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5話※
しおりを挟む「っ、あっ、あ……っ」
着ていた服はとっくに取り払われて床に転がっている。
左右に大きく開かれた脚の中心で彼が指を動かす度に、私の写真に囲まれたこの異様な空間にぐちゅぐちゅと水音が響く。
モニターが熱を持ってしまうからエアコンはつけないようにしてるんですと言っていたが、確かに室温は低く、冷え切っていた。
私の体だけが彼の指と舌で散々いじめられ、火照らされている。
「んああっ、やっ、もっ、やだあっ」
「うん、うん。やですね。やめてほしいですね」
明るい照明の下で素肌をさらけ出しているのは私だけだった。
彼はパーカー姿で楽しそうに笑いながら痴態を晒す私を観察し続けている。
「やああっ、あっ!」
「あはは。暴れない、暴れない。またイキそうなんですか? 三回イッてからおまんこびくびくが止まらなくなっちゃったからわかりにくいですね」
彼の二本の指が私の中を責め立てていた。
弱いとバレてしまった箇所をもう小一時間も擦り上げられ、細いのに関節だけが太い彼の指の形を体の内側から覚えさせられている。
「あっ、んあ、あ……もっ、やだぁ……!」
「やだ、じゃなくて"いい"ですよね? 素直になれないなら朝まで続けることになるけどいいのかなあ?」
「ひっ!」
地声より低い声で囁きながら耳をねっとり舐め回される。そうして彼の舌は汗で湿った肌を味わうように首筋を通り、胸をやんわり舐めてから、その先端に狙いを定めた。
「……ほら。イケよ」
「あああっ!!」
ちゅううっと下品な音を立てて吸い付きながらおまんこのお腹側のざらざらしたところをぐっぐっと押される、強すぎる刺激に体は限界だった。
腰をのけ反らし、達すると、お股からだらだら垂れている愛液とは別の液体が彼の手のひらに溜まっていく。
「ふふっ、潮吹き二回目! 歓んでもらえて嬉しい。早矢香さんって月に二回程度しかオナニーしないけど、オカズは結構過激ですよね! 俺は早矢香さんの笑顔の写真とかで全然抜けるんで、男性向けのハードSMエロ漫画でオナってる早矢香さんを見たときびっくりしちゃいましたよ」
「……ち、ちが……あれは広告で出たから……ちょっとクリックしてみただけで」
「エッチな漫画、気になっちゃったんですね。可愛い。じゃあ今からあの漫画みたいにレイプで処女喪失してみましょっか? 俺は合意の元でしたい派だから本当はこんな酷いことしたくないんですよ? けど、早矢香さんはこうされたかったんですもんね?」
爽やかな好青年風の皮を被っていた彼が取り出した男性器は血管がぼこぼこと浮き出た、絵で見るよりずっとグロテスクで凶悪な見た目をしている。
「やっ、それだけはやめて!」
「だーめ。これはお仕置きなんですから。俺は早矢香さんのことが大好きだから、お望み通りレイプしてあげますね」
「いやあああ!!」
宛てがわれた彼の熱を拒否する力は私に残っていなかった。
どうしてこんな目にあっているのだろう。
生活の全てを監視され、付きまとわれて、挙げ句の果てにはレイプだなんて。
私はまだ彼の名前も知らないのに――。
「ふああっ、あっ、あっ、気持ちっ、そこ気持ちいよぉ!!」
「ん……っ、早矢香さん、すっごい幸せそうな顔してる。ふふ……俺も幸せですよ」
私が痛い痛いと泣いていたのは何時間も前のこと。
カーテンの隙間から陽が差し込んでいるが、それすら大分前の話だった。バイトは遅刻だ。
でも、いいの。彼の性器が私の奥を突いてくれる心地よさをもっと味わっていたい。
「早矢香さん、これからも早矢香さんのお家に勝手に入って料理や家事したり早矢香さんのパンツでオナニーしたりしててもいい? カメラと盗聴器とアプリで監視しててもいい? バイト中も大学も出先でも遠くからずーっと見守ってていいですか?」
「うん……っ、いいよ! ずっと見てて! わたしのそばにいて!」
「嬉しい、キスしたいな……っ」
「ん……っんむ……っ」
素直に唇を開けて彼の甘い唾液をはらんだ舌を受け入れる。上のお口で必死に舌を絡ませて、下のお口では彼の勃起チンポをぎゅうぎゅうに締め付けてご奉仕を欠かさない。
チューしながらエッチしてると脳みそとろけちゃいそうなほど気持ち良い。
もうずっとイキっぱなしで、頭がふわふわしている。
「早矢香さん、ごめんねっ、お仕置き調教セックスが好きなのにいちゃラブ合意エッチにしちゃってごめんなさい」
「いいの……っ! もっと、もっとしよぉ!」
「う、ん……っ、いっぱいしましょうね。早矢香さんのエッチなところも頑張り屋さんなところも大好きですよ」
***
「ね、ねぇ、名前教えてくれないの?」
「えー……秘密です。早矢香さんが気にしてくれてるのが嬉しいんですもん」
「そんな……」
私は自身の部屋で隣の部屋の彼と通話しながら、カメラをベッドの上にセットする。
いつの間にかポストには鍵がかけられ、郵便物を覗けなくなっていたし、表札もない。
一度見たはずの名前はやっぱり曖昧で、私は彼の名前を知らないままだった。
「可愛くおねだりしてくれたら考えます」
「う、ん……わ、私のおまんこ……いじめてください……」
カメラの前で両脚を大きく開き、あそこを指で左右に広げて見せつける。
恥ずかしい。彼と話しているだけで濡れてしまって糸を引いていた。
でも、仕方ない。こうすると彼がお金をくれる。私はバイトを減らせて睡眠時間も十分に取れるようになった。
「このまま俺に見てもらいながらイキたいですか? それとも俺のがほしいですか?」
「ほしい……です。ここにちょうだい?」
「ふふ。じゃあすぐに行くね。後で一緒にご飯食べましょうね! 今日は早矢香さんの大好きなオムライスですよ」
これはあくまでお金のためだから。
無理の多かった生活を楽にするために選んだだけだから。
私はもう知ってる。
家中のあらゆるところに監視カメラと盗聴器が仕掛けられてるってこと。
それでも私は今日も、名前も知らない彼に監視されながら生活を送っている。
〈完〉
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