 おれの表情に更に煽られた真木君は、唾を飲み込む。
 「ミコト」
 「!」
 おれの名前知ってたんだ? タツキと家族以外に初めて名前を呼ばれた。
 なんでかすごく恥ずかしい。

 更に真っ赤になって泣きそうなおれに気づいた真木君が満足そうに、どこか意地悪するみたい、低い声で何度も耳に名前を囁いてくる。

 「好きだ」

 って言われて・・・。

 はって気付いた時には、シャツのボタンはいくつか外されて、もどかしいのかそのまま上にあげられる。首のところで、シャツが丸まる。

 また素肌に今度は両手で触れられる。こんどは手が優しくおれの体を触っている。
 温かくて大きな手で触れられるとそれだけでマッサージみたいで気持ちいい。

 揉むみたいにされて乳首も指で何度も擦られる。

 何してるのかわからなくて、つい下を向いて見てしまう。

 「何されてるのかわかんねーのか?」
おれは頷く。そんなことをしてどうするんだろう。

 「いいんだよ。おれが気持ちいいから」
 「気持ちいいの?」
 「ああ。肌はスベスベして滑らかで触ってるだけで気持ちいい。それにここも小さいけど固くなってきた」
 それはおれの乳首のことだろうか?
 なんだかダメな気がする。

 おれは慌てて胸の前に両腕で防御する。体を少しでも離れさせようと捻る。
 「もう遅い」
意地悪に光る目を細めながら、真木君が笑った。
 「抵抗されたよけい煽られるって知らねーのか?」
 
 おれだけじゃなくて真木君も息が上がってる。簡単におれの両手を押さえてつけて、体も体で押さえつけられる。

 「真木君なんで?」
 「なんでって、お前が逃げるから」
 「逃げるのやめたら、何もしない?」
 「・・・」
 何かするんじゃん!

 おれがどうすればいいのかわからず、焦っていると、真木君は小さく吹き出して、「さっきみたいに優しくする。ひどいことはしない」と真面目な顔をして言ってきた。

 おれが迷っていると、「さっきみたいに気持ちいいことしかしない」と耳元で囁いて、耳の中を舐めてきた。

 「今日はキスしかしない」
 そう囁かれて、おれは頷いた。体の力もすっと抜ける。

 完全に飼い主に身を委ねるペット状態のおれの頭を撫でると、キスをしながら、全身をゆっくり撫でてきた。


 気付いた時には、真木君の膝の上で、後ろから抱かれながら、キスをされていた。

 「あ・・・ンっ」
 気持ちいい。気持ちいいよ。

 「ここすごいことになってる。やらしいなミコト」
 「や、ちが、違う」
 「違わない。やらしいミコトはおれを誘惑してるのか」
 「してない!」
 「そっかじゃあ、触るのやめるな。ミコトの嫌がることしたくないし。ここ触った事ある?」
 「ない。触ったらクセになるって」
 「へー誰が言ったんだ?」
 「・・・タツキ」
 「ふーん。やらしいミコトは猿みたいなっちゃうかもな」
 さっきから、エロいとかやらしいって言われて何度も首を振る。嫌すぎて涙も出てくる。
 「・・・恋人が触るならミコトはやらしくないな。恋人のために触らしてあげるだけだから」
 「恋人?」
 「おれ? 告白してキスも受け入れてもらったから、おれたち付き合ってるよな。返事もらってないけど、まさか誰とでもこんなことしちゃう淫乱ちゃんなの?」

 「違う!」
 「そっかじゃあおれたち付き合ってるよな」
 おれはなんだかわからないけど、追い詰められた気持ちで頷く。
 「おれのこと好き?」
 「うん好き」
 真木君は機嫌よく笑って、おれにご褒美みたいにチュッとキスをしてくる。
 「おれたち恋人だな」

 両胸も優しく指でタップされたり摘まれたりしている。
 「胸触っていい? おれ触りたい」
 おれはえぐえぐ泣きながら頷く。
 「嬉しい。ミコト優しい。ミコトはやらしくない。おれのために触らせてくれてるだけだもんな」

 おれは何度も頷く。

 「ここも触りたい」
 いつの間にか、制服のチャックは下ろされて、おれのが見えたり隠れたりしてた。

 真木君がズボンを下ろして前を更に広げると、ピョコンとおれの起立した物が飛び出す。

 おれは恥ずかしくて真っ赤になる。

 「ふふ、おれが触りやすいようにしてくれたのか? 優しいなミコト」

 「ミコト触っていいか。優しく触る。もうヌルヌルだから、きっと触られるだけで気持ちいいぞ。おれ触りたい」

 おれは泣いてる顔が恥ずかしくて両手で顔を隠す。頷くと真木君がにやりと口角を上げて笑っていたのは見えなかった。

 「ミコト大事なところが、・・・隠れてないぞ」
 低い声で耳元に囁かれながら、何回も擦られて、キスされるみたいに先っぽをグチュグチュにされて、声にならない叫び声をあげておれは気をやった。

 初めての強烈な快感で、それが快感だってことさえわからなかった。目の前が真っ白になって、体がちゅうに浮いたみたいに感じた。

 ビクビクと震える体を抱きしめながら、何度も何度も真木君が深いキスをしてくる。

 「はぁっったまんねー。なんの拷問だよ。・・・可愛すぎる」

 気を失ったおれを抱きしめながら盛ったみたいに、興奮した真木君がめちゃくちゃ腰を押し付けたり、キスをしてくる。

 「次はミコト、全部もらうからな」
 ウブなクセに、真木君を煽りまくったらしいおれは、愛された喜びに、泣き顔なのに満ち足りた笑顔をしていたらしい。



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