お世歯。

文字の大きさ
6 / 6

第六話〈挑戦?〉

しおりを挟む
―翌朝

亜樹が目を覚ますと、洗面所からぎこちないブラッシングの音が聞こえてきた。

「星乃、おはよう。お前……なんつーか、すんごい素直だな」

星乃は慌てて歯ブラシを口から出した。

「あ、あず、おはよう! す、素直っていうかさ。昨日亜樹が綺麗にしてくれたから、なんかもったいないなぁって思って」

亜樹は星乃の持つ歯ブラシの毛先に目をやる。

「……出血」
「えっ、出血!? ほんとだ、血がついてる! これ、大丈夫なの!?」
「それが歯肉炎、原因は磨き残し。出血を気にしてそこを避けると、余計に悪化して最終的には」
「最終的には、、、?」
「抜け落ちる」

半分脅しながら言う亜樹に星乃は身震いしながら

「ひぇぇ、頑張る」
「まあ本番は40からだけど」

そう言いながら、亜樹も星乃の隣で歯磨きを始めた。

(……ここまで従順だと、むしろ可愛いな。こいつがう蝕で苦しむ姿も見てみたいが、まあ、どうせ8番が生えてくれば嫌でも苦しむことになるし、わざわざう蝕にする必要もないか)

「あず、さっきから真剣な顔して何考えてんの?」
「……え。いや、別に。今日の予定とか、そんなの」
「そう?」

―朝食

「朝ごはん、りんごがある! 僕、りんご好きなんだよね」
食堂のメニューを見て、星乃が声を弾ませる。
「りんごはいいぞ。咀嚼回数も増えるし、ポリフェノールの効果もある。俺も好きだ」
「亜樹も好きなんだ」
「しっかり噛めよ。唾液の分泌が促進されるから」

そんな二人の様子を、少し離れた席から見つめる四人の影があった。
同じ第七寮に住む、個性豊かな面々だ。

「……なぁ、あの首席とAクラのペア、会話の内容おかしくねーか?」

呆れたように呟いたのは、バスケの推薦でエクレア高校(エクトタレア高校の略)に入学した澤野 葵(さわの あおい)。

「いや、よくわかんねーけど。頭いい奴らって、距離の詰め方も特殊なんだな……」

隣でパンを齧りながら、お調子者の赤城 圭(あかぎ けい)が同調する。

「高伊、お前もAクラだろ? なんか知ってるか?」

眼鏡を押し上げながら二人の分析を始めたのは、情報通の古畑 るい(ふるはた るい)。

「いや、マジで知らん。ただの天才だと思ってたけど……。なんかあの二人、おもしろそうだな」

そう答えたのは、クールな秀才・高伊 賢(たかい けん)。
だが、言葉を終えた途端、高伊が顔を顰めて頬を押さえた。

「おい、高伊? どうしたんだよ」

赤城の問いに反応するより早く、亜樹の視線が高伊を射抜いた。

「高伊、どうした。顔色が悪いぞ」
「……いや、なんでもない。ちょっと風邪気味なだけだ」
「そうか」

亜樹の目は笑っていない。その視線は、高伊の頬のラインをじっと観察しているようだった。

「あず、ごちそうさま! 戻ろう!」
「……ああ」

星乃に促され、二人が食堂を去っていく。

「……なんか、嵐が過ぎ去っていくようだな」

澤野の呟きに、三人が深く頷いた。

☆用語解説出しました!近況ボードにありますので是非ご覧ください!https://www.alphapolis.co.jp/diary/view/307849
しおりを挟む
感想 0

この作品の感想を投稿する

あなたにおすすめの小説

俺の“推し”が隣の席に引っ越してきた

雪兎
BL
僕の推しは、画面の向こうにいるはずだった。 地味で控えめなBLアイドルグループのメンバー・ユウト。彼の微笑みと、時折見せる照れた横顔に救われてきた僕の、たった一つの“秘密”だった。 それなのに、新学期。クラスに転校してきた男子を見て、僕は思わず息をのむ。 だって、推しが…僕の隣に座ったんだ。 「やっと気づいてくれた。長かった〜」 ――まさか、推しの方が“僕”を見ていたなんて。 推し×オタクの、すれ違いと奇跡が交差する、ひとくち青春BLショート。

ゆい
BL
涙が落ちる。 涙は彼に届くことはない。 彼を想うことは、これでやめよう。 何をどうしても、彼の気持ちは僕に向くことはない。 僕は、その場から音を立てずに立ち去った。 僕はアシェル=オルスト。 侯爵家の嫡男として生まれ、10歳の時にエドガー=ハルミトンと婚約した。 彼には、他に愛する人がいた。 世界観は、【夜空と暁と】と同じです。 アルサス達がでます。 【夜空と暁と】を知らなくても、これだけで読めます。 2025.4.28 ムーンライトノベルに投稿しました。

灰かぶりの少年

うどん
BL
大きなお屋敷に仕える一人の少年。 とても美しい美貌の持ち主だが忌み嫌われ毎日被虐的な扱いをされるのであった・・・。

別れの夜に

大島Q太
BL
不義理な恋人を待つことに疲れた青年が、その恋人との別れを決意する。しかし、その別れは思わぬ方向へ。

同性愛者であると言った兄の為(?)の家族会議

海林檎
BL
兄が同性愛者だと家族の前でカミングアウトした。 家族会議の内容がおかしい

王様の恋

うりぼう
BL
「惚れ薬は手に入るか?」 突然王に言われた一言。 王は惚れ薬を使ってでも手に入れたい人間がいるらしい。 ずっと王を見つめてきた幼馴染の側近と王の話。 ※エセ王国 ※エセファンタジー ※惚れ薬 ※異世界トリップ表現が少しあります

【完】君に届かない声

未希かずは(Miki)
BL
 内気で友達の少ない高校生・花森眞琴は、優しくて完璧な幼なじみの長谷川匠海に密かな恋心を抱いていた。  ある日、匠海が誰かを「そばで守りたい」と話すのを耳にした眞琴。匠海の幸せのために身を引こうと、クラスの人気者・和馬に偽の恋人役を頼むが…。 すれ違う高校生二人の不器用な恋のお話です。 執着囲い込み☓健気。ハピエンです。

罰ゲームって楽しいね♪

あああ
BL
「好きだ…付き合ってくれ。」 おれ七海 直也(ななみ なおや)は 告白された。 クールでかっこいいと言われている 鈴木 海(すずき かい)に、告白、 さ、れ、た。さ、れ、た!のだ。 なのにブスッと不機嫌な顔をしておれの 告白の答えを待つ…。 おれは、わかっていた────これは 罰ゲームだ。 きっと罰ゲームで『男に告白しろ』 とでも言われたのだろう…。 いいよ、なら──楽しんでやろう!! てめぇの嫌そうなゴミを見ている顔が こっちは好みなんだよ!どーだ、キモイだろ! ひょんなことで海とつき合ったおれ…。 だが、それが…とんでもないことになる。 ────あぁ、罰ゲームって楽しいね♪ この作品はpixivにも記載されています。

処理中です...